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第六十七話:賢者の手記! 奏多が知るべき、館の隠された歴史!

開かれた謎の部屋で発見された、膨大な古代の遺物と知識。

シルヴィアの知識により明かされる「18柱の魔神」の伝説。

賢者エルドラドと魔神マーリドの因縁とは?

そしてマーリドが語る「代償」の正体とは……!?

開かれた扉の先は、時が止まったかのような静寂と、膨大な知識の奔流が渦巻く場所だった。俺たちの目の前に広がる光景は、もはや一つの図書館と言っても過言ではない。壁一面を埋め尽くす古書、異様な輝きを放つ魔導機器、そして空中に浮かぶ幾何学的な紋章たち。

「すげぇ……」

俺は思わず圧倒され、言葉を失った。エリスもまた、剣を握る手を緩め、畏敬の念に打たれたように部屋の奥へと視線を巡らせている。

「こんな場所が館の地下に隠されていたなんて……」

ヴィオラの興奮はピークに達していた。「これはもう、単なる遺物じゃないわ! 世界の歴史学者が喉から手が出るほど欲しがる、極めて貴重な一次資料ばかりよ!」

ルミナは一冊の分厚い書物を手に取ったが、すぐに困ったような顔をして首を傾げた。

「ですが……すみません、これ、書かれている字が全く読めません。文字というより、紋様が複雑すぎて……」

シルヴィアは手袋をはめ直し、慎重に空中に浮かぶ紋章に触れながら穏やかに告げた。

「当然よ。これは数百年……いいえ、数千年前に使われていた古代文字だわ。一般的な言語学者ですら解読に数年を要するような代物よ」

レオとミケだけは、新しい場所への興味から尻尾を振りながら部屋の中を闊歩している。しかし、他の動物たちは野生の本能が警鐘を鳴らしているのか、入り口で身を固くして中に入ろうとはしなかった。

「……にしても、ひどい埃だ。これ、誰かが最後に扉を閉めてから、一回も掃除されていないようだな」

俺が苦笑いしながら壁の埃を払うと、シルヴィアが激しく咳き込んだ。

「ゴホッ、ゴホッ! 本当ね……。歴史の息吹が詰まっているのは嬉しいけれど、喉には少し刺激が強すぎるわ」

すると、肩に浮かぶマーリドが冷徹なまでの冷静さで口を開いた。

『やはりな。あの錬金術師バカの先代契約者が鍵をなくしたせいで、掃除どころか足を踏み入れることさえ適わなかったのだ。賢者がこの地を去ってから、あるいは死して後……途方もない時間が経過しているはずだ。私も噂には聞いていたが、この目で見るのは初めてだ』

俺は驚いてマーリドを見た。

「マーリドですら初めて見るのか? お前、この館の主と契約していたんだろ?」

シルヴィアはマーリドの方へ向き直り、興味深げに観察した。

「あなたが、あの『水の魔神マーリド』よね? 炎を司る魔神イフリートよりも強いと噂される存在……まさかこんな辺境の館で出会えるとはね。でも、賢者が魔神と契約していたという記述はどの文献にもないわ。そもそも魔神の起源は謎に包まれているし、あなたを封印していた『封印のランプ』自体、未だに発見されていない失われた秘宝のはずよ」

彼女は語り続ける。歴史を探求する者特有の、熱を帯びた眼差しで。

「過去に魔神との契約を交わした人物は何人もいるけれど、そのほとんどは伝説として歴史に名を刻まれている。例えば勇者たちね。魔神は、あなたを筆頭に、イフリート、イブリース、シャイターン、ジーニー、ウォーデン、ジュピター、レー、テュポーン、ルーアウモコ、マハーカーラ、ラーヴァナ……そして未だにはっきりとわかっていない謎の魔神を含めて計18柱。彼らは魔王ですら敵わない無敵の存在。だからこそ特定のダンジョンに封印されたと言われているの」

シルヴィアは俺の顔をじっと見た。

「魔神の力を行使するには、相応の『代償』が必要になる。この禁断の秘宝を、賢者が死んでから何百年もの間、誰かが持ち込んだとしたら……もしかしたら、その人物はこの館を手に入れるための『代償』として、何かを差し出したのかもしれないわね」

その考察は、あまりに鋭く、そして俺の背筋に冷たいものを走らせた。

「代償か……」

俺はぽつりと呟いた。シルヴィアとマーリドの視線が、俺に集中する。

「確かに俺には、心当たりがある。初めてこの館に訪れ、住むことを決めたあの時……このマーリドとの契約を交わした。その代償として、俺はこの敷地内から外へ出られなくなったんだ。……これが、俺が支払った対価だったのかもしれないな」

俺の独白を聞き、マーリドはふっと空中で姿勢を崩し、どこか楽しげな声で応じた。

『……中々鋭い考察をするではないか、星の探求者よ。そして奏多、自らの枷を理解したか。だが、真相を語るにはまだ早い。お前たちに教えるには、まだ私の主である奏多は……「まだまだ」だからな』

「まだまだ……?」

マーリドはニヤリと笑うと、再び沈黙を守った。部屋の空気が、少しだけ重くなる。賢者が残した手記には、一体何が記されているのか。そして俺が支払うことになるかもしれない、さらなる「代償」とは何か。館の歴史は、今、俺の手によって紐解かれようとしている。

第六十七話、いかがでしたでしょうか。

壮大な世界観の解説回でしたね! 18柱の魔神の設定、そして奏多に課せられた「代償」の真実。物語は一気に核心へと近づいていきます。

次回、いよいよ手記を読み解く!

次回:

「賢者の足跡! 奏多が継承するべき真の管理者とは!」

お楽しみに!

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