第六十六話:伝説の探求者との共同生活! 館に隠されたエルドラドの痕跡
シルヴィアの訪問により、ついに開かれた「謎の部屋」。
そこで見つけたのは、賢者エルドラドの遺した膨大な記録だった!
伝説の探求者と奏多の共同生活、これよりスタート!
シルヴィアは館の重厚な扉をくぐり、まるで宝箱を開ける子供のような期待に満ちた瞳で館全体を見渡した。彼女が手袋を外し、古びた壁の装飾を指先でなぞると、館の空気がわずかに震える。
「素晴らしいわ……。てっきり、長い間放置されてボロボロになり、蔦だらけの悲惨な廃墟になっているとばかり思っていたのに。この聖域、隅々まで磨き上げられているわね」
シルヴィアの感嘆に、俺は少し照れくさそうに頭をかいた。
「ああ、俺がここに来て、ここに住むことを決めてから……みんなで少しずつ掃除してきたんだ。なぁ、お前ら?」
俺が呼びかけると、館のあちこちから返事が返ってきた。足元で尻尾を振るレオの「ワンッ!」、ソファの上から優雅に鳴くミケの「ニャーッ!」、そして中庭からはゴロの「メェーッ!」という呑気な声に、インコのピーが「ピヨピヨッ!」と陽気に合わせる。
シルヴィアは目を丸くしてそれらを見つめ、思わずといった様子で口を開いた。
「どれもこれも、文献では見たことがない魔獣たちね! 生態系が独特すぎるわ。……それより、奏多。ここには古い書物や、記録が残されている場所はあるかしら?」
「……書物、か?」
俺が問い返すと、肩に浮遊していたマーリドが光を強めた。
『……あるぞ。ただし、厳重に封印が施され、鍵がかかっている』
「あの部屋か!?」
俺は瞬時にある場所を思い出した。初めてこの館を訪れた際、探索中に見つけた唯一の扉。そこだけはどんな力を込めても、物理的に開こうとしても、微動だにしなかった謎の部屋だ。鍵穴は複雑な幾何学模様をしていて、普通の鍵では到底太刀打ちできそうになかったため、諦めてずっと放置していたのだ。
『単純にその鍵を紛失しただけだ。……おそらく、私と契約を交わしたあの先代契約者が、うっかりどこかへ隠してしまったのだろう』
「うっかり……なくしたのかよ!?」
俺が脱力していると、傍らにいたルミナが何かに気づいたように「ん?」と小さく声を上げた。エリスも「うわぁっ!」と驚きの声を上げ、ヴィオラが「ハム!!」と叫ぶ。
視線の先には、ハムスターのハムがいた。ハムは自分の頬袋をモコモコと膨らませ、一生懸命に何かを吐き出そうと踏ん張っている。
「チュッ!!」
ハムが吐き出したのは、銀色に鈍く光る金属片だった。ベトベトした唾液で汚れているが、その複雑な形状は、あの謎の部屋の鍵穴に完全に一致していた。
マーリドが神々しい光を放ちながら、その金属片を凝視する。
『……まさか、それは……』
「鍵……だよな? ベトベトで臭いけど……よくこんなものを見つけてきたな!?」
ハムは誇らしげに鼻を鳴らし、自分の役割を終えたとばかりにルミナの肩へよじ登った。シルヴィアは目を輝かせ、その鍵を大切そうに受け取った。
「これが伝説の鍵……! 奏多、すぐに行きましょう! エルドラドの秘密が、この先にあるはずよ!」
シルヴィアの熱意に押され、俺たちは足早にあの謎の扉の前へと向かった。埃っぽい廊下を抜け、扉の前に立つ。鍵穴にハムが持ってきた鍵を差し込むと、カチリ、という乾いた音が響き、重厚な扉がゆっくりと音を立てて開いていった。
開かれた部屋の中には、驚くべき光景が広がっていた。そこには本棚などという生易しいものではなく、壁一面を埋め尽くすほどの古地図と、見たこともない魔導機器が所狭しと並んでいたのだ。
「これよ……! これこそが、エルドラドが残した探求の記録!」
シルヴィアの瞳が探求者のそれへと変わる。伝説の賢者の痕跡を追う、真の共同生活が今、ここから幕を開けようとしていた。
第六十六話、いかがでしたでしょうか。
ハムのファインプレー、かっこよかったですね! 謎の部屋の正体も明らかになり、物語は一気に核心へと近づいていきます。
次回、エルドラドの記録に記されていた衝撃の事実とは?
次回:
「賢者の手記! 奏多が知るべき、館の隠された歴史!」
お楽しみに!




