第六十四話:謎の来訪者! 抜群のスタイルを持つ彼女の正体とは!?
ヴォルグ撃退の報は、エリュシオン王国の首脳部にも届く!
一方、聖域に現れた謎の美女、シルヴィア。
彼女の正体は、誰もが知る伝説の考古学者「星の探求者」だった!?
管理者の館に、新たな物語が書き込まれる!
時を同じくして、エリュシオン王国の騎士団本営。
窓から差し込む朝日に照らされながら、騎士団長ガルスは、館から届いたばかりの奇妙な魔道具を見つめていた。その表情は、普段の厳格さからは想像もつかないほど高揚している。
「……ふむ。やはり、これほどの成果を上げるとはな」
ガルスが手にした魔道具は、情報の転送が終わると静かに沈黙した。それを見て、傍らに控えていた家臣の「ゼノス」が、不思議そうに問いかける。
「騎士団長殿、随分と嬉しそうですね。騎士団の魔道具から吐き出される形で届いたその報告書を見て、顔が綻んでいますよ」
ガルスは報告書の羊皮紙を軽く振り、ニヤリと口角を上げた。
「エリスからの報告だよ。驚くなよ、ゼノス。あの館の主、奏多に従う『ドウブツ』と呼ばれる未知なる魔獣たちが、魔王軍の幹部の一人――あの『骸の侵食者』ことヴォルグ・ザードと互角に渡り合ったそうだ。最後には、館にいた水の魔神マーリドが覚醒し、トドメを刺したらしい」
「なっ……なんと!? それは本当ですか!? あの帝国と魔王……どちらも我が国にとっては等しく脅威なのに、魔王の幹部クラスを倒しただと!?」
ゼノスは顔を蒼白にさせ、呆然と立ち尽くした。
「ただ、その凄まじいドウブツたちの主である管理人は、館を守るために全魔力を使い果たし、今は眠りについているようだ。……面白い。奏多、君はただの管理者ではないな」
ガルスが遠くの空を見つめる一方で、物語の舞台である聖域の館では、緊張感の走る対峙が始まっていた。
敷地の結界が不自然に揺らぎ、アイギスが即座に反応して戦闘態勢をとる。
「……侵入者を確認。排除を開始します」
「あらあら、うふふ。そんなに殺気立たないで。私はただの客人よ? あなたを傷つける敵対心なんて、これっぽっちもないわ」
その声は、甘く、それでいて肌に触れるような独特の湿度を持っていた。
俺は急いでプールサイドから駆けつけ、侵入者の前に立った。目の前には、圧倒的な美貌と、目を疑うほどに均整のとれた抜群のスタイルを誇る女性が立っている。
「誰だ、お前は?」
俺は眉をひそめた。見知らぬ美女。現世で幾度となく裏切られた経験がある俺にとって、こういう人間は警戒対象でしかない。……どうせ、この優雅な仮面の裏には、何か強欲な企みがあるんだろう。人間不信という名の鎧は、そう簡単に脱げない。
「あなたがここの管理人かしら? 噂通り、不思議な雰囲気を持つ方ね。でも、大丈夫! 怖がらないで!」
女性は人差し指を口元に当て、茶目っ気たっぷりに笑った。しかし、俺の警戒心は解けない。その時、エリス、ルミナ、ヴィオラが、まるで雷に打たれたかのように硬直した。
「……!?」
ヴィオラが手からメモ帳を落とすのも構わず、信じられないという顔で叫んだ。
「あ、あなた……まさか……ッ!」
俺は困惑し、振り返る。
「えっ? みんな、何か知ってるのか? こいつは一体……」
ヴィオラは震える声で答えた。
「知ってるわよ……っていうか、この世界で知らない人間なんていないわ! なぜ、あなたがこんな辺境の館にいらっしゃるの!?」
エリスは膝を折り、騎士としての敬礼を捧げようとした。
「あ、あのお方は……伝説の考古学者にして、世界中を渡り歩く『星の探求者』……!」
ルミナは胸に手を当て、憧憬の眼差しを向ける。
「……まさか実在したなんて。歴史の教科書でしか見たことのない、伝説の人物です……!」
目の前の美女は、困ったように肩をすくめ、俺にゆっくりと近づいてくる。その一挙手一投足に、周囲の空気さえも澄み渡るような不思議な輝きが宿っていた。
「あらあら、紹介が遅れたわね。私は『シルヴィア』。……この世界に眠る、忘れ去られた物語や文明の遺産を探しているただの旅人よ。奏多、あなたの館には、とても素敵な『物語の種』がたくさんあるみたいだから……少し、お邪魔させてもらえるかしら?」
シルヴィアの正体。それは、単なる美女の域を超えた、この世界に名高い「歴史の観測者」だった。彼女の瞳は、まるで星の瞬きのように、あらゆる真実を見通しているかのようだった。俺は、彼女のその真っ直ぐな眼差しを前にして、自分の隠していた弱さを少しだけ見抜かれたような、そんな奇妙な錯覚を覚えた。
第六十四話、いかがでしたでしょうか。
ついに登場した伝説の美女・シルヴィア。彼女の目的は一体何なのか? そして、疑心暗鬼な奏多と彼女の関係はどう変化していくのか?
次回、シルヴィアと奏多の対話!
次回:
「伝説の探求者シルヴィア! 彼女がこの館を訪れた本当の目的とは?」
お楽しみに!




