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第五十六話:聖域の裁き、完遂! 侵食魔を飲み込む怒りの奔流

激闘の果てに、真の魔神としての力を解放したマーリド!

獣たちを館へ避難させ、マーリドによる「処刑」が始まる。

魔王軍特務部隊長ヴォルグを圧倒し、その存在を浄化する神の力!

蹂躙処刑ショーの幕が今、静かに下りる。

水晶のように輝く巨大な魔神として顕現したマーリドは、周囲を漂う不浄な霧を、まるで塵を払うかのように指先で弾き飛ばした。かつての儚い光の姿からは想像もつかない、荘厳かつ冷徹な威圧感が森全体を支配する。

『さて、ここからは我による処刑を行う。傲慢なる侵食魔よ、貴様の無様な末路をこの地の土に刻んでやろう』

マーリドの声は、空気を直接振動させ、魂の深淵にまで響き渡った。戦場の過酷な状況を察知したのか、勇敢なる獣たちは、その強大な魔神の姿を前に畏敬の念を抱きつつも、小さく唸ってコクリと頷いた。彼らは今の戦いが、自分たちの力の及ぶ領域を超越していることを本能的に理解していたのだ。

ハルは未練を残すことなく、その翼を大きく広げて館の屋根へと一直線に飛び去った。アイギスは「了解。撤収を開始します」と無機質に告げると、その頑強な鋼鉄の腕で、キング、グリズ、ルナ率いるオオカミ達、そしてゴング率いるゴリラ達を器用に抱え上げた。

「待ってーーー!!!! ヴィオラを置いていかないで!!!! せめてその……その美しい爪とか、魔神が纏う神聖な紋様とかを、近くで観察させて!!!! 私のメモ帳が、興奮で震え止まらないのよ!!!! ああ、データが! 貴重な魔神のデータがぁぁぁ!!!」

ヴィオラは、相棒たちがアイギスに運ばれていく背中を追いかけ、全力疾走で泥にまみれながら館の方へ駆け抜けていった。彼女の知的好奇心は、神の力の前にあっても揺らぐことはない。

マーリドは、去りゆく者たちを見届けると、ふっと表情を氷のように凍らせた。

『さて……これで邪魔者はいなくなった。奴らを巻き込むわけにはいかんからなぁ……。聞こえるか、奏多よ。これが魔神としての本来の力……この場で見せてやろう。我ら魔神の力は、魔王の分身ですら敵わぬことを』

地下要塞のコンソールを通じて、俺は肌が粟立つほどの神気を感じていた。

「ああ……聞こえているぞ、マーリド。思う存分、やってくれ。この聖域を穢し、俺の相棒たちを傷つけた代償を、奴に支払わせるんだ」

マーリドが掌を空に向けると、大気中の全ての水分が瞬時に凝縮し、周囲の森が重力から解き放たれたかのように、浮遊し始めた。

『傲慢なる侵食魔よ。貴様が愛したその暗黒の霧、今度は貴様自身の魂を飲み込む底なし沼へと変えてやろう。……知恵の海に溺れ、永遠の静寂に沈むが良い』

マーリドが右手を力強く振り下ろすと、頭上の雲を突き破り、天から濁流のような水柱が降り注いだ。それは単なる雨ではない。一つ一つの水滴が、神聖なことわりを秘めた「削り取る刃」となり、ヴォルグを逃げ場のない檻へと閉じ込めたのだ。

「ひ、ひぃぃぃ……っ!! なんだこの力は!? 結界の魔力とは次元が違う……! 私の侵食術が、水に溶かされていくだと!?」

ヴォルグは杖を構え、黒い闇の障壁を必死に張り巡らせた。しかし、その障壁はマーリドの放つ水の波動に触れた瞬間、紙屑のように分解された。黒いローブが、肉体が、そしてヴォルグの纏う「魔王の加護」さえもが、清浄な水によって洗い流され、浄化されていく。

『貴様は霧になることを望んだな。ならば、永遠の潮流ながれの中で、その無意味な存在意義を溶かし続けよ』

マーリドが手を握りしめると、ヴォルグの周囲の空間が巨大な渦となった。ヴォルグの絶叫が空間を切り裂く。彼は自分の身体が霧のように薄れ、そして神聖な水に吸収されていくことに気づき、恐怖に顔を歪めた。

「やめろ……ッ!! 私は魔王様の尖兵として、この館を……ッ!!」

『魔王の尖兵? 笑止。貴様のあるじさえも、この「知恵の海」の前では無力な一滴に過ぎん』

マーリドの最後の一撃が放たれた。巨大な水竜が舞い降り、ヴォルグの存在そのものを飲み込んだ。怒りの奔流は森を蹂躙することなく、ヴォルグが侵食した大地のみをピンポイントで浄化し、元の美しい緑へと戻していく。

ヴォルグの存在が消滅した跡には、ただ清らかな水溜まりだけが残された。

聖域の裁きは完遂された。俺は激しい疲労感に襲われながら、地下要塞のコンソールに刻まれた平和の印を見つめた。

「……終わったな」

マーリドの神威がゆっくりと収束し、元の光の精霊としての姿へと戻っていく。その姿からは、先ほどまでの激昂は嘘のように消えていた。館の外側を覆っていた結界が、再び穏やかな金色の光を放ち、聖域を優しく包み込んだ。

しかし、その瞬間、俺の視界が急速に暗転し始めた。全身の魔力を使い果たし、限界を迎えた管理者としての意識が、深い闇の底へと落ちていく。

第五十六話、いかがでしたでしょうか。

マーリドの圧勝、まさに神業でしたね! ヴォルグという強力な脅威を退け、館には再び平穏が訪れました。しかし、奏多の身体には……。

次回、激闘の代償。管理者、力尽きて倒れる!?

次回:

「管理者の限界! 魔力を使い果たし、訪れた深い眠り」

お楽しみに!

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