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第四十五話:管理者の秘密を守れ! 館の防衛設備、王国の技術者たちが大分析!

バルドゥス陛下を見送り、束の間の休息……かと思いきや、今度は王国の凄腕技術者集団が来訪!

彼らは館のあまりの超文明構造に戦慄し、大パニックに!

館は「伝説の賢者・エルドラド」の聖域だったことが判明し、奏多は改めてこの場所の重要性を知る。

マーリドの底知れぬ眼差しが見つめる先にあるものは……?

「さて、そろそろ帰還の途に就くとしよう……おっと! これだけは言っておかねばならんな」

去り際、バルドゥス四世陛下は足を止め、ルミナの方を向いて静かに語りかけた。その瞳には、一国の王としての威厳ではなく、一人の人間としての深い後悔と慈愛が滲んでいた。

「ルミナ姫よ……すまなかった。あの時、我が国の防衛が万全であれば、あと少し早く援軍を差し向ければ、君の故郷を失わずに済んだはずなのだ。あの頃の我が国は、帝国軍の執拗な奇襲と破壊工作で手一杯でな……。許してくれとは言わん。そんな権利は私にはないが……せめて君の今の居場所を守ることこそ、今の私にできる精一杯の罪滅ぼしだと思っておる。どうか、ここで健やかに暮らしておくれ」

ルミナは静かに深く頭を下げ、「ありがとうございます……」とだけ絞り出すように呟いた。

陛下は騎士団と家臣団に厳重に護衛されながら、エリュシオン王国への帰途に就いた。それに続いて、商人ゼノも深々と頭を下げる。

「では、我らはこれで失礼します! アヴァロン王国への輸入品を仕入れてまいりますので、またここへ寄る時にお代金を支払います。道中の安全は、この館のおかげで保証されたも同然ですから!」

商人たちのキャラバンが去り、館は再び俺たちだけの静寂を取り戻した。だが、その平穏は長くは続かなかった。

数日後。

再び森の道を、今度は以前よりも重苦しく、そして活気に満ちた音を響かせてキャラバンがやってきた。やってきたのは、あのゼノたち商人集団と、見慣れない――いかにも理知的な雰囲気を漂わせる技術者たちの集団だった。

「アレは、我が国で名のある技術者たち……まさか、陛下のご命により技術交流を!?」

エリスが困惑する中、先頭に立った白髪の老技術者が一歩前に出る。彼は手にした計測器を誇らしげに掲げた。

「陛下からの特命により、急ぎ参上した! 我が名はギルバート・ヴォーダン。王国の魔導技師団を統括する者だ! 館の主よ、これは単なる改築ではない。あなた方の居場所と、この森の平和を守るための防衛拠点化計画だ!」

「え、おっと……いきなりだな」

ギルバートは俺の動揺をよそに、目を輝かせて館の壁面を撫で回した。

「そのための防衛設備を設置するが……その前に、この館の全貌を分析させてくれ! 勿論、陛下により館の秘密を外へ漏らさないという厳粛な誓約は、既に皆が署名済みだ!」

その時、空間が歪み、いつもの光の姿のままマーリドが現れた。

『……ふむ。人間どもの好奇心か。面白い。私が代わりにお前たちを監視してやろう。変な気を起こせば、その瞬間に館の防衛機構が火を吹くぞ。心してかかるがいい』

こうして、王国の精鋭技術者たちによる「館の分析」が始まった。

しかし、その作業は開始早々から驚愕と戦慄の連続だった。彼らは館の壁に触れ、床の材質を測定するたびに、血の気が引くような顔をしていった。

「な、なんだこれは……!? この壁の素材、純度の高い『アダマンタイト』を基盤に、未知の魔力伝導金属が練り込まれているだと? しかも、この壁内の回路……魔法陣と機械構造が完全に融合している。数百年どころか、我々の文明を数段階追い越している!」

「おい、動力炉を見ろ! どこから無限に近い魔力を吸い上げているんだ? 計測器が……計測器が魔力過多でオーバーヒートしたぞ! この館そのものが、一つの巨大な魔道具なのか!?」

彼らはまるで未知の宇宙へ迷い込んだ探検家のように困惑し、そして知的好奇心に突き動かされ、狂喜した。

途中からギルバートが、自分の鞄からぼろぼろの古い本を取り出した。彼は震える手でそれを俺に見せてくれた。

「見てくれ。これは王宮の奥深くに眠っていた、禁書に近い古文書だ。ここには『伝説の賢者・エルドラド』が、森の凶悪な魔物たちが王国へ襲来するのを防ぐために、命を賭して築き上げた封印の要所――『静寂の聖域、アイギス・ガーデン』について記されている。……だが、技術者としての分析では、数百年以上前のものと仮定しても、当時の技術体系とは乖離しすぎている」

俺も正直言って、この館の全容を理解しているとは言い難い。賢者の後に住んでいたという、アイギスを生み出した張本人の錬金術師の記録はあっても、それは氷山の一角に過ぎないようだ。

マーリドは今、技術者たちを監視することに夢中だが、その背中にはどこか「見守る保護者」のような余裕がある。俺がある程度成長しなければ、あるいは「管理者」としての真の力を発揮しなければ、教えてくれないことが山ほどあるのだろう。

俺はふと疑問を抱いた。マーリドはいつからここにいるんだ? 姿も性別も謎のまま、当たり前のように俺のステータスや転生者の事情まで見抜いている。

契約により敷地外へは出られないというが、それも賢者の遺産を守るための使命感なのか、あるいはもっと別の目的があるのか。

彼は俺が一度も「転生者」だとは言っていないのに、まるで当然のことのように異世界の知識や魔獣召喚の仕組みについて触れてくる。見抜いていた……いや、最初から知っていたのか? やはりヴィオラが言っていた通り、知恵の魔神としての一面は伊達ではないらしい。

「まあ、今は考えるだけ無駄か」

俺は管理者として、まだまだ道の途中だ。

技術者たちの驚嘆の声を聞きながら、俺はこの館が持つ「過去」と、これから自分が切り拓く「未来」の重みを、改めて噛み締めていた。コーヒーの香りが漂うこの場所が、いずれ世界を左右する要塞になることなど、今の俺にはまだ想像もつかないことだった。

第四十五話、いかがでしたでしょうか。

技術者たちの分析によって、館の謎が少しずつ明らかになってきましたね。一方で、マーリドの正体や目的がより一層ミステリアスに!

次回、技術者たちが分析中に、館の地下深くから謎の「信号」が……?

次回:

「地下に眠る動く要塞? 館が鳴動する時!」

お楽しみに!

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