第四十四話:王国の重要物資! 伝説のコーヒー、独占取引の成立
バルドゥス陛下とアヴァロン商人ゼノの思惑が合致!
アルカディア王国滅亡の痛手を負うエリュシオン王国にとって、この貿易路とコーヒーはまさに「救い」。
国王直々の許可により、面倒な手続きなしの「独占取引」が成立!
さらに、国王を守るために騎士団も集結し、館は国家レベルの重要拠点へ!
バルドゥス四世陛下は、空になったカップを名残惜しそうにテーブルに置き、慈父のような眼差しで俺を見つめた。その瞳には、一国の王としての威厳と共に、一人の人間としての温かい好奇心が宿っていた。
「フォフォッ……美味かった。これほど心に染み渡る味は、久方ぶりじゃ。若者よ、君がこの館の主かな? 堅苦しい挨拶は抜きにして、名前を聞かせてもらえるかのう?」
アルヴィンが慌てて一歩前に出た。
「陛下、お言葉ですが礼を失しては……! ……ええと、彼はカザマ・カナタ、風間奏多と申します。この森の管理者でございます」
俺は軽く会釈をした。
「風間奏多です。不躾な形での接遇、お許しください」
「奏多、か。良い名じゃ。うむ! これからもよろしくのう、奏多君! それと、そちらの……確か『ドウブツ』とやらも、是非とも仲良くしたいわい。彼らの毛並みの良さと、あの溢れ出る生命力……ただの魔物ではないことは、一目見て分かったぞ」
陛下がレオの頭をポンと撫でると、レオは喉を鳴らして大人しく身を委ねた。王の威厳を前にしても微塵も動じないその姿に、アルヴィンをはじめとする家臣たちは感服した様子で溜息をつく。
商人ゼノが、ここぞとばかりに交渉の場を進める。
「陛下! この度、我らアヴァロン王国とエリュシオン王国との本格的な貿易ルートを開拓できること、商人ギルドとしてもこの上ない名誉でございます! この館は、我々にとってまさに『奇跡の安全拠点』。ここを利用することで、危険な遠回りを回避し、最短距離で物資を届けることが可能となります!」
バルドゥス陛下は深く頷き、その表情をわずかに引き締めた。
「うむ、確かにそんな話をしておったわい。我が国の同盟国であり、ルミナ姫様の故郷でもあったアルカディア王国が、あの憎き帝国の侵攻によって滅ぼされたことで、我が国の経済は壊滅的なダメージを負った。アヴァロン王国よ……そなた達には、我が国のために遠回りの交易路を強い、大変不便な思いをさせたな。だが……この館を利用した最短距離の貿易が実現するなら、我が国の民も救われる」
陛下の視線が、再び俺へと向けられた。
「……じゃが、条件がある。この『至高のコーヒー』を、必ずや我が国へも優先的に回してほしい。我が国の復興と民の士気向上のために、このコーヒーは今や国家重要物資といっても過言ではないのだ。……良いかな、奏多君?」
俺は迷うことなく頷いた。
「はい。この館で採れるコーヒーの一部を、エリュシオン王国へ優先的に卸す契約をしましょう。ただし、品質管理のために館の栽培基準を守っていただくことが条件です」
「寛大な申し出、感謝する!」
陛下は満足げに笑うと、背後のエリスへと視線を送った。
「エリスよ。すまんが、貿易に必要な煩雑な手続きはすべて免除してやれ。この館と我が国との交易に関しては、私が直々に許可を出した。……王国の法よりも、奏多君との信頼関係を優先すると宣言する!」
エリスは膝をつき、凛とした声で応じた。
「ハッ! 陛下の御意のままに!」
その時だった。館の外から整然とした鎧の擦れる音が響いてきた。
いつの間にか、門の前――アイギスが鎮座する防衛圏の外側には、この森に設置された支部に待機していた騎士たちが集結していた。
どうやら、王国にいる騎士団長ガルスの代わりに、同行していたアルヴィンたちが通信魔道具を駆使し、森の支部に待機していた隊長へ極秘裏に動員を命じていたのだ。王の安全を確保し、かつこの新しい交易路を正式な王領地として警護するために。
アイギスが静かに門を開く。その先には、整列した騎士たちが王への敬礼を捧げている姿があった。
「陛下、護衛の支隊が到着いたしました。これより、本拠点と王都を結ぶ物流ラインの警備を万全にいたします」
「うむ。苦労をかけたな」
館を囲むように展開する騎士たちの姿を見て、俺は改めてこの館が、単なる「俺たちの隠れ家」から、王国の未来を背負う重要拠点へと昇格したことを実感した。
コーヒーの香りが、戦火に焼かれた国々に再び希望をもたらす。それは、かつて召喚された時には想像もできなかった、平和への新たな道のりだった。
第四十四話、いかがでしたでしょうか。
ついに王様との取引が成立し、館の立ち位置が激変しましたね! 奏多の隠れ家ライフは一体どこへ……?
次回、騎士団が集まったことで、館の「ある設備」が王国の技術者たちの目に留まり、さらなる改造計画が持ち上がる……?
次回:
「管理者の秘密を守れ! 館の防衛設備、王国の技術者たちが大分析!」
お楽しみに!




