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第四十三話:至高の一杯を求めて! 意外な来客とコーヒーの試飲会

コーヒーの収穫に成功したその時、館に衝撃の来客!

なんとエリュシオン王国の国王・バルドゥス四世陛下が、噂を聞きつけて極秘訪問!

国王の目的は、死ぬまでに飲みたいと願っていた「伝説のコーヒー」の試飲。

国王を交えた、館での試飲会が幕を開ける!

ガイア・ジェネシスの結界内において、コーヒーの実の成熟は神業とも言える速度で進行した。設置からわずか一時間後には、木々は収穫に最適な色合いへと変わり、俺たちは袋いっぱいのコーヒー豆を収穫することができた。

「まさか、たった一時間で……。この森の土壌が肥沃であることは理解していたが、我が国では数年がかりの育成でもこれほどの実りは得られなかったのだぞ。……陛下も、ことあるごとに『死ぬ前にもう一度、高貴なコーヒーの香りを嗅ぎたい』と呟いておられたというのに……」

エリスは収穫されたばかりの豆の山を前に、騎士団長としての冷静さを完全に失っていた。俺は収穫したての豆を丁寧に袋詰めしながら、商人ゼノに視線を向けた。

「ゼノ、この収穫したコーヒー豆をエリュシオン王国へ運んでくれないか? お前たちはこれからそちらへ向かうんだろう?」

「もちろんです! 最高額での取引を保証しますが、あまりに急すぎて、王国側への根回しが……」

ゼノが言い淀むと、エリスが力強く胸を張った。

「ここからの王都への通信や、検問の手続きはすべて私に任せろ。国王陛下への直訴状も私が責任を持って認める」

その緊張感のあるやり取りの最中、館の防衛結界が異常を感知して警告音を鳴らした。

「警告、警告! 未知の個体、および多数の武装個体を検知! 館の排除範囲内まで接近中!」

アイギスが庭の入り口で鋭く警告する。「……何者だ。停止しろ」

森の中から現れたのは、質素な旅装束を纏いながらも、圧倒的な威厳と覇気を放つ老紳士だった。その後ろには、必死の形相で追いすがる騎士団長アルヴィンと、汗だくの家臣たちが続いている。

「フォフォッ……アルヴィン君から『とんでもない館がある』と聞いていたが、まさかこれほどとはな。本当に実在していたとは……驚きじゃ」

館から飛び出した俺たち全員が、目の前の光景に絶句した。

「へ、陛下!?」

エリス、ルミナ、そしてゼノが同時に悲鳴のような声を上げて跪く。

「この方が……エリュシオン王国の現国王、バルドゥス四世陛下だ!」

ヴィオラが興奮を隠せない様子で小声で教えてくれる。俺は呆然としながらも、慌てて背筋を伸ばした。目の前の老人は、一国の王とは思えないほど好奇心に満ちた眼差しで、庭に群がる動物たちを見回していた。

「……ほう? 見たこともない魔獣たちがおるのう。どれもこれも、図鑑には載っておらぬ個体ばかりだ」

アルヴィンが冷や汗を拭いながら進言する。

「陛下! この館にいらっしゃる個体は魔獣ではなく、『ドウブツ』と呼ばれているそうです! くれぐれも不用意には……!」

「ドウブツ? 聞いたことがないのう……ん? おや?」

バルドゥス陛下は、俺が手に持っていたコーヒー豆の袋に目を留めた。その瞬間、老王の瞳から冗談めいた光が消え、静かな熱が宿った。

「……まさか、これは……間違いない! 見間違えるわけがなかろう!! この香りと色艶……若者よ、すまんが、それを一杯だけ飲ませてくれないか? 本物かどうかを、この舌で確認したいのじゃ」

周囲が凍りつく中、ゼノが震える声で助け舟を出した。

「陛下、館の設備で淹れ直せば、鑑定も兼ねて試飲が可能です……!」

幸いにも館には、コーヒーを淹れるための道具が完備されていた。ルミナが手際よく豆を挽き、丁寧にドリップしていく。広間にコーヒーの香りが充満していく。それは、エリュシオン王国が長年追い求めていた「伝説の香り」そのものだった。

試飲会が始まった。バルドゥス陛下、アルヴィン、エリス、ルミナ、そしてゼノ。俺たちは緊張の面持ちでカップを掲げる。

その傍らで、レオやキングたち動物の面々は「また変な飲み物を飲んでいる」と言わんばかりに、アクビをしたり、木陰で昼寝をしたりと、この緊張感とは無縁の平和な空気を漂わせていた。

陛下がゆっくりと一口含み、長く閉じていた目を開く。

「……至高じゃ。これは……死ぬ前に味わえるとは。若者よ、この館は一体、何を目指しておるのじゃ?」

老王の問いかけに、俺はコーヒーの温かいカップを見つめながら答えた。

「……ただ、平穏に過ごしたいだけですよ。その結果が、このコーヒーです」

一国の王をも魅了するコーヒー。この館の運命は、今、この一杯の香りと共に大きく動き出そうとしていた。

第四十三話、いかがでしたでしょうか。

ついに王様が登場し、物語が一気に政治的な広がりを見せましたね。国王の「死ぬ前に」という言葉が重いですが、コーヒーがそれを救うきっかけになれば嬉しいですね!

次回、国王とのコーヒーを巡る正式な取引が成立し、館の将来は安泰……?

次回:

「王国の重要物資! 伝説のコーヒー、独占取引の成立」

お楽しみに!

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