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第四話:管理人の休日!屋敷の庭で家庭菜園、そして森からの来客?

屋敷の大掃除を魔獣たちに任せ、奏多は荒れ果てた庭の開拓に乗り出す。

現世での経験を活かし、ヤギ、モグラ、ミツバチといった「農家の心強い相棒」を召喚。魔法と労働が交差する庭で、奏多は農家としての誇りを取り戻していく。

しかし、穏やかな時間は長くは続かなかった。

庭の奥、森の境界で奏多が見つけたのは、傷つき倒れた一頭の「虹色のドラゴン」の子供。

ファンタジーの伝説そのままの姿をしたその生物を助けたことで、奏多の閉ざされた隠居生活に、波乱の予感が満ち始める――。

館の大掃除は、レオやミケ、そして小さき五匹の相棒たちに任せておけば安心だ。ハムたちの献身的な働きのおかげで、屋敷の内部は驚くべき速さで輝きを取り戻しつつある。

「よし、館の中は任せたぞ。俺は庭の様子を見てくる」

俺はゴールデンレトリバーのレオと、三毛猫のミケを連れて、玄関から裏庭へと続く重い扉を開いた。

……絶句した。

そこには「庭」などという生易しいものではなく、数百年もの間、飽和した魔力を浴びて暴走しきった植物たちのジャングルが広がっていたのだ。

「……まじかよ。これは流石に、掃除のレベルじゃないな」

実家の農家で父の手伝いをしていた経験がある俺でも、この荒れ具合には頭を抱えた。雑草は人の背丈を優に超え、毒々しい色の毒草がうごめくように根を張っている。だが、逆に言えば、ここには豊かな土壌と、魔力を帯びた恵みがあるということだ。

父に教わった農耕の基礎知識が、俺の中で疼く。

「ここを畑にできれば、俺たちの食卓はもっと豊かになるはずだ」

だが、この広大すぎる庭を人力で開墾するのは、不可能に近い。

俺は深呼吸をし、再び【異世界魔獣召喚】のスキルを起動した。

「今度は、力仕事を頼める相棒たちが必要だ」

今回は農家としての経験に基づき、農業に深い縁のある動物たちを召喚する。

俺が指を鳴らすと、魔法陣が足元で眩しく輝いた。光の中から現れたのは、農業の頼れる仲間たちだ。

一匹目は、強靭な胃袋で頑固な雑草を根こそぎ食らい尽くすヤギの『ゴロ』。

二匹目は、鋭い爪で地中を駆け巡り、硬い土を瞬時にふかふかへと変えるモグラの『モグ』。

そして三匹目は、ブンブンと頼もしい羽音を立てて現れた、女王蜂を頂点とするミツバチの群れ『ビー』たちだ。

「さあ、みんな。まずはこの荒地を、野菜が育つ畑に変えよう!」

ゴロが暴走する雑草を次々と平らげ、モグが地中から土を掘り起こして耕す。ミツバチのビーたちは、庭に咲き乱れる魔力を帯びた花々から蜜を回収し、受粉を促すことで作物の成長を劇的に加速させる。

かつて父が「土は生き物だ」と言っていた言葉が、この異世界で完璧に体現されていた。

日が暮れる頃には、庭の半分が見違えるような肥沃な土壌へと変わっていた。

土の匂い、植物が息づく清々しい気配。館の管理者という役割に囚われていた俺の心に、農家の子としての純粋な喜びがじわりと広がっていく。

「ふう……。とりあえず、今日はここまでか」

俺がレオの頭を撫でながら、満足げに汗を拭ったその時だった。

庭の端、深い森との境界線にある藪が、バサリと大きく揺れた。

『……ギィィ……ッ!』

鋭く、そして苦悶に満ちた叫び声。

俺は反射的に身構えた。レオとミケも低い唸り声を上げ、俺の前に立ちはだかる。

警戒しながら藪をかき分けると、そこには信じられない光景があった。

「嘘だろ……」

そこに倒れていたのは、一頭のドラゴンだった。

体長はまだ小ぶりで、どうやら子供のようだ。背中にはゲームの攻略本で見たような、堂々たる翼がある。全身を覆う鱗は、見る角度によって七色に揺らめく虹色をしていた。

特筆すべきはその頭部だ。髭はないが、その鋭い眼光と額の角の造形は、現世の寺院の天井画で見た、あの威厳ある「龍」の姿に酷似していた。

その虹色の鱗の一部が砕け、そこから黒い霧のようなものが漏れ出している。

どうやら、森の支配を巡る争いで深手を負ったらしい。

「……可哀想に。お前、ここまで逃げてきたのか?」

ドラゴンは、俺を鋭く睨みつけたあと、力なく目を閉じた。その呼吸は浅く、今にも消えそうだ。

館の管理人として、森の生物を屋敷に入れるのは契約違反かもしれない。だが、この傷つき震える小さな生き物を見捨てて、どうして農家の子と言えるだろうか。

「レオ、ミケ。今はこいつを助けるのが先だ」

俺は、まるで宝石を扱うかのようにドラゴンを慎重に抱き上げた。

その身体からは、焚き火の後のような温かさと、大気の魔力そのものが漂っている。

屋敷へと急ぐ俺の背後で、森の闇が不穏に蠢いた気がした。

巨大な空き家での生活は、ただの静かな隠居生活では終わりそうにない。俺の管理する屋敷に、最強の生物が舞い込んでしまったのだから。

俺は扉を開き、この屋敷の管理者として、未知なる小さな訪問者を迎え入れた。

第四話、いかがでしたでしょうか。

ついに登場しました、「虹色のドラゴン」!

奏多の優しさがきっかけで保護することになったこのドラゴンですが、果たしてこの館で無事に育つのか、そして彼が物語にどんな影響をもたらすのか……私自身もドキドキしながら執筆しています。

次回、「ドラゴンの看病と、魔力に満ちた家庭菜園の恵み」

怪我を負ったドラゴンの容態は? そして、奏多が開拓した庭で収穫された野菜には、驚くべき力が宿っていた……?

次回もお楽しみに!

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