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第三話:管理人の責務!魔獣と挑む、数百年分の亡霊屋敷大掃除

謎の精霊「マーリド」と契約を交わし、亡霊屋敷の管理者となった風間奏多。

彼は、現世で愛した小さな動物たちを【異世界魔獣召喚】で呼び出し、広大な屋敷の清掃という途方もない任務に挑むことになる。

しかし、マーリドから告げられた契約の真実は、奏多にとってあまりにも重いものだった。

「お前は、死ぬまでこの館から出ることはできない」

管理者であり、同時に「館の囚人」となった奏多。

それでも奏多は、魔獣たちと選んだこの場所で生きていくと覚悟を決める。

果たして、個性豊かな小さな魔獣たちと共に、亡霊屋敷を「最高のお城」へと変えることはできるのか?

契約の翌朝、俺は眩い光に包まれて目を覚ました。

昨日までの、よどんだ湿気を含んだ空気はどこへやら。館内は清浄な魔力に満たされており、窓から差し込む朝陽も、まるで祝福するかのように輝きを増していた。

「……さて、と」

俺は気合を入れ直し、大きく背伸びをした。昨夜、守護精霊マーリドとの契約によってこの館の管理人に任命された以上、ここを維持し続けるのが俺の新たな「仕事」だ。

しかし、いざ立ち上がって館を見渡すと、思わず溜息が漏れた。どこまでも続く広大なフロア、蜘蛛の巣に覆われた巨大なシャンデリア、埃に埋もれた調度品……。数百年もの放置は伊達ではない。その途方もない作業量に、俺は一瞬だけ眩暈めまいを覚えた。

「一人じゃ到底無理だ……。お前たち、力を貸してくれるか?」

俺の呼びかけに、ゴールデンレトリバーの『レオ』と、三毛猫の『ミケ』が心強い声で応える。

俺は深呼吸をして、意識を集中させた。今の俺はまだ、この世界では未熟な召喚術師に過ぎない。強力な幻獣や伝説の生物を呼ぶような魔力は持っていないが、現世で愛した小さな相棒たちを呼び出すことならできるはずだ。

【異世界魔獣召喚】。

俺の脳内に、現世の記憶にある愛くるしい五つの姿が浮かび上がる。

ハムスター、インコ、ウサギ、クモ、カタツムリ。

どれも、今の俺の魔力でも無理なく顕現させられる、親しみ深い相棒たちだ。

「頼む……! 来てくれ!」

ポポポ、という小気味良い音と共に光の粒子が弾け、五つの小さな影が出現した。

丸々としたハムスターの『ハム』、鮮やかな羽を持つインコの『ピー』、耳をぴょこぴょこと動かすウサギの『ラビ』、壁を軽快に駆けるクモの『スパイ』、そしてマイペースに角を揺らすカタツムリの『カタ』。

彼らはこの世界で、レオやミケと同じ「魔獣」として召喚された。

その瞬間、ハムが頬袋から光の粉を撒き散らすと、インコのピーが歌い出し、館内の淀んだ空気を浄化していく。ウサギのラビが高速で床を磨き、クモのスパイが網ではなく掃除用の糸で埃を回収し、カタツムリのカタが特殊な粘液で床をピカピカに磨き上げていく。

「すごい……! みんな、ありがとう!」

俺たちはチームになって、広大な館の掃除に取り掛かった。

レオとミケが大きな家具を移動させ、ハムやスパイたちが細かな隙間の汚れを落とす。まるで絵本のような光景だが、その効率は凄まじかった。館が綺麗になっていくにつれ、マーリドの機嫌も良いのか、館内の魔力濃度が心地よく整っていくのを感じる。

そんな中、俺が廊下の隅を掃除していた時のことだ。

突如として、脳内にマーリドの清涼な声が響き渡った。

『……奏多よ。掃除に精を出すのは良いが、一つ、忠告し忘れていたことがある』

俺は掃除の手を止めた。光の粒子が揺らぎ、マーリドの姿が背後に現れる。

『この館は、強大な魔力を秘めた境界にある。ゆえに、お前が管理者としてこの地と契約を結んだ以上、お前自身もまた、この館の一部となったのだ』

マーリドの声は、どこまでも冷徹で、そして無慈悲だった。

『お前は死ぬまで、この館の外に出ることはできぬ。外出を望むのであれば、その都度、私に願い出て許可を得よ』

心臓が大きく跳ねた。

「……外に、出られない? どういうことだ」

『言葉通りの意味だ。この館を守るための代償、と言えば分かりやすいか。お前は管理者であり、同時にこの館の「囚人」でもあるのだ』

俺は絶句した。外の世界を知らないままで、一生を終えるということか?

追放された森とはいえ、ここは外の世界と繋がっていた。しかし、管理人の座は、同時に俺から自由を奪う鎖でもあったのだ。

レオが俺の脚を心配そうに舐め、ラビが足元でぴょんぴょんと跳ねる。

俺は小さく溜息をつき、再びデッキブラシを握りしめた。

「……分かった。俺にはもう、帰る場所も、待っている人間もいない。なら、ここでこの子たちと生きていくことが、俺の人生だ」

俺の覚悟を聞いたマーリドは、満足げにその光の姿を揺らした。

『その覚悟、忘れるな。管理者よ』

マーリドの気配が薄れた後も、俺の手は止まらなかった。

死ぬまで出られないのなら、ここを世界で一番素敵な場所に変えてやればいい。

俺の、そして相棒たちの、巨大な空き家での生活は、ようやく始まったばかりなのだ。

第三話、いかがでしたでしょうか。

ついに「掃除」という名の労働が本格化しましたが、まさかの「外出禁止」という契約の代償が発覚しました。

レオやミケ、そして新たな小さな五匹の相棒たちと、奏多の「囚われのスローライフ」はこれからどうなっていくのでしょうか。

次回:

「管理人の休日!屋敷の庭で家庭菜園、そして森からの来客?」

お楽しみに!

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