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第三十九話:管理者のコーヒータイム? 商人たちと館の秘密

ついに館にアヴァロン王国の商人が到着!

伝説の高級品「コーヒー」で彼らをもてなし、正式な交渉のテーブルに着く奏多。

「動物」との共生を目の当たりにした商人ゼノは、この館の真の価値に気づく!

交易ルートが正式に開通する、記念すべき一日!

重厚な門が開かれ、緊張と困惑に塗り固められた商人たちのキャラバンが、館の中庭へと足を踏み入れた。彼らがこれまで命懸けで駆け抜けてきたデンジャラスフォレストの死地とは明らかに隔絶された、異様なほど整備された空間。そして、周囲を悠々と徘徊する未知の動物たちの威圧感に、商人たちの歩調は止まり、彼らは直立不動のまま凍りついていた。

その静寂を打ち破ったのは、館の「公認の変人」こと魔物研究家、ヴィオラだった。

「ようこそ!! よくぞ来てくださいましたぁ!! 見て、あの荷車の車軸の構造! この過酷な森を走破するための特注品ね? ああ、素晴らしいわ! さあさあ、中へ! 測定をさせてちょうだい!」

彼女が商人の一人に飛びつこうとしたその瞬間、背後から無骨な腕が伸び、ヴィオラの襟首を正確に掴んで引き留めた。

「ゲッ!! あの変人魔物研究家のヴィオラではないか!? なんでお前がこんな辺境の魔境にいるんだ!!」

商人たちのリーダーらしき中年男性が、顔を引きつらせて叫ぶ。ヴィオラは学会でも「魔物に取り憑かれた変人」として有名であり、商人たちの間でもその熱狂ぶりは悪名高いものだった。

「エリス!? は、離して!! 今すぐ彼らの代謝データと筋肉の疲労度を調査しなきゃいけないのよ! 貴重なサンプルなんだから!」

エリスは深く溜息をつき、商人たちに向かって毅然と頭を下げた。

「怖がらせてすまない。私は王国騎士団のエリスだ。ここの館には、王国と正式な協力関係にある管理者が住んでいる。ここにいる魔獣……いや、動物たちは、教育されており、そちらに危害を加えるつもりはない。安心してくれ」

商人たちは目を丸くした。「ドウブツ……? なんだそれは。……魔物のことか?」

その時、これまで沈黙を保っていたアイギスが、機械的な音を立てて一歩前へ出た。その無機質な目が青く発光し、商人たちを精密にスキャンする。

「……来客、認識。許可する。広間へ……通過せよ」

重厚な玄関扉が自動で開き、中から芳醇で、この世のものとは思えない香りが漂ってきた。ルミナが不思議そうに顔を覗かせる。「あら……何だか騒がしいですね?」

俺は苦笑しながら、茫然とする商人たちを手招きした。「……もしかして、噂の貿易キャラバンか。ちょうどいい、温かいものでも飲んでくれ」

俺たちは商人たちを広間へと招き入れた。テーブルには、ルミナが淹れたばかりの挽きたてコーヒーが並べられている。この世界では王族や一部の特権階級しか口にできない、門外不出の超高級品だ。

コーヒーの香りが広間に広がると、商人たちは目を白黒させた。

「こ、これは……まさか、王都の貴族が晩餐会で嗜むという『黒き滴』では……!?」

商人の代表が震える手でカップを口にする。一口含んだ瞬間、彼の顔色が劇的に変わった。

「……なんと。このコク、この深い苦みと後味……。今まで飲んだどんな高級品とも違う。……これは、ただのコーヒーではない……!」

商人の代表は涙目になりながら名乗った。

「私はアヴァロン王国からやってきた行商人、ゼノ。水産加工物や魔導石を運ぶ商人ギルドの責任者です。念願のエリュシオン王国との貿易ができて光栄です。まさかあのデンジャラスフォレストの中にこのような館があり、そこが安全な中間拠点になるとは……」

ゼノは深々と一礼し、改めて自己紹介を続けた。

「……ゴホンッ! 失礼した。あまりの衝撃に……。私たちは、アヴァロン王国からエリュシオン王国への正式な貿易ルート開拓を使命として参りました。……もしこの館が我々の安全を保障してくださるなら、我がギルドは他を差し置いてでも、ここを最優先の交易拠点として利用させていただきます」

俺はコーヒーを一口飲み、窓の外でレオとクロが仲良く遊んでいる姿を眺めた。

「ああ、許可しよう。通行料や安全の確保については、エリスとルミナが詳細をまとめている。……ただ一つ、条件がある」

「条件……でしょうか?」

「この館では、動物たちが一番だ。彼らを驚かせたり、不当に扱ったりしないこと。それさえ守れば、ここはお前たちにとって、この森で最も安全な場所になるはずだ」

ゼノは力強く頷いた。

「もちろんです! このような『動物』たちと共生する館……。お噂は聞いておりましたが、実際に見て、今、確信いたしました。ここは単なる中継地ではない……新しい世界の中心です!」

商人たちの驚きと感動をよそに、俺はルミナと視線を交わした。

これで、水の都アヴァロンとのパイプが繋がった。コーヒーの苦みが、不思議と今の俺には最高のご馳走に思えた。

第三十九話、いかがでしたでしょうか。

コーヒー一つで商人の度肝を抜く展開、いかにも異世界ものらしくて楽しいですね! これで館の経済的自立も加速しそうです。

次回、ゼノたちの荷物の中に、アヴァロン王国特有の「ある魔道具」が含まれていることが判明し……?

次回:

「水の都の贈り物! アヴァロン王国からの不思議な魔道具」

お楽しみに!

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