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第三十二話:管理者の審問! 管理者として初めての王国側との対面

ついに王国側との直接対面を果たした奏多。

伝説の館の管理者として、騎士団長やギルドマスター、そして王家の家臣による厳しい審問が始まる!

クロやレオの証拠を前に、王国側も無視できない存在として奏多を認識し始めるが……。

奏多の「居場所を守る」という決意は、王国にどう響くのか!

館の広間に充満する緊張感は、かつてないほど高まっていた。

庭先に並ぶ魔獣たちの威圧感に、王国騎士団の精鋭たちも、さすがに武器を握る手が震えている。彼らにとって、目の前の風景は現実と空想の境界が曖昧になったような異様なものだったはずだ。その時、ギルドマスター・バルトが庭を見渡し、レオとクロの姿を凝視して目を見開いた。

「んっ!?」

騎士団長ガルスが訝しげにその背中を見る。

「どうされた? ギルドマスター」

「あ、あの魔獣たちだ……! まさか、いや、まさかとは思うが……アレンが報告書で必死に訴えていた『イヌ』とやらの魔獣と、『ウマ』とやらの魔獣ではないのか!?」

その言葉に、庭にいた当の本人――いや、本獣たちが反応した。クロが首を傾げて「ブルルッ?」と鼻を鳴らし、レオが人懐っこく「ワンッ!」と尾を振る。その姿は、先ほどまでデス・ウルフを叩き潰していた捕食者の顔とは似ても似つかない、ただの温厚な動物だった。

「まさか……! おい、あの足跡の記録を出せ!」

騎士団長が魔術師に命じると、魔術師は震える手でフォレストゴブリンの跡地から転写した足跡の魚拓を取り出した。ガルスはそれを手に取り、じろじろと見比べ始める。

「……管理者よ。そこの魔獣たちを、確認のために触れても良いか?」

俺は状況を理解しつつも、静かに頷いた。

「あ、あぁ……。アレンから、例の騒ぎについて何か聞かされていたのか?」

バルトが溜息をつき、複雑な表情で頭をかく。

「う、うむ……。彼が持ち帰った報告は荒唐無稽で信じがたかったが、今は……納得せざるを得ん。君の館が、あの『更地』を作り上げたという事実は」

ガルスはゆっくりとクロとレオの元へ歩み寄り、緊張の面持ちで「えっと……足の裏を見せてくれないか?」と問いかけた。

クロは静かに前足を上げ、レオも慣れた様子で足の裏を差し出す。ガルスはそれを慎重に観察し、次に手元の魚拓と照らし合わせた。

「……間違いない。形状も、肉球の配置も、蹄の刻印もすべて一致している……!」

沈黙が館を支配する。家臣は咳払いを一つし、姿勢を正した。

「ゴホンッ! では改めて、お互いに自己紹介をしようではないか。この館の管理者よ!」

その声を受け、ガルスも剣を完全に鞘へ収め、一歩前に進み出た。

「そうだな。失礼をした。私の自己紹介が遅れたな。私はエリュシオン王国の騎士団長、名をガルスという。この国の防衛の責任者だ」

バルトもまた、深々と頭を下げる。

「私はエリュシオン王国冒険者ギルドの総責任者、バルトだ。……アレンを信じきれなかったこと、そして貴殿の領域を不躾に踏み荒らしたこと、深く謝罪する」

俺はルミナと視線を交わし、マーリドの漂う中、堂々と胸を張った。

「俺は風間奏多。この『静寂の聖域、アイギス・ガーデン』の現在の管理者だ。ガルス団長、バルト殿。……俺たちは誰かを傷つけるためにここにいるわけじゃない。だが、俺たちの平穏を乱すものには、それなりの対応をさせてもらう」

家臣は、周囲に漂う重厚な魔力と、庭に佇むキングやグリズといった未知の魔獣たちを改めて見回した。

「……風間奏多、か。君が何者であるかは、この伝説の館が君を受け入れているという事実だけで証明されている。……だが、話はまだ終わっていない」

家臣は厳しい眼差しで俺を射抜く。

「君の背後にいるのは、滅びた王国の生き残りであるルミナ・アルカディア姫だ。そして、数百年封印されていた館の再起動。これだけの要素が重なれば、君の存在は我々王国にとって『無視できない変数』となる。……率直に聞こう。君の最終的な目的はなんだ? 王国に牙を剥くつもりか、それとも……」

広間の空気が凍りつく。

騎士団長ガルス、ギルドマスター・バルト、そして王家の家臣。彼らの視線は、審問官のように鋭く俺を貫く。

俺は一歩も引かず、むしろ彼らの視線を堂々と受け止めた。

「目的? 俺の目的は単純だ」

俺は広間の窓を開け放ち、館の広大な庭園と、その先に広がるデンジャラスフォレストを指し示した。

「俺は、自分の大切な居場所を守りたいだけだ。俺たちが誰にも脅かされず、仲間たちと穏やかに暮らせる世界を作る。それだけさ。王国が俺たちを『脅威』と見なすか、あるいは『隣人』として認めるか……それは、あなたたちの判断次第だ」

ガルスは、俺の言葉を聞き終えると、少しだけ口角を上げた。

「……面白い。伝説の賢者の館を継ぎ、人知を超えた魔獣を使役する管理者。君の器、しかと見届けさせてもらった。ただし、これは単なる訪問ではない。王国として、君という存在をどう扱うべきか、改めて正式に議論する必要がある」

審問は終わった。しかし、ここからが本当の外交の始まりだ。

王国側は俺という存在をどう扱うか、そして俺はこの巨大な組織とどう向き合うか。

管理者の館に、新しい風が吹き荒れようとしていた。

第三十二話、いかがでしたでしょうか。

ついに正面切っての対面回でした。管理者としての奏多の堂々たる態度は、王国側にも大きなインパクトを与えたはずです。

次は、いよいよ彼らとの「本格的な話し合い」へと発展していきます。

次回:

「管理者の審問! 王国側との本格的な話し合いへ」

お楽しみに!

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