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第三十一話:管理者の館、ついに包囲される! 騎士団長が目にする『異世界の楽園』の正体

騎士団長とギルドマスターを連れ帰ったキングとグリズ。

ついに館の存在が公に晒される!

王国側は驚愕する。そこはただの館ではなく、伝説の賢者が築いた「魔獣封印の聖域」だったのだ!

さらに明らかになるマーリドの正体と、ルミナの失われた過去。波乱の幕が開く!

グリズが大地を揺らす重厚な足音を止め、キングがしなやかな筋肉を躍動させて静止した。館の庭にたどり着いた二頭は、まるで「拾ってきた子猫」でも扱うかのような手つきで、背中と口元から騎士団長とギルドマスターをそっと地面に下ろした。

二人の権力者は、恐怖と混乱で顔を青ざめさせながらも、すぐさま剣を抜き放ち、周囲を警戒する。

「助かった……いや、これは助かったと言うべきか、生け捕りにされたと言うべきか」ギルドマスターが冷や汗を拭いながら剣を構える。

騎士団長は震える足で立ち上がり、館の全景を見上げて戦慄した。彼らの背後には、森の深淵に隠されていたはずの巨大な館が、結界の向こうで青白く幻想的な光を放っていた。

「まさか、この辺境の森の深淵に、これほど大規模な館が隠されていたとは……。魔獣たちがここへ帰還したということは、ここがヤツらの『巣窟』ということか! おい、そこの少年! お前は何者だ! この館の主か!?」

俺が言葉に詰まり、どう説明すべきか戸惑っていると、ルミナが俺の前に立ちふさがるようにして両手を広げた。その瞳には、かつての一国の姫君としての凛々しさが宿っている。

「待ってください! 騎士団長殿、彼が召喚する魔獣たちは、決してあなた方に危害を加えるつもりはありません! 彼らはこの森の秩序を守る存在です。私が保証します!」

その凛とした振る舞い、言葉の端々に漂う気高さに、騎士団長は目を見開いた。彼女の面差しを凝視し、記憶の奥底をまさぐる。かつて祝賀会で一度だけ見た、あの高貴な面影。やがて、彼は衝撃に打ち震えたように剣を収め、膝を折った。

「……その気品、そしてその眼差し。まさかあなたは、数週間前に帝国の侵攻によって無慈悲にも滅ぼされた、同盟国アルカディア王国の……ルミナ・アルカディア様ではありませんか!?」

ルミナの本名が呼ばれ、その場が静まり返る。

その時だった。森を駆けてきた家臣たちと、息を切らした騎士団がようやく門の前に到着した。彼らは館の全貌を見た瞬間、魂を抜かれたかのようにその場に硬直した。

「こ、この建物は……!? いや、まさか、王立図書館の古い文献で見たことがあるぞ!?」

家臣の一人が、信じられないものを見る目で建物に駆け寄った。

「まさか、これが実在していたのか! 数百年前に『伝説の賢者・エルドラド』が、森の凶悪な魔物たちが王国へ襲来するのを防ぐために、命を賭して築き上げた封印の要所……その名も『静寂の聖域、アイギス・ガーデン』! 賢者が亡くなって数百年、消息不明の空き家として忘れ去られていたはずなのに……なぜここに、これほど鮮やかな庭園が残っている!?」

ギルドマスターは、庭を埋め尽くすレオ、ミケ、ビー、スパイ、そしてキングとグリズたちを呆然と眺めた。

「見たことがない魔獣ばかりだ。ここには……この世界のことわりから逸脱した生態系が完成している。アレンの報告は、氷山の一角に過ぎなかったというのか……」

家臣は、アイギスを指差して激しく震え出した。

「あれもまさか……! 噂に聞いたことがある。水を司る最強の魔神『マーリド』と契約を交わした、ある名のある錬金術師が、この館の守護のために独自に作り上げたという『人造守護者』……まさか、それが今も現役で動いているのか!?」

「えっ!? 魔神!?」

俺は思わず、いつものように光の姿で浮遊しているマーリドを振り返った。

「待てよ、マーリド。お前、てっきりただの光の姿をした精霊かと……」

マーリドはふわりと笑みを浮かべ、その存在感を一気に増幅させた。周囲の騎士たちがそのあまりの魔力圧に膝をつく。

『おやおや、ようやく気づいたか? 私は人間に教えを授け、時として滅びを与える存在。まあ、今の私にとってはお前という「面白い契約者」が一番の娯楽なのだがな』

騎士団長とギルドマスター、そして王家の家臣たちは、俺の背後で悠然と笑うマーリドと、庭を我が物顔で歩き回る「最強の捕食者」たちを見て、戦慄した。

彼らが探していたのはゴブリンの残党だった。しかし、ここにあったのは、数百年前に封印された伝説の要塞と、異界の最強生物たち、そして滅びた王国の生き残りの姫君。

王国が最も恐れるべき存在は、帝国の軍勢ではなく、この「館」そのものだったことに、彼らはようやく気づき始めたのだ。この館の門が開かれた今、王国の運命の歯車は、後戻りできない場所へと加速し始めた。

第三十一話、いかがでしたでしょうか。

物語の背景が急激に明らかになってきました。単なる召喚士の物語から、伝説の館を巡る国家規模の騒動へとシフトしていきます。

次回、この強大な「館の正体」を知った騎士団長と家臣たちは、奏多に対してどのような態度を取るのでしょうか。

次回:

「管理者の審問! 管理者として初めての王国側との対面」

お楽しみに!

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