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第三十話:王家の命! 騎士団長、未知なる猛獣の正体解明を誓う!

森の危険魔物たちを一掃したキングとグリズ。しかし、二頭の好奇心はそれだけでは収まらなかった!

なんと獲物と一緒に騎士団長とギルドマスターを「お持ち帰り」!?

事態を察した騎士団が館へと迫る中、奏多は異世界の自然界の厳しさをルミナたちに説く。

「……騎士団長。貴公、まさかこの光景を見て見ぬふりをするつもりではあるまいな?」

王家の家臣が、引き攣った顔で騎士団長に詰め寄った。

騎士団長は冷や汗を拭いながら、未だ興奮の冷めやらぬ荒い息を吐くグリズとキングを凝視する。目の前には、数十体のデス・ウルフやロック・トードの死骸が山積みになっていた。この森を支配していたはずの猛者たちが、今やただの『食糧』として整頓されている。

「……王家の威信にかけて。この未知の猛獣たちの正体、そしてあるじの有無を突き止める。それが私の責務だ」

騎士団長が覚悟を決めたその時だった。

グリズとキングは、仕留めた獲物を器用に大きな前足と口でまとめ上げると、まるでピクニックの帰りのように満足げな表情で歩き出した。自分たちが何をしたのかなど、彼らにとっては日常の風景に過ぎないのだろう。

彼らが館の方角へ獲物を運ぼうとした、その時――彼らの鋭い五感が、茂みの向こうに隠れる『観客』たちの存在を捉えた。

「――っ!?」

キングが喉を鳴らし、グリズが咆哮を上げる。

事態は一瞬で動いた。キングの俊敏な動きと、グリズの圧倒的な重圧。

騎士たちが声を上げる暇もなかった。グリズが背負うようにして騎士団長を、キングがまるでじゃれつくかのようにギルドマスターの腰を咥え上げ、そのまま館の方向へと駆け出したのだ。

「団長!!」「ギルドマスター!!」

家臣の悲鳴が森に木霊する。

「追え! 全員で追え! この先に何があるのか、この獣たちがどこへ向かうのか、我ら王国の威信をかけて見極めるのだ!」

家臣の命令一下、数十名の騎士団が森を全力で疾走した。未知の獣に連れ去られた重要人物二人を救出し、その正体を暴くために。

その頃、館の庭では――。

俺は、ルミナとマーリドを前に、熱っぽく現世の「最強」について語り聞かせていた。

「ルミナ、この世界では魔獣が最強だと言われているけど、俺のいた世界には魔力なんてなくても、生物として規格外の奴らがいたんだよ」

俺は地面に、象の姿を描いた。

「例えば『アフリカゾウ』。この地上で最も重く、強い陸上動物だ。あいつらが怒れば、どんな頑丈な塀も紙屑のようにひしゃげる。サバンナで出会ったら、百人の兵士がいても逃げるしかない」

「……百人の兵士が、一匹の動物に……?」ルミナが目を丸くする。

「そうさ。他にも、水中から現れる『カバ』。あいつは見た目以上に凶暴で、どんな大型の肉食動物も返り討ちにする顎を持っている。そして、最強の『カバ』にすら打ち勝つほどの破壊力を持つ『サイ』。彼らは魔獣じゃない。ただの、自然の営みの一部なんだ」

マーリドがその言葉を聞きながら、感嘆の吐息を漏らす。

『魔力を持たずして、そのような力を。……奏多、お前が持っている知識は、この世界の「魔法」の定義を根底から覆すものだな』

俺が笑って答えたとき、遠くの森から地響きが聞こえてきた。

館の門の向こうから、キングとグリズが戻ってきたのだ。だが、その口元や背中には……明らかに『人間』の気配があった。

「……あれ? 獲物にしては、ずいぶんと服が豪華な獲物だな?」

俺の直感は告げていた。今回の「召喚」の代償にしては、あまりにも大きな波乱が館の玄関口までやってきたことを。

第三十話、いかがでしたでしょうか。

ついにキングとグリズが重要人物を連れ去るという暴挙に出ました。

奏多の語る「魔力なき最強」の話を聞いたルミナたちの反応も興味深いですね。次回、ついに騎士団が館の門の前に……!

次回:

「管理者の館、ついに包囲される! 騎士団長が目にする『異世界の楽園』の正体」

お楽しみに!

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