第二十九話:王国の威信をかけて! 騎士団長が率いる調査団、ゴブリン跡地に再び集結!
館の新たな住人「キング」と「グリズ」が、本能に従い森へ出撃!
その頃、王国の調査団はゴブリンの跡地を再調査し、ついに未知の脅威の正体に近づく。
しかし、彼らが目の当たりにしたのは、森の危険魔物たちが二頭の獣によって一方的に蹂躙される地獄のような光景だった!
館の庭に君臨した「キング」と「グリズ」の圧倒的な覇気。
その凄まじい威圧感に、館の庭は一瞬にして静寂に包まれた。レオが背中の毛を逆立て、ミケがシャーッと威嚇音を漏らし、クロさえも足を地団駄させて不穏な空気を察知している。いつもはのんびりしているビーたちも、本能的な恐怖からか、羽音を立てて蜂の巣へと隠れてしまった。
たとえ彼らがこの館の守護者であっても、生物としての「頂点」を前にすれば、その細胞が拒絶反応を示すのは自然の摂理だった。
「いいか、落ち着け! みんな仲間だ!」
俺が懸命になだめる中、ただ一人、守護者アイギスだけが興味深げに首をかしげている。無機質な瞳でキングとグリズを分析し、その巨大な質量を計算しているようだ。
その時だった。キングとグリズの耳がピクリと動いた。
二頭は顔を見合わせると、何かを「獲物」として認識したかのように、猛然と門へと駆け出した。
「お、おい!! どこへ行くんだ!! 待てってば!」
俺が駆け出そうとするが、そこは結界の内側。境界線のところで足が止まる。
二頭は俺の制止など聞こえていないかのように、地響きを立てて森の深淵へと消えていった。
その頃、森の奥深く――かつてフォレストゴブリンの集落があった「更地」には、緊張が張り詰めていた。
王国騎士団長は、再びその地に立っていた。その横には、冒険者ギルドの顔役であるギルドマスター、そして王に直属する家臣団の姿がある。
「再びこの地に来た。ギルドマスター、すまないがお前にも来てもらった。見てくれ、これが嘘偽りのない証拠だ」
騎士団長が指差した先には、数日前に見たままの「何もない地面」が広がっている。
ギルドマスターは言葉を失い、冷や汗を流した。
「……本当に更地だな。認めざるを得ん。あのアレンという若造の報告は、一言一句すべて真実だったということか」
王の家臣が、地面に落ちている折れた木材を拾い上げ、眉をひそめる。
「フォレストゴブリンといえば、知能もあり、防御陣を敷く魔物だ。お前たちのような精鋭騎士団なら余裕で制圧できる相手ではある。だが……『ここまで完全に破壊する』必要があるのか? まるで、巨石に踏み潰されたかのような……」
「この足跡は?」ギルドマスターが前回と同様、地面の窪みを指差す。「アレンのいう『イヌ』や『ウマ』の魔獣とやらか。確かに似てはいるが……これほど巨大な蹄の跡など見たことがない」
騎士団長がその足跡に手をかざし、魔力測定を行おうとしたその時だった。
「……ん!?」
森の奥から、轟音と悲鳴に近い咆哮が聞こえてきた。
それは、ここから数百メートル先で行われている「一方的な蹂躙」の音だった。
「おい、様子を見てこい!」
騎士団長の命により、数名の騎士が森の茂みをかき分けて先へと進む。彼らは数分もしないうちに、顔面蒼白で戻ってきた。
「だ、団長! 見てはいけないものを見ました! あれは……!」
騎士団長たちは急いでその光景を確認しに行き……そして、全員がその場に立ち尽くした。
そこにいたのは、この森で最も恐れられているはずの魔物たち――鋭い牙を持つ『デス・ウルフ』の群れや、硬質な甲殻を纏う『ヘビー・ロック・トード』、さらには毒を吐く巨大な『ヴェノム・スパイダー』といった上位種、数十体の集団だった。
普通の冒険者パーティなら、即座に死を覚悟するような強敵の群れ。
だが、そんな彼らを蹂躙しているのは、たった二頭の影だった。
一頭は、地を割るほどの重低音を響かせ、巨大な前足でデス・ウルフを紙のように叩き潰す、まるで『ナンディベア』を彷彿とさせる山のようなヒグマ――グリズ。
もう一頭は、燃えるような縞模様の毛並みを揺らし、稲妻のような速さで動き回る、まるで『ヌエ』の如き神出鬼没の猛獣――キング。
騎士団長は震える声で呟いた。
「な、なんだあの魔獣は……。ナンディベアに似ているが……いや、あの縞模様の魔獣に至っては……見たことがない。何という生物だ……!」
魔物たちが統率を失い、ただの餌として狩られていく。
王国最強を自負する騎士団の目の前で、彼らが「未知の脅威」と呼んでいた存在が、さらにその上を行く「真の捕食者」によってゴミのように片付けられていく光景が、そこに広がっていた。
第二十九話、いかがでしたでしょうか。
ついに王国騎士団とキング&グリズが、ニアミスすることになりました。
自分たちの常識が通用しない「最強の獣」を目の当たりにした騎士団長の心中やいかに……。
次回:
「王家の命! 騎士団長、未知なる猛獣の正体解明を誓う!」
お楽しみに!




