第二十五話:平和の揺らぎ! 騎士団長が率いる調査団、ゴブリンの跡地へ!
アレンの報告を確かめるため、ついに動き出した王国騎士団!
調査隊が目にしたのは、クロとレオが残した「未知の足跡」と、完全に滅び去った集落の惨状だった。
一方、奏多はハトたちが持ち帰った王国の映像から、事態の深刻さを悟る。
近づく騎士団の影と、奏多の新たな決断。物語は一気に緊迫の時を迎える!
エリュシオン王国の冒険者ギルド内は、アレンのあまりに突飛な報告により、信じられないほどの熱気に包まれていた。酒場としての喧騒は消え失せ、誰もがその金髪の青年の言葉を耳にしようと息を殺している。
「なるほどな……だがお前の顔を見ればわかる。お前は嘘をついていない。……だが!」
ギルドマスターは机を力強く叩き、周囲を威圧した。
「もしも本当にフォレストゴブリンの集落が更地になっていたら? その時はギルドから本来の倍の報酬を出そう。だが! もしもそれが嘘だったらどうなるか分かっているな? 報酬はなし! そして冒険者ランクの永久剥奪とする!……この条件で納得か?」
アレンは迷いなく、真っ直ぐにマスターを見つめ返した。
「あぁ、納得だ! 俺が見た光景は、嘘なんかじゃない! それが嘘だというのなら……冒険者としての資格を失う覚悟はできている」
その時だった。ギルドの重厚な扉が轟音とともに勢いよく開け放たれた。
ガチャッ!!!
「これはなんの騒ぎだ!! ギルドの規律が乱れているようだが、一体何事だ!」
凛とした声とともに現れたのは、磨き上げられた銀の鎧を纏った、王国の騎士団長だった。周囲の冒険者たちが畏怖の念を抱き、一斉に道を空ける。
「き、騎士団長様!?」
ギルドマスターが顔面蒼白になり、慌てて頭を下げる。アレンもその威圧感に気圧され、思わず直立不動になった。
事の経緯を聞き終えると、騎士団長は眉間に深い皺を刻み、鋭い眼光をアレンに向けた。
「フォレストゴブリンの集落が、イヌとウマ……だと? 戯れ言も大概にせよ。だが、もし本当であれば、森の勢力図が塗り替わる重大な事態だ。……わかった。いいだろう。俺が自ら、クエストの標的となった現場へ出向き、真偽を確かめてやる!」
王国騎士団の威信をかけ、彼らは森へと向かった。騎士団に所属する精鋭魔術師による『速度強化』の加護を受け、彼らは異常な速さで深緑の森を駆け抜けていく。
やがて彼らが辿り着いた場所には、信じがたい光景が広がっていた。かつてゴブリンたちが築き上げていた粗末な柵も、監視塔も、住居も――すべてが跡形もなく消え去り、ただの更地が森の中にポッカリと口を開けていた。
「な、なんだこれ……!?」
「これはひどい……。普通の冒険者でもここまでやらないだろ!?」
騎士団員たちが口々に悲鳴を上げる中、騎士団長は地面に膝をつき、奇妙な痕跡を指でなぞった。
「……この足跡、ケルピーやバイコーンに似た蹄の痕跡だが、あまりに大きく荒々しい。そして、こちらの肉球の跡は……ケルベロスやオルトロスに酷似しているが、魔力の残留が違う。……確かに見たことがない。新種の魔物か?」
この世界には「犬」や「馬」という概念がない。そのため、クロやレオが残した自然な歩みの痕跡は、彼らにとって未知の巨大魔獣の恐怖でしかなかった。
魔術師の一人が手際よく地面の痕跡を魔法で転写し、証拠として紙に写し取っていく。
「団長様、私の魔法で証拠として魚拓を貼らせてもらいました!」
「……行くぞ。この光景と足跡を記録し、ギルドに報告せよ。森に、我々の知らない『強大な力』が芽生えている」
全員が「ハッ!!」と応じ、騎士団は足早にその場を後にした。
その頃、館の主である俺は、空を舞う10羽のハトたちが持ち帰る情報を待っていた。
伝書鳩たちは、広大な森を縦横無尽に駆け巡り、その小さな「カメラ」で異世界を記録していた。
夕暮れ時、ハトたちが次々と館のバルコニーに戻ってくる。
俺がハトの首元から魔道具を回収し、館の広間に用意した投影機へ繋ぐ。魔道具から光が放たれ、壁に映像が映し出された。
「これは……」
1羽、2羽のハトが捉えたのは、先ほど森の奥で動き回っていた騎士団たちの姿。そして、別の2羽が捉えたのは、夕陽を浴びて輝く、壮麗で美しい王国の全景だった。
俺は静かに、しかし確かな緊張感を持って呟いた。
「バレたか……」
クロとレオが作り上げた道と、彼らが破壊した集落は、間違いなく王国の注目を集めてしまった。
だが、面白い。ただの「引きこもりの管理者」から、王国が無視できない存在へ。
レオが俺の足元で「グルル……」と喉を鳴らす。
「準備はいいか、みんな。平和な理想郷も、そろそろ『外部』からの挨拶を受けることになりそうだ」
俺は新たな召喚枠に意識を向けた。次に呼ぶべきは、王国の騎士団と対話できる……あるいは、圧倒できる力だ。
第二十五話、いかがでしたでしょうか。
アレンの報告が信じられ、騎士団長が動くという展開になりました!
彼らにとっては「犬と馬などの一般的な動物」という概念がないため、その足跡が恐怖と驚愕の対象にしかならないのが面白いポイントです。
次なる召喚枠には一体何が入るのか……!?
次回:
「進化の予兆! 芽生える力と、未知なる迷宮」
お楽しみに!




