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第二十二話:駆けるクロ、咆哮するレオ! フォレストゴブリン集落の陥落

フォレストゴブリンの集落を文字通り更地にして帰還したアレン。

彼が語るクロの暴走とレオの蹂躙劇は、あまりにも常軌を逸していた。

冒険者アレンは、奏多の召喚する「未知の魔獣」の力に震え、館の秘密に近づいていく。

二人の間に芽生えた信頼と、さらなる冒険の予兆とは!

その日の夕方、館の庭では柔らかな陽光が注いでいた。

俺は収穫時期を迎えた野菜を手に取り、土の感触を楽しんでいた。空では幼龍のハルが、覚えたての羽ばたきでふらつきながらも楽しそうに旋回している。ルミナもまた、残った動物たちと穏やかな時間を過ごしており、館には久方ぶりの平和が満ちていた。

だが、その平穏は突如として破られた。

「ヒヒーンッ!」

「ワンッ!!」

森の奥から、大地を揺らすような力強い蹄の音と、勝利を確信する咆哮が聞こえてきた。

館の門を突き破らんばかりの勢いで、二つの影が飛び込んでくる。

ドサッ!

「た、ただいま……」

クロの背中から、まるで魂を抜き取られたかのような表情でアレンがずり落ちた。その鎧は泥と煤にまみれ、何より彼の瞳には、この世のことわりを見た者の虚脱感が宿っている。

「アレンさん!? 大丈夫ですか!?」

ルミナが慌てて駆け寄り、アレンに肩を貸す。俺も鍬を置いて駆け寄った。

「どうしたんだ!? 一体何があったんだよ! 討伐はどうなった!」

俺の問いかけに、クロとレオは堂々とした態度で俺の前に座り込んだ。その顔は「仕事は完璧にこなしたぜ」と言わんばかりの、自信と誇りに満ちた表情だ。クロが誇らしげに鼻を鳴らし、レオが尻尾を床に打ち付けてリズムを刻む。

コイツら、何かとんでもないことをやらかしたな。俺は直感的にそう理解した。

アレンは震える手で差し出された水を飲み干し、遠くを見るような目で語り始めた。


【アレンの回想:地獄のフォレストゴブリン集落】

森の奥深く、悪臭と不穏な空気が渦巻くフォレストゴブリンの集落に到着した瞬間だった。

俺がクロから降り、剣を抜いて臨戦態勢を取った、その刹那――クロが獣の咆哮を上げ、集落の中心へと突っ込んでいったんだ。

あの優雅な馬が、まるで狂った攻城兵器だった。クロはゴブリンたちが築き上げた、数メートルはある粗末な監視塔に突進し、一撃で木片に変えた。その衝撃でゴブリンが空中に放り出されると、クロは空中で後ろ足で蹴り飛ばし、まるでサッカーボールのように集落の外へと追い出したんだ。

「おい、待てクロ! 陣形を整え――!」

俺が制止する間もなかった。それ以上に恐ろしかったのはレオだ。

レオが「ワンッ!」と一喝するたび、ゴブリンたちの動きが凍りついた。奴らの目から光が消え、膝から崩れ落ちていく。レオの咆哮には、相手の闘志を完全に粉砕し、脳の機能を強制シャットダウンさせる『恐怖のデバフ』が宿っていたんだ。

普通の冒険者にとって、ゴブリンの群れは知恵と数で攻める難敵だ。一対一なら勝てる相手でも、数十体で囲まれれば命はない。……だが、俺が見たのは一方的な蹂躙だった。

ゴブリンたちは恐慌状態どころじゃない。クロに踏み荒らされ、レオの威圧に魂を焼かれ、パニックを起こした群れが互いに武器を向け合って同士討ちを始めている。クロの暴走とレオの咆哮が重なるたびに、集落の建物がバキバキと音を立てて崩落し、気づけばそこには更地が広がっていた。

俺はただ、剣を構えて立ち尽くすしかなかった。俺が剣を振るう隙すらない。俺が倒したのは、クロに弾き飛ばされて、運悪く俺の足元に転がってきた15体だけだ。

人生で初めて、「ゴブリンが可哀想だ」という感情を抱いた。あんなものは戦いじゃない。ただの「清掃」だった。


アレンは青ざめた顔で俺を直視した。

「なぁ、奏多。レオとクロって確か、イヌとウマっていう種類の魔獣だっけ? 俺、こんなに強い魔獣は見たことがない。そもそも、イヌだのウマだの、そんな名前の魔獣……教科書にも載っていないぞ。あれは神話の怪物か何かか?」

この世界では、彼らはあくまで「未知の存在」なのだ。

俺は苦笑しつつ、肩をすくめた。「……ああ、まあ、俺にとっては昔から馴染みのある存在だけどな」

アレンは少し落ち着くと、背負っていた袋から山のようなアイテムとお宝を取り出した。

「クエストは達成した。更地になった集落から、使えそうなものを片っ端から回収してきたんだ。世話になったお礼だ。半分だけ受け取ってくれ」

その瞬間、レオとクロの身体が淡い光に包まれ、俺の魔力へと還っていった。契約期間が満了し、彼らは自動的に館へと帰還したのだ。

「終わったか……」

俺は山積みの戦利品を眺めた。アレンはふう、と息を吐き、また少しだけ不敵な笑みを浮かべる。

「……なぁ、奏多。また強敵に出くわした時、こいつらを……いや、この相棒たちをまたレンタルさせてくれないか? 俺、今の戦いを見て確信したんだ。この館の『家族』がいれば、俺はこの世界で無敵になれる気がする」

俺は笑って頷いた。

「ああ、いつでも頼んでくれ。ただし、次はあんたもクロを乗りこなせるようになれよ?」

館の夜は、今日も穏やかに更けていく。

アレンという新しい繋がりを得て、俺たちの理想郷は、静かに、しかし確実にその勢力を拡大させていくのだった。

第二十二話、いかがでしたでしょうか。

アレンの回想シーンをカオスに盛り込みました! 奏多の常識と世界の常識が噛み合わないまま、物語は加速していきます。

ついに「無敵のレンタル」の味を占めてしまったアレン。次なる召喚枠には一体何が入るのか……!?

次回:

「新たな仲間を求めて! 召喚枠に追加する次なる力とは?」

お楽しみに!

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