第十六話:獲物を抱えて凱旋! 戻ってきた相棒たちが持ち帰った『お土産』の正体
夜の森で、ダンジョンを完全に蹂躙し終えた動物軍団が帰還した!
持ち帰ったのは、帝国も神殿も驚愕する伝説のSランク弓『スターダスト』。
マーリドですらその正体に恐れおののく中、奏多と相棒たちの「宝探し」は、この世界の常識を根底から覆していく!
森の奥深く、未知のダンジョン『深淵の刻印廊』。本来であれば歴戦の冒険者であっても生きては戻れぬ死地であるはずのこの場所で、そこには死と恐怖が支配するはずの光景とは全く異なる、「虐殺」に近い蹂躙が繰り広げられていた。
ドォォンッ!!
ダンジョンの最深部。数多の冒険者を屠ってきた『守護者』である巨大な黒甲蟲が、凄まじい轟音と共に崩れ落ちた。守護者の硬質な外殻には、クモのスパイが放った特殊な粘着糸が隙間なく絡みつき、機動力を完全に奪っている。そこへ、モグラのモグが事前に掘り進めていた精密な落とし穴が追い打ちをかけ、体勢を崩した守護者の脆弱な腹部が露わになった。
「ワンッ!!!」
レオの鋭い咆哮が、ダンジョンの天井を震わせる。守護者が隙を見せた一瞬、レオとミケが影のように肉薄し、稲妻のような速度で繰り出される牙と爪が、鋼鉄よりも硬い外殻を紙のように引き裂いた。
さらに、上空からはインコのピーが爆音のような羽音で撹乱し、死角からビーたちが猛毒の針を一斉に突き刺す。守護者は苦悶の声を上げる間もなく、ヤギのゴロの渾身の突進によって、あろうことかダンジョンの壁面へと埋め込まれた。
蹂躙、という言葉すら生温い。そこにあったのは、動物たちの圧倒的な武力と、呼吸を合わせるような無慈悲な連携による「解体」だった。
ボスの沈黙と共にダンジョンが静まり返ると、相棒たちは当たり前のように戦利品を物色し始めた。彼らの瞳には、恐怖も慈悲もない。ただ、主人のために「良いもの」を持ち帰るという、純粋かつ本能的な忠誠心だけが宿っている。
一方、館。
日はとっくに沈み、夜の帳が降りていた。外壁に灯るランタンが、不安げに夜風に揺れている。
俺は玄関のソファで、落ち着かない様子で膝を揺らしていた。
「……遅いな」
「……そうですね。もう真夜中です。何かあったのでしょうか」
ルミナもまた、窓際でじっと外を見つめている。ハルは俺の膝の上で小さく丸まり、アイギスは館の門番として直立不動のまま、微動だにせずに闇を監視している。
「彼らが帰ってこなかったら、俺はどんな契約を破ってでも……」
その時だった。
ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ……。
森の向こうから、重厚な金属音と、どこか楽しげな足音がこちらへ向かってくる。俺たちは顔を見合わせ、すぐさま玄関へと駆け寄った。
アイギスが門扉を大きく開くと、そこには、誇らしげに胸を張って整列する相棒たちの姿があった。
「みんな! 無事だったのか!?」
俺が駆け寄ると、彼らは獲物を誇示するように、足元へと戦利品を広げた。
大量の魔石、未知の薬草、そして――一振りの、透き通るような弓。
それは、まるで星屑を練り上げて作られたかのような、幻想的な輝きを放つ弓だった。
「これは……すごい武器だな」
俺が手を伸ばし、その弓を手に取った瞬間、背後でマーリドが激しく光を明滅させた。普段は淡く揺らぐだけの光が、眩いばかりの強光を放ち、館の広間を昼間のように照らし出す。
『嘘だ……。なぜ、それがここにある……!?』
「マーリド? どうしたんだ、そんなに驚いて……」
マーリドの光は、震えるように明滅を繰り返している。
『奏多、お前その弓を知らぬのか!? それは『スターダスト』……星の加護を受けた、伝説のSランク武具だ! かつて勇者が魔王を射抜いたと伝わる、この世界の伝承そのもの! 本来なら、神殿の最奥に厳重に封印されているはずの至宝!』
「Sランク……!?」
ルミナもまた、その弓の正体を聞き、言葉を失って口元を押さえた。
「そんな……。あのダンジョンから、こんな歴史的遺産を……? しかも、たった一晩の遊びで……?」
アイギスが鈍い音を立てて首を傾げた。
「……分析不能。未知の魔力波動。……ただし、主の武力を補完するには最適と判断」
レオたちはといえば、そんな大騒ぎなどどこ吹く風。戦いを終えた安堵感からか、それぞれが思い思いの場所でゴロゴロと寛ぎ始めている。彼らにとって、それはただの「拾い物」に過ぎないのだ。
俺は震える手で、その星屑の弓を握りしめた。
この世界の人々が、一生をかけても手に入らないような宝を、相棒たちは何食わぬ顔で持ち帰ってくる。
「……お前ら、とんでもないことをしてくれたな」
俺は笑いをこらえきれず、次々とレオたちの頭を撫でた。
明日の朝には、帝国軍がこの「お土産」の気配を嗅ぎつけて、また騒ぎを起こすかもしれない。だが、今の俺には伝説の弓がある。
「よし、明日は盛大な宴だ。……お前たち、本当によくやった」
館に、相棒たちの鳴き声と、暖かな空気が満ちていく。
帝国の影がすぐそこまで迫っていても、俺たちの理想郷は今日も、力強く、そして少しだけ非常識に輝いている。
第十六話、いかがでしたでしょうか。
最強のゴーレムに続き、今度は伝説の武器まで……奏多の館がどんどん「関わってはいけない場所」になっていきますね。
相棒たちの強さが異常すぎて、もはや誰も彼らを止められません。この強すぎる戦力が、次に何を巻き起こすのか……。
次回:
「相棒たちの成長!大幅なレベルアップで召喚枠が5種類へ!」
お楽しみに!




