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第十五話:管理人はお留守番!? 動物達の暇つぶしによる勝手にダンジョン探索

最深部でアイギスを起動した直後、レオたち相棒軍団が忽然と姿を消した!

実は彼ら、退屈しのぎにビーたちの嗅覚を頼って、勝手に未知のダンジョンへ探索に出かけてしまったのだ。

管理人の制約により館から出られない奏多は、マーリドの「彼らは気が済んだら戻る」という言葉に翻弄されながら、お留守番を余儀なくされる。

果たして彼らは無事に帰還するのか!?

館の心臓部にてアイギスと対面し、新たな守護者を迎えていた俺たちの背後で、別のドラマが静かに進行していた。

館の庭で、いつものように受粉と蜜集めに精を出していたミツバチのビーたちが、突然、不規則な動きを見せ始めた。彼らが空中で踊るのは、花の位置を仲間に教える「ダンス」だが、今日のそれは明らかに異質だ。旋回する軌道は北東――かつてレオたちが攻略した『忘れられた廃坑道』とは別の方向。さらに深く、濃密な魔力が渦巻く森の奥地を指し示していた。

そのダンスを見た瞬間、庭でまどろんでいたレオやミケ、ゴロ、モグラのモグたちが、まるで電気でも走ったかのように跳ね起きた。彼らの瞳には、穏やかな日常とは無縁の、鋭い狩猟本能が宿っている。

「ワンッ!」

「ニャーン!」

レオの咆哮に呼応するように、ハムスターやウサギ、インコのピーまでもが興奮した様子で駆け出した。クモのスパイは素早くレオの背に飛び乗り、カタツムリのカタまでもが、驚異的な速度で這って一行に追従する。彼らは何かに引き寄せられるように、結界の境界線をスルリと抜け、一直線に森の深淵へと走り去っていった。

館の心臓部から戻ってきた俺とルミナは、館を包むあまりの静寂に眉をひそめた。

「あれ……? みんなは?」

いつもなら、館に戻れば玄関まで迎えに来るはずの彼らの姿がない。広間にも、庭にも、彼らの気配が一切ない。残されたのは、心細げに館内をウロウロと歩き回る幼龍ハルだけだった。

「みんな、どこへ行ったのかしら……? まさか、また帝国の残党が?」

ルミナの顔色が青ざめる。俺も嫌な予感に背筋が凍り、すぐさま玄関の扉に手をかけた。

「レオたちを探しに行く! ルミナ、ここで待っててくれ!」

扉を押し開け、庭へと足を踏み出そうとした――その瞬間だった。

ガクンと、身体が重力に逆らうように強烈な力で引き戻された。

「ぐっ……!?」

それは物理的な壁などではない。魂を直接掴まれるような、得体の知れない強大な力。館の境界線を越えようとする俺の足に、まるで目に見えない鎖が巻き付いたかのような制約。俺は力なく地面に膝をつき、呼吸を荒くした。

そうだった。俺は、この館と契約している。マーリドの許可なく、この敷地から一歩も出ることはできないという、呪いにも似た絶対的な制約。

「なんてことだ……。みんなが外へ出ているのに、俺だけが……何もできないなんて!」

地団駄を踏む俺の前に、空間を揺らしてマーリドが冷ややかに姿を現した。

『騒ぐな、奏多。お前の相棒たちは無事だ』

「マーリド! みんなはどこへ行ったんだ!? まさか、何かに操られているのか?」

マーリドは呆れたように肩をすくめる。

『操られてなどおらん。ただ、暇を持て余しただけだ。ビーたちが新しい魔力の源泉を見つけたのだろう。今の彼らは、先代の探索者たちすら見つけられなかった『未知のダンジョン』の入り口を嗅ぎ当て、自分たちの意志で突撃していったのだよ』

「勝手にダンジョン探索だと……!?」

俺は耳を疑った。相棒たちはただの犬や猫じゃないのか? なぜ、自分たちの意志でダンジョンを見つけ、攻略しようとするんだ?

『奏多、お前はまだ自分の召喚した相棒たちの本質を理解しきれていない。彼らはこの館の管理者であるお前の守護者であり、同時にこの世界の未開拓地を切り開くパイオニアでもある。お前がルミナの保護やアイギスの起動に集中している間、彼らは退屈を紛らわせるために、自分たちだけで冒険に出ただけのことだ』

「そんな無茶な……! 危険すぎるだろ!」

『安心しろ。彼らが持ち帰る経験値と戦果は、すべてお前に還元される。今の彼らは、以前ダンジョンを攻略した時よりも遥かに強くなっている。……気が済めば、獲物を抱えて戻ってくるだろう』

マーリドの言葉は淡々としていたが、俺の不安は消えない。

俺の理想郷を守るために召喚したはずの家族たちが、俺の知らない場所で、俺の知らない強さを手に入れようとしている。

館の窓から森の彼方を見つめる。

あの深い森のどこかで、レオやミケたちが戦っているのか。

「……信じて待つしかないのか」

俺は唇を噛み締め、アイギスを傍らに従えて椅子に座り込んだ。

管理人がお留守番というのも情けない話だが、相棒たちが持ち帰る土産を信じるしかない。……しかし、もしものことがあれば、俺はこの契約の制約をぶち壊してでも森へ駆け出すつもりだ。

そんな俺の胸元で、ハルが「クゥン」と小さく鳴き、俺の手を舐めた。

外では、相棒たちが新しい伝説を刻み始めている。

管理人の留守を守る間も、館は静かに、しかし力強く鼓動を刻んでいた。

五話、いかがでしたでしょうか。

「管理人はお留守番」という、少しコミカルかつハラハラする展開でした。

強くなりすぎた相棒たちは、もはや管理人の手を離れて勝手にレベルアップしていく……そんな頼もしさと切なさが同居する回になりましたね。

次回:

「獲物を抱えて凱旋! 戻ってきた相棒たちが持ち帰った『お土産』の正体」

お楽しみに!

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