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第十四話:響け、覚醒の鐘! 館の結界がもたらす未知なる来訪者

館の最深部で目覚めた、古代の守護者。

それは帝国も知らない、魔法と機械が融合した謎のゴーレムだった。

かつての先代管理者が遺した「アイギス」と名乗る存在は、館の結界を劇的に強化し、奏多の防衛戦力を底上げする。

最強の盾を得た管理人は、来るべき帝国の本格侵攻に向けて、新たな一歩を踏み出す!

『賢者の炉心』が放った光の奔流は、館の地下を白銀の粒子で塗りつぶし、重い空気を震わせた。

俺とルミナが目を細めながらその眩い輝きを見つめていると、炉心の中央、結晶体がゆっくりと亀裂を走らせ、内部に悠久の時を封じられていた「何か」が、重厚な金属音を立ててせり上がってきた。

それは、人型をしていながらにして、あまりにも異質な存在だった。

全身が鈍く光る鋼鉄と、脈動する青い結晶で構成された巨躯。胸部には高速で回転し続ける真鍮の歯車と、古びた魔導回路が複雑に組み合わさっている。機械的な精密さと、古代魔法の神秘が完全に融合した、見たこともない「ゴーレム」だった。

「これは……ゴーレム、なのでしょうか?」

ルミナが息を呑み、恐る恐る尋ねる。彼女の知識にあるゴーレムといえば、土や岩を無骨に固めた泥人形や、あるいは強力な術者が使役する単純な人工兵器だ。しかし、目の前の個体はそれらとは次元が異なっていた。

マーリドがその姿を認めた瞬間、光の体が大きく揺らぎ、珍しく絶句した。

『……信じられん。まさか、この館の深層に、彼がまだ眠っていたとは』

「マーリド、このゴーレムを知っているのか?」

マーリドはゆっくりと頷き、畏怖の念すら漂う声で解説を始めた。

『ゴーレムとは本来、極めて凶暴な魔物だ。火、水、風、雷……様々な属性を持つ亜種が存在し、中には魔法と機械を融合させて作られた人工兵器も多い。だが、目の前の個体はそれらとは出自も、存在意義もまるで異なる』

マーリドによれば、この個体はかつて、この館の「先代管理者」が、館を絶対的に守護するために召喚した個体だという。長い年月を経て館が放棄された際、役目を終えたものとして炉心の奥深くに封印されていたらしい。

『何のためのゴーレムか、誰が何のために設計したのか……。私ですら、その正体は分からぬ。ルミナ、お前も文献で見たことがないか?』

ルミナは静かに首を振った。「ええ。アルカディア王国の禁書庫でも、このような設計様式の記録はありません。刻まれた魔導言語は……見たこともないほど古く、そして高度な技術で構築されています」

その時、ゴーレムの胸部にある歯車が力強く回転し、カチリ、という重い音を立てて館内に響き渡った。

「……管理者、再認証……完了。……起動」

低く、地響きのような声が俺の頭蓋に直接響く。ゴーレムの瞳が淡い琥珀色に発光し、ゆっくりと俺の方を向いた。

俺は無意識のうちに右手を構え、魔力を練ったが、ゴーレムは敵意を見せなかった。それどころか、重々しい金属の足音を響かせながら俺の前に進み出ると、巨大な膝を突き、深々と頭を垂れたのである。

「防衛プロトコル……再構築。館の結界、正常稼働を確認。新たな契約者よ、貴殿の意思こそが我が命」

「俺の……意思が、お前の命令だと?」

俺は困惑しつつも、目の前の存在が敵ではないことを理解した。レオやミケに向けるのと同じ、あるいはもっと深い「信頼」のような気配が、その硬質な体から伝わってくる。

その瞬間だった。館全体が「ゴォォォォォン……」と、覚醒の鐘が鳴るような荘厳な振動に包まれた。

『奏多、ルミナ! 屋敷の結界が「再起動」したぞ!』

マーリドが叫ぶ。結界の強度が、先程までとは比較にならないほど跳ね上がっている。まるで、このゴーレムが館そのものと一体化し、屋敷の防御力を数倍、いや数十倍に引き上げたかのようだ。

「奏多様……見てください、外を!」

ルミナが窓を指差す。

館の周囲、鬱蒼とした森のいたるところに、幾何学的な紋章を持つ光の防壁が展開されていた。それはかつての空き家が放つ程度の魔力とは次元が違う、帝国の探査兵器ですら感知不能な、絶対的な「拒絶」の壁だった。

ゴーレムはゆっくりと立ち上がると、俺の方を見て静かに告げた。

「侵入者……排除の準備、完了。……我が名は『アイギス』。館を守る盾として、ここに再臨した」

アイギス。その響きを口にした瞬間、俺の中で何かが決まった。

「アイギス。……これからよろしく頼む」

俺が差し出した手を、アイギスはその巨大な金属の掌で優しく包み込んだ。

この館は、もうただの建物ではない。俺とルミナ、相棒たち、そして古の守護者アイギスによる、最強の拠点となったのだ。

外の世界では、帝国の兵器たちが未だに俺たちを探し回っているかもしれない。だが、もう誰にも、俺たちの理想郷を汚させることはさせない。

管理人の戦いは、ここからが本当の始まりだ。

第十四話、いかがでしたでしょうか。

ついに登場した最強の防衛兵器(?)ゴーレム、アイギス!

古風な機械人形のようなキャラクターですが、奏多にとって頼もしい味方になってくれそうです。

館の防衛力は盤石なものとなりましたが、館の中で退屈した動物たちが何やら騒ぎ出すようで……?

次回予告:

「管理人はお留守番!? 動物達の暇つぶしによる勝手にダンジョン探索」

お楽しみに!

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