第百四十五話:魂の共鳴! アルト、バルバドスの煉獄を打ち砕き、聖域の守護者となれ!
聖域の空気が、焦げ付くような殺気と、命を護ろうとする絆の熱量で二分されていた。
魔王軍幹部『煉獄の破壊者』バルバドスの傲慢な笑みが聖域を蹂躙する中、館の仲間たちがそれぞれの持ち場で動き出す。騎士団の介入を待つ余裕などない。ここにあるのは、自分たちの聖域を、愛すべき家族を、そして未来を守り抜くという強固な意志のみ。
魔王軍幹部の放つ煉獄の炎に対し、アルトは精霊の加護を受け、ついに「浄化」の刃を振るう。魂の共鳴が起こす奇跡を、今、この戦場で証明する。
「奏多、援軍を呼んだ方がいいか? エリュシオン王国から、私の上司であるガルス騎士団長が騎士団を引き連れてくれば……!」
エリスの切迫した問いかけに、俺は歯を食いしばりながら、地下のコンソールへ向かう足を止めずに首を横に振った。
「いや、やめておけ! この距離から騎士団が到着したところで、すでに聖域は灰になっている。それよりも、この館の被害を最小限に抑えるのが最優先だ!」
「では、私たちも最大限の援護を!」
ルミナが凛とした声を張り上げ、シルヴィアと共に結界の補強へと走る。
「勿論よ。あの三人の勇者の邪魔にならないよう、慎重にサポートするわ!」
「俺は地下に潜り、コンソールと館の管理スキル【聖域の支配】で結界を限界まで引き上げる。お前たちはアルトたちを頼む!」
「では私たちは、合体旋律『ハーモニー・ブレイク』を歌って、アルト様たちの魔力を補強します!」
リリアとエーリエが立ち位置につき、清らかな歌声を聖域に響かせ始めた。ヴィオラの姿はすでに安全圏にあり、必死にノートを走らせている。「今のうちに、他の動物たちの……いや、アルト様の戦術を全部メモしないと!」
しかし、バルバドスはその連係プレーを冷笑した。
「……ガタガタとうるせー連中だ。魔獣どもは後回しだ!」
彼が指を弾いた瞬間、黒い奔流が聖域を駆け抜けた。ゴーレムのアイギスは機能停止し、ドラゴンのハルはその巨体を地面に縫い付けられ、動物たち全員が動けなくなった。
「敵の妨害による緊急停止……機能不能……」
アイギスの電子音が虚しく響く。
「みんな!!」
俺の絶叫に対し、バルバドスは不敵に笑う。
「心配するな。俺は『勇者狩り』をしに来たんだ。他の雑魚に用はない……さあ、勇者狩りの宴を始めようか?」
アルトが愛剣を強く握り直す。その瞳には、かつてないほど強い決意が灯っていた。
「いいよ。魔王軍幹部を倒すのが、勇者の役目だ!」
バルバドスは肩をすくめて嘲笑った。
「そうこなくっちゃな! 俺はそう簡単に倒れねーよ?」
その時、光の精霊として漂っていたマーリドが、アルトの影から幽玄な声で囁いた。
『勇者アルトよ。お前に私からの力を授けよう。私は水を司る知恵の魔神……その身に清浄なる浄化の力を宿せば、奴の煉獄の炎とも互角以上に渡り合えるはずだ』
バルバドスは苛立ちを露わにし、マーリドを睨みつけた。
「そこの光野郎は引っ込んでろ!! ほれ、行くぞ!!!」
戦闘の火蓋が切られた。バルバドスが飛び込む。彼の放つ一撃は大地を溶かすほどの高熱を帯び、アルトの聖剣と激突した。
カァァァァン!! という轟音とともに、火花が散り、二人の周囲の空間が歪む。バルバドスの魔剣が振るわれるたび、聖域の芝生が焼け焦げ、周囲の空気が一瞬にして火に包まれる。
アルトはマーリドの加護を受け、剣に青白い水のオーラを纏わせた。
「水嵐・浄化の連撃!」
剣から放たれた奔流がバルバドスの炎と激突し、膨大な蒸気がアリーナを包む。バルバドスは舌打ちをしながら追撃の手を緩めない。重力魔法を応用した加速でアルトの背後を取り、魔剣を突き出す。
「速い!」
ミアの叫びとともに、アルトは紙一重で攻撃を回避。グリフォンの風を足裏に纏い、一瞬で距離を詰める。
「僕たちが守りたいのは、そんな一方的な力じゃない!!」
アルトの剣が円を描き、バルバドスの炎の装甲を切り裂く。バルバドスも負けじと、炎の翼を広げ、聖域全体を焼き尽くす広範囲魔法を詠唱する。
火と水。炎熱と浄化。二人の戦いは、まさに互角。魔王軍の幹部としての歴戦の技と、聖域で学んだ「絆の力」が、激しくぶつかり合っていた。
第百四十五話、いかがでしたでしょうか。
バルバドスとの互角の激戦。絆の力と魔神の加護を得たアルトは、ついに幹部を追い詰めます。
果たして聖域防衛戦の結末は!?
次回予告:
「聖域の奇跡! アルト、仲間との絆でバルバドスを撃破せよ!」
お楽しみに!




