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第百三十六話:芽生える友情! アルト、魔物たちの気持ちを理解する!?

聖域での修行が始まってから数日が経過した。

当初、野生動物を前にして右往左往していたアルト、リナ、ミアの三人は、今やその表情から迷いが消えつつある。彼らは知ったのだ。魔物とは、剣で貫くべき「標的」ではなく、触れ合い、守り、共に歩むべき「命」であることを。

一方、世界の裏側では、傲慢なる勇者・佐藤蓮の一派が、破滅的な契約を結ぼうとしていた。聖域に芽生える純粋な友情と、ダンジョンの闇で交わされる悪魔の取引。運命の歯車が、いま大きく軋みを上げながら回り始める。

聖域の庭園は、今日も賑やかな生命の鼓動に満ちていた。

ホルスタイン牛のモーちゃんに優しく話しかけながら、丁寧にブラッシングを続けるアルトの背中は、数日前よりもどこか頼もしく見える。白色レグホンのコッコ&ケッコに新鮮な餌を配りながら、ミアは幸せそうに微笑んでいた。リナはキンキンの手を取り、木登りのコツを教わりながら、その愛らしい仕草に目を細めている。

テラスでその平和な光景を見守っていたルミナは、散歩を終えた犬のレオを撫でながら静かに言った。

「あの三人の勇者様、随分と頑張っていますね! 最初の頃の不安そうな顔が嘘みたいです」

シルヴィアも、膝の上のミケ猫を愛でながら、優しく同意する。

「うふふ、そうね。最初は魔獣を前にして剣を握りしめていたのに……今では彼らと心を通わせようと必死だわ」

オニヤンマのヤンマを観察していたヴィオラが、深い思慮を込めて頷いた。

「普通なら、魔物は『倒すべき存在』としか認識されないわ。けれど、彼らはその境界線を自ら越えた。冒険者としては非常識かもしれないけれど……それこそが彼らの成長の証ね。倒すべき悪は倒す。けれど、倒す必要のない命は奪わない。その慈愛こそが、勇者としての素質を極限まで研ぎ澄ましているわ」

館の守護者である魔神マーリドが、重厚な声で続く。

『ふむ、そうやって生命への敬意を学ぶことこそが、真の精神的成長というものだ。そうであろう、奏多?』

俺は深く頷いた。

「そういうことだ。力だけでねじ伏せ、命を使い捨ての駒としか見ない、どっかの誰かさんたちとは大違いだよ」

一方その頃。場所は遥か彼方、帝国の辺境に位置する禁忌のダンジョン。

佐藤蓮は、埃まみれの古びたランプを手に取り、高橋凛と共にニヤついていた。

「ハックション!」

「クションッ!」

連鎖するようにくしゃみをし、二人は眉をひそめる。

「なんだ今の。誰か俺たちの噂でもしてんのか?」

新入りたちが周囲を警戒する中、佐藤蓮はランプを無造作に袖口で拭った。

「綺麗にしたら、何かすごいもんが出てくるんじゃねぇか? これが願いを叶える伝説のランプなら、俺たちにとって最高のアイテムだ!」

彼らが強引にランプを磨き始めた瞬間、ダンジョンの空気が一変した。凄まじい轟音と共に紫煙が噴き出し、業火を纏った魔神が姿を現したのだ。

『ワーハハハッ!!! 永き封印から自由になれたぞ!!!』

ダンジョンの空気が凍りつく。現れたのは、炎を司る火の魔神イフリートだった。

『我は全てを焼き尽くす炎の魔神イフリート! 我が封印を解いたのは……お前たちか?』

「あぁ、そうだぜ!! 俺は勇者・佐藤蓮! コイツらは俺の仲間だ! お前、もしも願いを叶えてくれるのなら、俺の願いを聞け!」

イフリートの瞳が怪しく光り、ニヤリと笑った。

『よかろう。3つまで叶えてやろう。ただし……その代償として、お前たち自身の魂を差し出してもらうことになるがな!』

佐藤蓮は仲間たちを見回し、邪悪な笑みを浮かべた。

「いいぜ! 第一の願い……俺たち全員に、魔王すら一撃で葬れる『チートスキル』をよこせ! 第二に、世界中の人間が俺たちを『世界一の英雄』として崇拝するようにしろ! 第三に、魔王討伐後は世界一の金持ちになって、死ぬまで遊んで暮らせるほどの金をくれ!」

新入りたちが青ざめる中、イフリートは愉快そうに嗤った。

『己の欲を望むままにするのだな? よかろう。ただし、代償として……お前たち勇者と、この魔神との「魂の契約」を交わすのだ。我に逆らえなくなる呪縛の契約をな!』

佐藤蓮は一瞬の躊躇もなく叫んだ。

「あぁ、いいぜ! やれ!」

高橋凛が横から口を挟む。

「ねえ、あそこにいる10人の新入りは雑用係だから、今回の契約からは例外ね?」

イフリートは冷酷に宣告した。

『フッ、仰せの通りに。新入り以外、その場にいる勇者一派32名分の魂と引き換えに、願いを叶えてやろう』

新入り10人は、内心で狂喜していた。

『……完璧だ。これでお前たちは、帝国の最も都合のいい操り人形になる』

彼らにとって、これこそが帝国が求めていた「最強の勇者」の完成だった。佐藤蓮たちは自分たちが破滅への道を歩んでいることに気づかないまま、禁断の契約を締結してしまったのだ。

第百三十六話、いかがでしたでしょうか。

芽生える友情と、墜ちゆく英雄たち。佐藤蓮一派が結んでしまった「魂の契約」は、世界をどのような破滅へと導くのか。

次回予告:

「聖域の日常と絆! アルト、人生で初めてのゾウの背中に揺られて!」

お楽しみに!

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