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第百二十三話:聖域の日常! アイギスとカラスたちの、不思議な会議!?

聖域での穏やかな休日。俺とササマルののんびりしたピクニックは、予期せぬ「聖域の日常」の深淵を覗くきっかけとなった。

世間ではスマートフォンが情報の嵐を巻き起こし、帝国と王国の間で緊張の糸が張り詰めているが、ここ聖域では依然として異種族間の奇妙な絆が育まれている。

ササマルの食欲、エリスの乗馬訓練、そしてアイギスとカラスたちが繰り広げる「謎の会議」。

これは、一見すれば平和で滑稽な光景だが、その実、ここにはこの世界を支配する法則とは別の、より根源的な絆が存在しているのかもしれない。

第百二十三話、聖域の日常! アイギスとカラスたちの、不思議な会議!?

ササマルは、ピクニック開始からずっと笹を食べ続けていた。

ジャイアントパンダの驚異的な食欲は、ここ異世界に来ても健在だ。現世の知識によれば、彼らは一日に20kg近くの竹を摂取する。消化吸収率が極めて低いため、一日中食べ、一日中排泄するという効率の悪い生存戦略をとっているわけだが……。

(だが、パンダは本来クマ科の猛獣。この世界の魔力豊富な環境なら、もっと別の進化を遂げられるはずだ)

現世でパンダの飼育員をしていた母親が口癖のように言っていた。「パンダを笹しか食べない可愛い動物だと勘違いしてはいけない」と。野生では小動物を狩り、果実を貪り、動物園ではリンゴやニンジン、特製団子を好む。その気になれば、この世界の魔物だって立派な獲物になり得るのだ。ササマルが時折、遠くで魔物を狩って戻ってくるオオカミたちを「旨そうだな」という眼差しで見つめているのを、俺は見逃していない。

俺がそんなことを考えていた時だった。

パカラッ、パカラッ――!

リズミカルな蹄の音が響き、エリスが騎乗するウマのクロが俺たちの前で華麗に停止した。

「エリス!? お前、いつの間にクロに乗れるようになったんだ!?」

エリスは満面の笑みで手綱を握り、クロの首をポンポンと叩いた。

「ああ、おかげさまでな! クロとの呼吸もぴったりだ。まさかこんなに移動が便利だとは思わなかったぞ! 今まで歩き回っていたのが嘘のようだ」

「クロも楽しそうだな」

「ブルルルッ!」

クロが軽快に嘶き、エリスの言葉に同意する。俺はふと、管理者の顔をして言った。

「乗れるようになったのは素晴らしいことだ。だが、遠出をする時は『一時的なレンタル契約』を忘れるなよ? クロは俺の異世界魔獣召喚で呼び出した存在だ。家族のように愛してはいるが、契約の主導権だけは俺が握っておかないと、何が起こるか分からない」

エリスは居住まいを正し、力強く頷いた。

「分かっている! 奏多の許可なく勝手に連れ出すような無粋なことはせん。遠出の際は必ず正式な契約を結ぶぞ!」

「うん、信頼しているよ。……ところで、急いで戻ってきたようだが、何かあったのか?」

エリスの表情が一転して、少し不思議そうな、そして面白がるような色を帯びた。

「ああ。それがな、アイギスとレイたちが、何やら妙なことをしているんだ。ゴーレムと鳥が、コソコソと楽しそうに会議を開いていてな。……正直、何を言っているのかは全く分からんがな」

「会議? アイギスとカラスたちが?」

「ああ。他の鳥たちは皆、広い空を自由に飛び回って楽しんでいるというのに、レイ率いるカラスの群れだけが、アイギスの硬い頭の上に陣取ってな。カァーッ! カァーッ!と鳴きながら、アイギスに熱心に話しかけているんだよ。アイギスもそれに対して、ガリッ、ギィ……と独特の機械音で応じていてな」

俺はササマルを置いて、アイギスがいる広場へと向かった。

確かに、エリスの言った通りだった。直立不動のままのアイギスの頭上で、レイがまるで上官に報告する将校のような身振りで、翼を羽ばたかせながら鳴き声を上げている。それに対し、アイギスは無機質なゴーレムの顔を僅かに傾け、重厚な金属音を響かせながら応答している。

レイが「カァッ、カァカァッ!」と鋭く鳴けば、アイギスが「ギギッ……ガシュッ……」と低い駆動音で返す。そのやり取りは、まるで長年連れ添った戦友のような、あるいは高度な情報交換をしているかのような緊迫感と信頼感に満ちていた。

(カラスの知性と、ゴーレムの演算能力。彼らは一体、何を共有しているんだ?)

俺はそっと息を潜めて彼らの様子を伺ったが、当然ながら言葉の内容は一切読み取れない。レイが時折空を指差し、アイギスがゆっくりと頷くような動作を見せる。

※注:アイギスとカラスたちが何を話し合っているのか、その内容は謎に包まれています。彼らが何を伝え合っているのか、その解釈は読者の皆様の想像にお任せします。

聖域の平和は、誰かが守り抜こうと血を流すことではなく、こうして当たり前のように隣にいる存在を大切にすることで維持されているのかもしれない。スマートフォンで世界が騒いでいる裏で、この聖域では、鳥とゴーレムによる最も静かで、かつ最も効率的な「聖域防衛会議」が進行していたのだ。

第百二十三話、いかがでしたでしょうか。

アイギスとカラスたちが繰り広げる、異種族間の奇妙な会議。言葉が通じずとも通じ合う絆。

ササマルの意外な一面や、エリスの乗馬姿など、平和な日常のひとときでした!

さて、次回は少しだけ雰囲気を変えて、聖域に新たな珍客が現れます。

次回:

「聖域の珍客! 迷い込んだ商人の、驚くべき依頼とは!?」

お楽しみに!

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