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第十一話:鋼鉄の先遣隊vs魔獣の防衛網!館の結界が吼える時

館を囲む100名の帝国軍精鋭部隊。指揮官の号令と共に突撃が開始されるが、それは終わりなき悪夢の始まりだった。

ビーたちの毒針、ゴロの突撃、レオたちの狩り。帝国軍が遭遇したのは、魔物図鑑にも載っていない、未知の「神獣」たちの暴力。

「動物」という概念が存在しないこの世界で、奏多の相棒たちが圧倒的な武力を見せつける!

静寂を切り裂く金属音は、一時間後には明確な「来襲」へと変わった。

館の結界が境界線に触れ、俺たちの視界に帝国軍の先遣隊が姿を現す。100名の精鋭兵たちが重厚な魔導装甲を揺らし、館を取り囲むように展開していた。

「あ、あの屋敷は……なんだ!? あの美しい建物は?」

兵士の一人が、磨き上げられた白亜の館を見て声を上げた。

「いや、あり得ない……。数年前の記録では、あそこは崩れ落ちたボロボロの空き家だったはずだ。なのにここまで完璧な修復が……いや、誰か住んでいるのか?」

「まさか、あの姫君がこの中に隠れていると?」

指揮官が冷徹な瞳で館を射抜く。その顔には不気味な笑みが浮かんでいた。

「まあいい。突撃せよ! 抵抗するなら生かしておく必要はない。あの姫と、ドラゴンの幼体を確保しろ!!」

その瞬間、合図はなかった。だが、館を守る者たちの意志は一つに重なっていた。

ブゥゥゥゥンッ!

空気を震わせるような、数万の羽音が響く。庭の木々に潜んでいたビーたちが、黒と黄色の稲妻となって一斉に放たれる。

「な、なんだあの黄色と黒の魔物の群れは!?」

「虫型の魔物ではないか!? 何を怯えている、撃て! 撃ち落とせ!!」

兵士たちの銃声が響くより早く、ビーたちの針が装甲の隙間を容赦なく貫いた。

チクッ! チクッ! チクッ!

「ぐあっ! なんだこの痛みは!? 腕が……指が動かない!?」

わずか数分で、前線の兵士50人が悶絶して地面に倒れ伏す。治療魔法も最新の薬も、この「未知の毒」には一切の効き目を示さない。

その直後、茂みから地響きのような唸りが聞こえた。

「メエェェーーーッ!!!」

ヤギのゴロが、数センチの厚みを誇る鋼鉄の装甲をものともせず、全速力で突進する。

ドガァァッ!!

「グハッ……!?」

先頭の兵士がなす術もなく吹き飛び、背後の兵士数人を巻き込んで土煙の中に消えた。

立て続けに、レオが稲妻のような速度で飛び掛かる。

ガブッ!!

「ワンッ!!!」

「あぁぁぁっ! 肩が、肩が引き裂かれるッ!!」

ミケもまた、影のように舞い踊り、鋭い爪が兵士の顔面を切り裂く。

ズバァァッ!!

「ニャーーーッ!!!」

「な、なんだコイツらは!? こんな魔獣は見たことがない!!」

「魔物図鑑にも……載っていないぞ!! まさか、どこかの国が秘密裏に開発した新種なのか!?」

現場は阿鼻叫喚の地獄と化した。

館の窓から様子を伺っていた俺とルミナは、ただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

「な、なんて強さ……」

ルミナの声が震える。

「奏多様、あの子たちは一体何なのですか? ただの『動物』というものだと仰っていましたが……あのような連携、あのような戦闘力。私の知るどんな高位魔獣よりも恐ろしい……」

俺もまた、冷や汗を流しながら窓枠を掴んでいた。

「どうなってんだよ……。俺が召喚したのは、ただの……ペットだぞ!? 吠えて、走って、遊ぶだけの……。まさか、この世界では『動物』という存在自体が、魔獣以上の『未知の脅威』として認識されているのか!?」

この世界の人間や魔物にとって、犬や猫といった存在は概念として存在しない。彼らにとって、これほど人懐っこく、かつ組織的で、容赦のない攻撃を繰り広げる生物は、まさに悪夢そのものだった。

「ダメです! あの虫型の魔物に刺された兵士に治療魔法を放っても……いや、最新の解毒剤を使っても、全く反応しません! 毒が……魔力回路に直接入り込んでいるのか、治療が不可能です!!」

「お前達! これ以上戦うな!! この森は危険すぎる!!」

指揮官が顔面蒼白で叫んだ。

「あの姫君も、あのドラゴンの幼体も諦めて撤退するぞ!! こんな奴らがいるのなら、あいつらは死んだのと同じだ!! 撤退しろッ!!」

しかし、彼らが背を向けたその瞬間、退路を塞ぐように地面からハムが顔を出し、頭上からはインコのピーが爆音のような鳴き声を上げ、クモのスパイが放った糸が兵士たちの足を絡め取った。

「な、なんだコイツらは! まだいるのか!?」

ウサギのラビが地を蹴り、モグラのモグが兵士の足元の地面を揺らす。カタツムリのカタが撒き散らした粘液で、帝国軍の装甲車がスリップし、次々と衝突していく。

「容赦……なんてものはないのか!!」

帝国軍の兵士たちは、魔獣相手なら戦い方も知っている。だが、見たこともない小さな生き物たちが、死角から、地面から、空中から波状攻撃を仕掛けてくるという事態には、軍隊としての規律も崩壊していた。

俺たちはただ、その蹂躙劇を眺めていた。

召喚した相棒たちは、ただの家畜じゃない。この世界に存在しない「奇跡の生命体」なのだ。

俺の召喚魔法が、この世界の常識を狂わせる。その圧倒的な力の差に、帝国の先遣隊はただ飲み込まれていった。

第十一話、いかがでしたでしょうか。

ついに激突した帝国軍と「ただの動物たち」。この世界の常識が通用しない相棒たちの無双っぷりを楽しんでいただけたなら幸いです。

兵士たちにとっては魔物以上に恐ろしい未知の存在。奏多自身もそのポテンシャルに気づき始め、管理人の立ち位置が少しずつ変わっていきます。

次回:

「管理人の日常は続く! 補強される外壁と、新しい庭仕事の計画」

お楽しみに!

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