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「ワット!」
アニーとペコリーヌを宿の外で待って数分も立たないうちに護衛をしてくれていたおっさんたちがやって来た。聖女さまたちをノースリーフまで護衛して来た彼らは聖女さまたちのいた神殿で雇われた冒険者か、神殿の兵だ。中にはフィリップのように神殿から指名を受けた名高い冒険者もいる。
「スタン、ジョー、キース、バリー、ジョシュ?! なんで、ここに?!」
「アニーから聞いた。お前さんが追い出されたってな。一人で出て行くなんて、水臭いぞ!」
「そんなこと言っても、そのまま出て行けって言われたし、スタンたちは神殿に雇われているんだろ? 声なんかかけられないじゃないか」
「俺たちはいいんだよ。なっ?」
スタンの言葉におっさんたちが頷く。
「おっさんたち、いい男すぎる」
「よせよ。照れるだろ」
「だって、マジでいい人すぎ」
「ノースリーフの兵は王女サマの護衛だから仕方ないが、俺たちは勇者に協力して魔王のとこまで連れてくのが仕事だ。聖女サマたちの面倒を見ることは仕事じゃねえ。なのに、聖女さまたちは自分を王女サマと同じだと思い込んじまってる。王女サマはこの旅に出ようが出まいが我々の手が届かない存在だが、聖女サマたちは神殿の奥で大事に飼い殺しにされるだけだってのに、今じゃ王女サマ気取りだ。勇者のための俺たちだから、気にすんな」
「気にすんなって言われても、気にするだろ」
「聖女は今まで何人も出ているが、勇者はここ数百年で初めてだ。そうじゃなくても、一緒の釜の飯を食らった仲だ。俺たちはお前さんの味方だ」
「おっさんたち・・・」
俺、泣きそう。
こんなこと言われて感動するしかないだろ。
「男同士で何やってんのよ~。ワットはカーリーのものなんだからね~」
腰より下まである金髪ストレートの少女が俺に抱き付いてきた。
「カーリー?!」
「そうよ~。ワットのカーリーよ~。なのに、どうして、あたしに何も言わないで出て行くのよ~。ワットの部屋で待っていたのに~」
カーリーもここ一ヶ月で仲間になったばかりだ。ただ、特に何かをしたわけじゃないのに、俺を自分のものだと言って付いて来た。
村にいた頃ですら、こんなに好意を向けられたことがないから、ちょっと怖い。
って、ベッドにって、また勝手に入り込んでたのか?!
勇者だけど、俺はおっさんたちと同じ使用人用の大部屋だ。同じ部屋のおっさんたちに迷惑かけたな。
「カーリー! 何、勝手に出かけてんのよ!」
荷物を持ったアニーとペコリーヌも話しているうちにやってくる。
「カーリーは空間収納で全部持ってます~」
「全部持ってますじゃなかろう。もっとみんなのことを考えてだな、ワットの荷物を収納くらいしてくれてもよかろうに」
「ごめ~ん、ワット。カーリー、ワットの荷物持って来るの忘れちゃった~。カーリーのこと、許して~」
こうして、王女さまたちから見捨てられた魔物たちに苦しめられている人々を助けに、俺たちは旅立った。




