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エピローグ・たったそれだけで良い


 「それで?さてこれから次の目的地に行こうとあげる足高らかに出発しようとしていた俺たちを呼び止めて、一体何のようだってんだ?まさかお前が後日談というか今回のオチを担当するとは思わなかったんだが。」


 腰を置いた椅子で膝を組み、まぁ椅子があるのであればその対としてある木製のテーブルに右肘を置いて頬杖つきながら半目で若干迷惑そうに愚痴る17歳男子の姿がそこにあった。言わずもがな響さんでいらっしゃる。


 「いやまぁね、今更ほんの数十分急いだところで特段変わるわけでもない訳だしさぁ、別にいいんだけどね。ただやっぱり手短に済ませて欲しいわけよこちらとしても。」


 そう口を開いて不屈そうにはしているが、しかしながらそれでも無視せずちゃんと聞いてくれるだけマシなのだろう。その他の者どもはまぁ非情なもので興味が一ミリ単位ですらないのか皆それぞれ好き勝手やっている。リコリスは隣で話し合いだというのに逆向きに座りながら多少上機嫌で人形の髪の手入れをしているし、その横ではルールーが落書きに夢中になっている姿が確認できる。辿に至ってはもはやそのテーブルから離れて読書中という、結局話に参加しているのは響ところパイフェンの二人だけであり、今回この場を持ちかけたソフィアに同情せざる負えない。


 「・・・わ、私も連れってって。」


 「ま、そうだろうとは思ったよ。このタイミングで俺たち呼び止めると来りゃあそれだわな。それで?俺らがさして付き合いもないお前を連れて行くとでも?そりゃあメリットの一つでもあれば話は変わってくるが?」


 「か、回復魔法なら自身はある。貴方達のパーティーには・・・。」


 「薬で十分だな。そもそもこっちの薬品は性能がいいからわざわざ狙われやすいお荷物を替えがあるのに置いていく必要性はねぇよ。まぁ、薬以上の効果があってかつ毒や呪いみたいな特殊なもんに耐性あるなら別だが?」


 「・・・そ、それは・・・。」


 「そもわざわざ付いてくる意図が分からん。何?最強にでも目覚めちゃったの?だったらんなもん一人でやりゃあ・・・。」


 「あ、貴方達に付いていけばあいつら殺せるんでしょう・・・!?」


 彼女の強いもの言いに響の顔つきが変わる。ほかに暇を持て余していた三人もその発言を耳にして顔を上げ、ソフィアの顔に目を向けていた。


 「わ、私はあの人を見殺しにして、興味ないって切り捨てたあいつらが許せない。だから、だから・・、!」


 その体は震えていた。俯いた姿でははっきりとした表情まではわからないが、それでも握り閉められた拳に落ちる雫からある程度の予想はつく。


 「復讐のため、ということですか。ですが復讐は何も産みません。それにマザーグレースもそんなことを望んではいないはずです。」


 気持ちはわかるが、しかしだからといって復讐に取り憑かれてはダメだと、話を聞いていた中から天音が声をかける。

 その発言に対して、現在進行形で復讐真っ只中のリコリスの瞳に怒気が灯るが、しかし次に発せられたのは彼女の声ではなく、響のものだった。


 「何いってんだお前。ちゃんと爽快感ってものが残るじゃねぇか。達成感でもいい、その時には壮大な幸福感だって生まれるはずだ。それに生きる糧としては十分なものだと思うが?」


 「で、ですがそれは結局自己満足じゃないですか!」


 「あぁ、そうだよ復讐は根本は自己満足だ。だから自身の気がすむまでやればいい。最後までやり遂げて終わるのもよし、途中で気が変わるのだって自己満なんだからいいんだそれで。復讐は悪だって決めるんならそれでいいが、だからといってそれを他人に押し付けるなよ。少なくとも何も残らないだなんてことはないと断言する。」


 「・・・。」


 有無を言わさぬ確かな眼力がその瞳には宿っていた。それに飲み込まれて何も言い返せなくなってしまう天音。ただ開き直っているだけなのに妙な説得力があり、まるでいつか自身で体験したことのようなそんな風にも見受けられた。


 「はぁ、とりあえず深山達に出発明日に延期って伝えとかなきゃな。」


 「・・・ど、どうして?」


 「あ?誰も連れてかねぇとはいってねぇぞ。役割とか後からいくらでもどうにかなるからな。つかお前はまだマシな方だわ。そこの阿呆は連れてかなきゃならねぇ状態にして強引についてくんだからな。そうやって頭下げてくれるだけありがてぇよ。」


 睨みつけた方向では、辿がピースサインを作りながら満面の笑みで小憎たらしく返してくるのが確認できる。深くまで関わってしまった彼女を放っておくわけにもいかず、しょうがなしに連れていくことになったのはあの戦闘からすぐの事であった。もちろん静香や薫子なんかは大きく反対したが、そこは辿本人が手八丁口八丁を駆使し、持ち前の口のうまさで丸め込んだのはまた別のお話。


 とも、響達は彼女を受け入れるようで、逆にこんなにあっさりと入れてくれることに当のソフィアの方が大きく困惑していた。


 「な、なんで?さっきの話からだとどこにもそんな・・・。」


 「理由としちゃアレで十分だったからだよ。この状況で断ったら俺らが何のために今ここにいるのかがわからなくなっちまうしな。ほれ、早く荷物まとめて多方面に挨拶してこい。明日までって言ってももう昼過ぎてんだぜ?」


 かくして、さらに一人加わった一行は章太郎達を含めて次の目的地、アルファード共和国へと向かうのであった。

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