渡に乗りかかった船
「(やっぱりソロモン(ガチモン)じゃねーか!!こっちの史実とは、全く違うが指輪の時点でもう疑いようがねぇ。・・・ただ俺の求めてる情報はなかったな。だけど魔術国家ってのはきになるな。そういうところなら歴史上あいつらみたいなのが生まれていてもおかしくない。それどころか確率は十分に高い。)」
ソロモンの話を終えて響がまず考えたのはそれだった。勿論胸糞悪い話ではあるものの何度もその手の話を聞いてきたせいか耐性ができてきたようで、それは他3人も同じく感情が強く支配することはなく冷静に話を解釈思考していた。
だがそれは四人だけのこと、慣れるどころか初めてこの手の類を聞いた章太郎は怒り心頭、込み上げてくる感情を強く表に現れている。
「そんな話があってたまるかよ!!そんなんじゃ・・・。」
「落ち着け深山。別に貴族社会じゃそんなに珍しいことでもねぇよ。ま、だからんな身分制度くだらねぇとしか思わねぇんだが。」
激昂する章太郎を諌める響。たしかに身分制度の強かった中世ヨーロッパなどではありそうな話である。(あくまでただの予測なのでそういった事例があったわけではない。そこは悪しからず。)だとしてもそれは現代を生きる一般人にとっては顔色のよくない話ではあろうか。
そして響は思ったのだ。こんな話を聞き慣れるような奴にはなりたくなかったなと。
「ん、丁度はよくねぇがまぁいいだろ。乗りかかった船だしな。で、ソロモンさんや、お前はこのあとどうするんだ?」
「ごめんなさい、まだ決まってないの。どうするのが正しいのかもわからないしどうすればうまくいくのかもわからないから。」
申し訳なさそうにいうものの、別に彼女に非はないし、ほとんどの人はここで答えなんか出せないだろう。そもそも悩めるということはそれだけ慎重に進めようとしている証拠だ。
だが、すでにどうすればいいか理解している(あくまで彼流での話。)響は、あえて質問形式で答えを出させようとした。
「なるほどねぇ。別に正しく在ろうとする必要性はどこにもねぇが、無鉄砲よりはましか。ただそれにしてもこの追手はどうにかしないといかんな。じゃないといつまでたっても穏やかに暮らせねぇぞ。」
「そうだよなぁ、となるとその王妃、ソロモンの継母をどうにかしなっきゃいけないな。ただ・・・。」
「ただ?」
「下手に殴り込みに行くような真似はできませんわね。」
なんとまさかここで答えてきたのは団子を食し終え食休みのお茶を啜っているリコリスだった。
「ちょ、人のセリフ取るのやめてくんね!?」
「そうですね、相手は王族ですから何の策もなく向かえば反逆罪として追われることになりますね。しかも室内に味方を作ろうにも今回は状況が芳しくありません。」
『かといって放っておけるような猶予はないと。
』
「なんであんたたちまで!?」
いきなり出てきた彼女に広義の言葉を派手にあげる章太郎だったが、なぜか残りの二人も勝手に入ってきて説明していくのでまるで立つ瀬がなかった。
だが、たとえそれでちょっと落ち込んでいたとしても響は待ってくれない。そもそも知ったこっちゃねぇと行ったふうに質問を続けていく。
「で、どうにかしに行くのか?仮に行くとして策はあるのか深山?」
「それは・・・。」
「うかばねぇか。ま、しゃーなしか。ならせっかく出し教えてやろうじゃぁねぇか。ま、簡単な話だ。この場合一番簡単なのは王室の貴族その他諸々含めて全員始末すりゃいいんだよ。文句言う奴がいなきゃ何も心配いらねぇからな。」
定時された作戦は恐ろしく野蛮かつ卑劣なもので、一般人には決して思いつかないような内容だった。勿論悪い意味で。
それを聞いた章太郎はびっくら仰天、そんな常識はずれな考えはなんぞと考えるより先にツッコミが出てしまった。
「いや待て待て待て!!お前それ正気で言ってんのか!?物騒すぎるしそもそもそんなことできるわけねぇよ!!」
「できるぞ、俺なら。朝起きてすぐ◯イッター開く感覚でちょちょいっと済ませられるな。というか俺らの誰かしら一人でもいれば即終了するぞ?ま、方法の一つだやり方はいくらでもある。」
たとえがちょっとよくわからないが、とりあえず大したことでもないことは確かなようだ。
ただ、それができるのはお前たち化け物どもだけだということをいたく忘れないでほしい。
しかし、先ほどの話し方からするに、どうやら彼らソロモンのこの一件に付き合ってくれるらしいが(響が勝手に決めた)、それに気づいた章太郎が少し期待を胸にして確認してみる。
「その言い方、もしかしてついてきてくれるのか!?」
「ま、俺らの用事が済んだらな。さっきの話聞いてアルファードに興味が湧いたし、どうせならな。あ、勿論ただじゃねぇけど。」
と人差し指と親指で円を作って見せてくる。
「金とんのかよ!?」
「別に金じゃなくてもいいし後払い出世払いでもいいがな。俺がただってのが好きじゃねぇんだ。少なからず負い目ってのは出てくるし、知らない奴からだと怪しさマックスで信用できん。ただでやってもらったてよりかわお前らだって楽だろ。」
「・・・ありがとうな、霧村。関係ないのにそこまでしてもらって。」
「ついでだついで。別に大した労でもねぇしそれで儲けでるならアドだと思っただけ。そもそも関係ないのはお前もかわんねぇだろうが。」
「関係なくはねぇさ。まだ会って二日も立っちゃいないけど、逆に言えばそれだけの間はずっと一緒にいたんだ。もうハイそうですかって手を振ることはできない。」
いや、実際にはここで俺には関係ないし、ということだってできるはずだ。けれど彼はそんなことしたくないし、そんな奴になりたくない。せめて隣の人ぐらいは助けて生きて生きていけるようにとそう心に決めて。
「章太郎・・・、ありがとう、私なんかのために。それと響さんもありがとうございます。そしてごめんなさい、迷惑をかけてしまって。」
「おう、感謝しろよ小娘。」
「いや何様ですのあなた。それにソロモンさんも、女性が自分のことをなんかだなんて言ってはいけませんわよ。」
目頭を熱くして雫が落ちるのを我慢しながらソロモンは深く頭を下げて礼を述べる。
片方の受け手が受け手だが、逆にこの方が気が楽になるかもしれない。またリコリスのフォローもいい味を出していた。
「ただ、先に教国で俺らの用事済ませてからな。こっちもやらなきゃいけないことあるし。というかそっちメインだし。」
「なんだ、お前らも教国に行くのか。」
「も?」
そこで章太郎はようやく自分に何があったのかを話した。大雑把ではあるが難しいこともないのですぐに伝わったが、おかげでそれを聞いていた響は大爆笑。腹を抱えて笑い転げ出している。
「ぎゃはははははははwwwwww!!!まじかよオイ、お前まさかこの歳で、ひひ、この歳で迷子かよwww。ヒハハww、しかも何もない一本道でかつ人混みでも何でもねぇののに逸れたのかwww。ヒィ、あかん腹がよじれるw。」
「笑いすぎだボケ!!お前人が気にしてるってのにそうやっって!!」
「ヒィ、ヒィすまん済まん。まぁお前が迷わにゃソロモンは今頃って考えると良かったんじゃねぇの。というかお前パーティーメンバーそっちのけでやってるけどいいのかよそれで。」
「あ。」
「薄情な方ですわね貴方。今の今まで忘れてたって顔してますわ。」
『というかそもそも自分が迷って迷惑かけてるのにこれは流石にない。』
そういや忘れてたと感嘆の声をあげる彼を二人がかりで攻め立てる。響のせいかなんなのか、章太郎はいじられ(いじめられ?)キャラとして定着したようである。おかげで普段いじられてばかりのリコリスが
いじる側に回れているので、そんなクッソどうでもいいことでリコリスの彼の評価は上がっていた。ひでぇなそれ。
「い、いや忘れてたわけじゃないんだ。ただいろいろなことがありすぎて思考から外れてたっていうかなんていうか・・・。」
「要するに忘れてんじゃねーか。はぁ、とりあえず一人で行くにしろついてきてもらうにしろ頭下げるんだな。(アナザー、あいつらの反応なら王城で確認してるはずだしわかるよな。近くに清水たちの反応はあるか?)」
「(はい、ここから5キロほど先に反応がございます。少し速度を上げて歩いていけば夕方までには追いつくかと。)」
「(オーケー了解。)」
こっそりと章太郎の仲間の居場所を捜索してみるとどうやら割と近いところにいたようだ。もうすぐ教国につくし森も途絶えて二つの道が合わさるのでそこまで奇跡的なことでもないか。
「そ、そうだな。流石についてきてもらうなんてのは図々しくてできないけどそれでも自分の勝手でパーティーに穴開けるんだしな。」
「別にこんぐらい仲間頼ってもいいだろ。確かお前らのパーティーメンバーって不動や清水たちだろ。あいつらなら迷惑だなんていわないだろうし、話聞いたら一枚噛ませろっていうんじゃねーの。」
そうだろうかと章太郎は少し考えてみる。たしかにあいつらならなんの嫌な顔なく快く引き受けてくれるだろう。むしろ積極的に来ておかしくはないので、頼ってみるのもありかもしれない。
「・・・考えておく。」
「早くしろよ、これから合流すんだから。」
「え?」
「いるぞ、あいつらこの先に。日暮れ前までに追いつきたいからさっさと行くんだよボケ。」
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〜会計時〜
響「ばあちゃん、これ代金。ごちそうさん。」
章太郎「え、いやここ俺のおごりじゃねぇのか?」
響「これはリコリスたちの分。俺の分はちゃんと出してもらうぞ。」
章太郎「・・・いいのか?」
響「あれ片付けたの誰?俺だけだろ。あいつら関与してないんだからその権利ないから。そもそも金に困ってるわけでもねぇし。」
章太郎「じゃぁなんで奢ってくれだなんて言ったんだよ。」
響「だって他人の金で食った方がうまいやん。」




