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プロローグ・失われた栄光


 空には太陽が落ち始め、白月が現れだした昼下がり。

 そこに佇むひとりの少年。背後には2人の少女。離れたところにいる男女数人は驚愕の表情を浮かべ、一足遅く来た4(・)人の少女達はいつもの顔ぶれ。

 さて、いつもの厄介ごとではあるものの、しかし普段と違うものがある。


 それは目の前の相対する天翼の麗人供。

 曰く神の子、曰く御使天使諸々。絶対忠義の神の子達が、まるでおおよそ目撃したこともないその情景に眉をひそめる。


 「ま、間に合わなかっただなんて、そんなことはねぇよな。間に合わせる努力だけは、常日頃してきてんだ。」


 そう傷ついた左腕のための回復薬を口にしながら、少し自嘲気味にこぼす響。

 そんな突如として現れた男に、使いの1人が当然の疑問をぶつける。


 「貴様、何者だ?」


 「月並みの質問だなぁおい。今時小学生でももっと洒落た言い回ししてくるぞ。いや、そんなこと今はどうでもよかったな。どうも始めまして神の飼い犬供。お前らの大嫌いで大嫌いな叛逆者様の登場だ。」


 その名乗りに、御使達の顔が苦虫を噛み潰したようなものへと変貌する。

 まさに邪悪、眼前憎しいざうち滅ぼさんと、その得物を持つ手に力が強く入り、己が主人にあだなすその存在へと明確な殺意と悪意を向かわせる。


 「そう早まるんじゃねぇよ、待てもできねぇ駄犬なのかテメェらは。そもそもこっちだってそれ目的できてんだ。まさかそれも読み取れないとか言うなよ?底が知れるぞ。」


 「世迷いごとを!たかが人間ごときに何ができると言うのだ!」


 響の煽るような物言いに、よほど耐性がないのか額に青筋を浮かべてキレ気味に反論する内1人。いやだがしかし、彼女の言い分も最も。ただの人間ではこの神の子達には葉もたたないどころか、同じステージにさえ立ってはいられない。

 が、それは並のと言う言葉がつけばの話。


 「ま、そりゃそうだろうよ。だがまぁ、こちとら化け(はみだしもの)の一行なもんでね。少なくとも、お前らごときに遅れを取るほど、おめでたくできちゃいねぇんだ。」


 その言葉とともに、腕を真横へと差し出し、小さく口を動かす。

 紡ぐ三節。それは忿怒を灯す紅の燈。成すは焔、示すは天上の赤き徒花。

 秘されたる光景は栄華の極みなりて、故にその花炎が天を許すこと能わず。

 その意の込められし言葉を紡いで、最後の締めを指鳴らしとともに行う。



 降りしきるそれが一瞬視界から彼の姿を隠し、その刹那で世界風貌は一変する。


 「▪️▪️▪️▪️ーーーーlost groly」


 烽火連天、(ほむら)の海原。

 今纏う赤白(せきじゃく)を払いのけ、天上の花は狂い咲く!

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