占い師にはご注意を
三人の顔が、すべて等しく占い師の女へと向けられる。
向けられた当の本人たる占い師は、それを受けて満足そうに笑みを浮かべてさらに言葉をつづけたのだった。
「今ならそこそこお安くしておくよ?どうかな?」
手招きを加えて、響たちを誘い込もうとするその姿を目にしたことを受けて、いったん皆で顔を合わせ目くばせで軽く会議。その間約5秒で結論を出したかのようにうなずきあい、その女の所へと足を運びだした。
「そこそこってところが微妙に引っかかるが、まぁ、気にしないでおくことにしようじゃないか。そんなもん先に聞いておきゃあいいだけだし。といってもそれがほんとに安くなってんのかなんて俺らにはわからないから結局は無意味な気掛かりに他ならないんだろうけどな。」
変な文句を自己完結しながら、机につけられている言うを引き出して腰を掛ける響。女性陣二人も続けて自分用の威末男引き出して座る。ちなみに料金は一人銀貨2枚だそうな。
「しかし、よくわかりましたわね。私たちが帝国の外から来たって。」
「そうですね。もしや占いでわかったのですか?
「まぁ、そんなところだよ。で、何を占いたいんだい?」
そう言って占い師の女性---モーラは腕を組んで卓上に乗せ前かがみになった。さすれば必然、その乳房は強調される。
ちなみに言っておくと、彼女のそれはかなりでかい。ついでのついでに言うと下の方も形よく大きい。それは羽織っているだぼだぼのローブみたいなものの上からでも十二分にわかるほどに。
さて、そんなものが腕によって協調されているのだ。その凶悪さたるや、凶器という言葉さえも足りないほどだ。
「ほう・・・・・・マーベラス。」
そんな光景を目の前で見ている響さん。それはもう素晴らしい景色が広がっており、あごに手を当てて目を細め、その部分を凝視しながら感嘆の声を上げた。
そんな声を上げれば、必然と女性陣に何が起きているのかは伝わるもので、それの持ち主たるモーラは恥ずかしそうに顔を赤くさせ、慌てて身体を引き、隣にいるリコリスはとんでもなく冷たい目を向けている。
「・・・・・・最低ですわ。」
「いやいやいや、これは男としては普通の反応だっての。健全な年ごろの男の子だったら皆こうなるっての。これに反応しないのは極度の貧乳っ好きかよほど性癖がゆがんだ変態だっての。むしろ俺の反応が正解なんだよ、アンダースタン?」
「だからってそれをわざわざ口に出す必要はありませんわ。それにがっつり見過ぎですわ!!」
「なんだ、持たざる者の妬みか?」
「べ、別に私は小さくないでしょう!?喧嘩売ってますの!?」
確かにリコリスの胸は小さいというものではなく端的に言えば普通というのが最も合うほどの大きさであるのだが、今この場にいる二人に比べると幾分か劣ってしまう。
簡潔に言うと、場の巨乳度と率が高すぎて彼女の乳がかすんで小さく見えてしまうということだった。哀れなりや。
そして例によっての言い争い。今回どちらが悪いというのであれば、それは完全に煽って会話をしていた響の方であろう。
ともかくこの二人、店先で騒ぐなど営業妨害極まれり。隣で静かにしていたパイフェンが、申し訳なさそうに恥ずかしがっている。全くもっていい恥さらしだ。
さて、ほとぼりが冷めるまで5分ほどの時間を費やし、ようやく本題の占いの方へと取りかかりだした。
「と、とりあえず最初は何を占うのかな?」
遠慮がちにモーラが問いかけてくる。まぁ、そうなるのも無理はない。何せ先ほどまでの濃くてわけのわからないやり取りを目のあたりにしたのだ。むしろそれが自然であってこれを何事もなかったかのように流せるものなど、余程スルースキルの卓越した者しかいない。
「・・・・・・では、とりあえず私たちの今までについて少し占ってみてくれませんか?試すようで悪いのですがやはりそこの確認はとっておきたいので。」
そこというのは彼女、モーラの占い師としての実力のことだろう。
さすがはパイフェンといったところだろうか、そういった気配りができるところは彼女の美点であろう。これがリコリスであれば疑いもなくのほほんと占ってその結果をうのみにしていたところだろうと至極容易に推測できる。
「わかったわ。ちょっとまっててね・・・・・・。」
そういって自身の目の前に置いてある水晶玉に手をかざして、その手に力を入れる。変化が起きたのはそれから十数秒の時間がたってから。水晶玉が淡く光りだすという変化を終えて、そののちに占い師モーラが語りだす。
「えっと、君たちは全員過去に何かしら起きているのか、かな?」
「「!!」」
その発せられた言の葉に対して、パイフェンとリコリスがはっと息を飲む。二人とも思うところがある、というかドンピシャで想像を絶するような過去を過ごしてきた身だ。それをさらりと言い当てたのだから驚かないわけもない。一人を除いて。
「それに、一度大きな修羅場を潜り抜けてきたんじゃないのかな。そう占いの結果としては出てるよ。」
またもやのことに二人は驚きを隠せない。
この大きな修羅場というのはきっと妲己との戦いのことだろうか。何はともかく、この占い師、その力は確かなもののであり、信頼に値するととっていいだろうし、実際にそう捉えている。一人を抜いて。
「うたがって申し訳ありませんでした。あなたの力はまちがいないもののようですね。」
「納得してくれてうれしいよ。それで、君たちは何が聞きたいんだい?」
そういうモーラんおお顔には笑みが浮かんでいた。何やら少しばかりか卑しい雰囲気をはらんでいたようにも見えなくもないが、きっと気のせいであろう。というか、商売をしているのだから、そんな顔をしていっても当然といえば当然かもしれない。
「そ、それではこれからのわたくしたちの行く末と、目標達成の有無をお教えくださいな!お金なら払いますわ!!この男が!!」
「おい。」
確かに三人一緒に受けているのだから、共有財産を管理している響が払うので、何も間違ったことは言ってはいないのだが、しかしどうにも言い方が悪い。
もしかしたら、占いに対してテンションが上がっているせいでそういう言い方になったのかもしれない。まぁ、八割がた今のは素だとは思うが。
しかし、どこの世界に行っても女性が占い好きというのは同じようで、二人とも妙にテンションが上がっている。
「うん、かなりざっくらばんしていてやりにくいけど、何とかやってみるよ。」
そう言って、先ほどのように水晶玉へと手をかざして、念を送るようなしぐさをする。違うのは、その水晶玉が光る色合いが少し青みがかっていたことだろうか。
「うん、出たよ。これからなんだけど、君たちはまた大きな修羅場にであうことになるって出てるね。それに目的の方だけれど、大きな壁がいくつも立ちふさがっている。けれども、乗り越えることはできるから頑張って進みなさいだって。」
「な、なるほど・・・・・・。要は前途多難だけれども、どうにかなるってことですわね。ありがとうございますわ。それで、次はパイフェンさんの番ですわ。」
「いえ、私の聞きたかったことはすでにリコリスさんが聞いてくれましたので・・・・・・。なので私の番は飛ばして、響さんの番にして下さい。」
「そうか、まぁ、そういうならお言葉に甘えようじゃないか。まぁ、こんなインチキ商売に占ってもらうことなんざ何もないんだがな。あ、安心してくれ、代金はちゃんと払うから。」
「「はえ?」」
響が口にしたその言葉に、本人たる占い師のモーラと、彼女の占いの結果をうのみにしているリコリスが素っ頓狂な声を上げてんいる。
「いやいや、何んで当の本人が驚いてんだよ。あぁ、なるほどなるほど。いきなり見透かされたから困惑してんのか。そりゃそうだな。」
そんな言葉に対して、占い師モーラの顔から驚愕が消えて、焦りが見えてくる。
「な、なんのことかな?私の力はさっき見てもらったと思うんだけど・・・・・・」
「あんなもんただの観察結果だろうが。まずは最初の俺らが部外者だってやつ、それこそわかりやすい。何せ俺を含めて三人とも
物珍しそうに町中を眺めながら歩いていたからな。それに歩くスピードからもわかるだろうさ。慣れている場所を進むならば迷うことなく普通に進めるが、初めての場所であれば心理的に不安になって歩くスピードってもんが落ちるらしいからな。周りと比べていけば簡単に見分けがつくだろうよ」
そう、淡々と先ほど彼女が占いで当てたというその一軒について解析していく響。まるで、知り合いになにやらその手の知り合がいるような口ぶりだった。
「続いて最初に占ったことに関してだが、結果にしちゃぁあまりにも抽象的すぎる。それによくよく聞いて考えてみれば万人に当てはまるような事柄。大きな修羅場だなんて
、人間生きてりゃ一つや二つあるだろうし、何より服装やらなんやらから俺らは旅人とまではいかなくとも観光客でないことはわかるだろうし、だったらなおさらそういうことに出くわしている確率は高いからなぁ。」
容赦なく、響は解析を進めていく。それにつれてモーラの顔は引きつり冷や汗をかきながら顔色を色々と変えていった。
「未来のことだって、よく聞いて噛み砕いてみれば別に俺らの音を言ってるわけでもないしな。
まぁ、一応俺達、というかこのアホ女の反応を見て、ある程度は選んでいったんだろうよ。」
その解説に対して、パイフェンは「言われてみれば・・・・・・不覚を取りました。さすが響さんです。」とこぼしており、リコリスは響のアホ女発言に若干キレ気味で彼を睨みつけていた。とりあえずこの後にさっきのアレが再開されるのは確定のようだ。
で、只今絶賛響に化けの皮を剥がされている女占い師は汗でびっしょりと服をに濡らし、ふるえながら顔をひき釣らせながら、じりじりと後退している。
「い、いや、そんなこと言っても、そ、そう占いに・・・・・・」
「じゃぁもっと具体的に言ってみてくれよ。俺たちが搔い潜った修羅場って何のことだ?過去に何が起きたんだよ?」
「え、えっとその・・・・・・」
「これから起こる修羅場ってのはいついったいどこでどんな風に誰が主な主因として起こるんだ?目的の前に立ちはだかる大きな壁ってのは一体何を指すんだ?一体何枚あるんだ?そもそもお前は俺たちの目的ってのを理解知ってんのか?そういった諸々しっかりと教えてくれや。本物だっていうならなぁ?」
不敵に不気味な笑顔を浮かべちてモーラを追い詰めていく。その姿は完全に悪役のそれであって、主人公のすることではないのだが、今まで彼がやってきたことを考えると今さらな気がした。
「ごめんなさい!!!!!そうですぅ!!!!ごめんなさぃいいいいい!!!」
とうとう限界が来たのか、泣きながら自分の日を認めて誤りだす占い師モーラ。ここまで必要以上に追い詰められて泣き出す様を見ると、本当にもうどっちが正しいのかがわからなくなる。
しかもしでかした本人たる響は気にすることもなく勝ち誇ったようなドヤがを醸しているのだが、それが実ににくたらしい。おもわず殴りかかりそうになるほどに。
「さすがですね 響さん。私では全く気づきませんでした。何かそういう知識をお持ちでしたのですか?」
「ん、あぁ知り合いにに占い師兼風水師な奴と、詐欺師がいてな。そいつらからだましのテクやら占い師の見分け方やらなんやらいろいろ教えてもらったんだよ。まさかこんなところでその知識を使うとは思わなんだな。」
パイフェンの問いに対して感慨深そうにしまながら返しの言葉を口にする響。
知り合いに占い師や詐欺師がいるような友好関係とは、この男は一体全体元の世界でどのように暮らしてきたのだろうか?はなはだ疑問である。
「まぁ、金は払ってやるから安心しな。ただ、しっかりきっちり反省はいてもらうけどなぁ。」
そう言ってまたもやゲスったらしい笑みを浮かべるのだった。
こんな男が主人公でいいのか一抹の不安が残るのはおかしなことでは名だろう。




