金蔓
進みはじめてからどれ程たっただろうか ?暗く、樹木が好き放題生い茂っていた森も、今では日光も届き、歩きやすい森林と呼べるものとなっていた。
「アナザー、帝国とやらまであとどのくらいだ?」
『この森の大きさが約4、50000ヘクタール。今の座標はv7。中心からおおよそ3分の2ほど来たところになります。抜けた後、村を一つ越えての到着となりますので、約2、3日となります。』
『まぁ、そんなもんか。』
こっちで考えると館山から水戸ぐらいである。結構遠く感じるがたぶん休憩やらなんやら加えての時間だろうからもっと近いのだろう。流石にノンストップで3日も歩き続けるのは無理がある。
ちなみに、50000ヘクタールとは愛知県とほぼ同じ大きさだ。なんともあぁ広い森だ。
「それで?後どれくらいでしたの?」
「あぁ、村を挟んで2、3日だと。少なくともこの森からは今日中に抜けられそうだぞ。」
「……思ったより有りますのね。」
「いや、近い方だろ。この程度でよかったと思えるほどだ。」
まぁ、一つの大都市に向かうのだ。一週間ほどとかんがえるのが妥当だろう。そう考えると、2、3日という時間も短く感じる。
その後、歩き続けて40分ほどした頃だろうか?アナザーが何かの気配を感じ取ったのである。
『マスター、二時の方向に生体を確認。種族は人間。このままですと接触します。』
「おう、了解。」
「どうかしましたの?」
突然呟いた響に、問いかけるリコリス。その呟きから察するに、何か異変があったのだろうと、彼女は少し気をはる。
「このままいくと人と鉢合わせになるんだと。」
「あら、人ということはそろそろこの森の終わりが近いので?」
「いんや、どうせこの森にたむろしている山賊かなんかだろうさ。」
はたして、二人の目の前に現れたのは、三人組の薄汚い格好をした男達、響が口のした通り山賊どもであった。
「おい、見ろよガッチャン、ドンパチ。俺たち今日はついてるようだぜ。」
戦闘にいた大柄な男が後ろの二人にそう声をかける。
「そうですねぇチョメチョメの兄貴。あの女はきっと高く売れますぜ。」
そう反応したのは右側の目付きの悪くひょろっとした男。
そして、残りの小さく太った男も後に続く。
「ドンパチのいうとおりですぜ。まあ、その前にたっぷり俺らの相手してのらいますがねぇ!」
「「「ギャハハハハハ!!!!」」」
下卑た笑い声が辺りに広がる。
どうやら彼ら、前の大きいのがチョメチョメ、目付きの悪いガリがドンパチ、チビデブをガッチャンというらしい。なんとも個性的な名前である。
して、響はというと、なんだこの絵にかいたようなテンプレ山賊どもはと面白そうに三人を見ていた。無論、その名前にも興味はあるが。
「おい小僧。ここでおとなしく持ちもんとその女渡すってんなら、命は助けてやるぞ?」
先頭のデカブツ、チョメチョメがそうどドスを聞かせて響を睨み付ける。
しかし等の本人は何食わぬ顔をし、言葉を返す。
「超テンプレゼリフをありがとさん。だがあいにく俺ら金持ってねぇんだよ。」
「あ?」
いきなりなんだこいつ?と、いぶかしむチョメチョメ。きっと彼はここで引き返すべきったのだ。いや、それでは遅すぎる。そもそもこの経路をたどらなければよかったのだ。
「つー訳だからさっさと金落とせやぁ!?」
そう言っていきなり長柄の刀でチョメチョメを頭から一刀両断する響。
この男の中では、山賊は合法的に奪える最高の資金源としか写っていないのだ。しかも隠れる必要なく、さっさと殺して剥ぎ取るきでいるのだからどっちが山賊なのかわかったもんじゃない。
といっても、山賊も文句は言えない。何せ普段から同じことをやっているのだ。自業自得であるし、故にいつか自分がそういう目に会うことを覚悟していなければならない。誰かを殺すなら殺される覚悟を。奪うなら奪われる覚悟を。
だからこそ、響は山賊には容赦なく奪い殺しにかかるのだ。
チョメチョメを叩ききった後、その勢いのままドンパチに回し蹴りを加える。バキバキと不吉な音をたてながらドンパチは吹き飛んでいき、樹木を一つ突き破り2本目にめり込んだ。その蹴られた脇腹はひどいもので、一目で絶命しているのがわかる。しかし響は、念のためにとその頭を魔法で爆発させた。文字どおり死体蹴りである。
最後、ガッチャンに肉薄し、どの首もとに刃を当て告げた。
「お前の未来は二つだ。一つはこのまま殺されて金品剥ぎ取られるか。もう一つは俺らをお前らのアジトに連れていって助かるか。2秒で選べ。」
ガッチャンがどちらを選んだかはいうまでもないだろう。




