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 「いや・・・なんかちげぇ。もっとこうもちもちしてるんだよ。もちもち具合がたりねぇ。」


 「うーん、白玉粉が足りなかったですかねぇ。でもこれ以上は固くなりすぎますし。」


 「・・・豆腐か?いやでもなんか豆腐使ったやつ販売されてたようなされてなかったような・・・。あぁクソワカンねぇ。こんなんだったらレシピ調べておくんだった!」


 「・・・あのさぁ。」


 「なんだよ。」


 「ついに自分で作ろうとするなよポン◯リング。どんだけ好きなんだお前。」


 「自分でじゃねぇ。この店に手伝ってもらってだ。」


 話の通り、今響はポン◯リングの開発に勤しんでいた。ポン◯リングなんて代物はこの世界にはない。故に自力で作ろうとしたのだが、どうやらこれが想像以上に難行している様子。料理に関して素人の響だけでは不可能なのでういたちも、店の新商品にしていいのならという条件で付き合っているのだが、それでもなかなか完成には至らなかった。


 「・・・そんなに必要なものかなぁ?」


 「ないと禁断症状が出る。」


 「ポン◯リング中毒!?」


 「ケツにつっこむだけならそこまでクオリティ高くなくていいからこれでいいんだけど食用はなぁ。」


 「何あれ冗談じゃないの!?本当にやるつもりかよ!?」


 「おう、俺は一度口にしたことは(面白そうなやつだけ)必ずやり遂げる男だからな。」


 『今不自然な間があった気がする』


 「気のせいだろ。」


 「しかし砂糖天麩羅は珍しくないが、これが白玉みたいな食感というのは聞いたことがないないし難しいもんだ。」


 「他になんか弾力出す素材とかねぇの?」


 響の問いに頼仁が数秒ほど頭を巡らせる。色々あれこれ脳内で検索してみて、その中から甘味づくりに使えそうなものをピックアップしてみる。


 「・・・水飴でも混ぜてみるか?弾力ってより粘り気だが。」


 「よし、それで行こう。とりあえずはトライだ。家庭教師の人だって言ってただろトライしろって。」


 「それは名mっ!」


 「やめろ、それを口にすると伏字にせにゃならん。」


 慌てて章太郎の口を塞ぎ忠告する響。もがくように暴れるが無論響の拘束を解けるはずもなく諦めて大人しくなったところでようやく解放される。


 「ぷっは、じゃぁそう言った危ないネタ使うなよ。」


 「著作権法ってこういうところでめんどいよなぁ。」


 「だからって・・・このままじゃいたちごっこじゃねぇか。」


 「無限ループって・・・殴って壊せば良くね?」


 「何その新語!?そしてその脳筋思考!?」


 「まぁそれは冗談としてっと。今はポン◯リングだ。」


 「もういいよポン◯リングは!!」


 「なんだよあと三十四時間はポンデリングを語ろうかと思ったのに。1日かからずに終わるってのに連れないやつだなぁ全く。」


 「1日の限界を超越するような話がポン◯リング!?偉業の割に内容がしょぼすぎるだろ!!」


 「二十四時間の垣根を越えることはいいんですね。」


 「そういう物理的常識について突っ込むのは毎度のことだし疲れるだけだからやめたんだよ。俺だからみたいな謎理論で返してくるだろうし。」


 「じゃぁ全部スルーすれば楽になるのに。」


 ごもっとも。それに極度にふざけるのだっていつものことだ。


 「それができたらやってるって。気にして突っ込んじゃうから困るんだっての。」


 「恨むなら己の産まれの不幸を恨むんだなガル◯。」


 「ほーら始まった。」


 「私の名前はシャ◯・ア◯ナブル、ここには母を探しにきた。」


 「いったいいつからお前は赤◯彗星になったんだよ。」


 「常人の三倍の速度を誇る私の生活速度についてこれるかな。」


 「三倍なのは本人じゃなくて機体の機動力だろ。しかもなに生活速度って、人より生活リズムが早いとかか?しょぼいし意味あるのかそれ。」


 「ふむ、私の瞬きの速さは常人の三倍を誇る。ついてこられるかな。」


 「よりしょぼくなってるじゃねぇかただのドライアイの人だろそれ。しかも本家仮面つけてるんだからわかんないだろ!!」


 無論、響はそんなものをつけていないのでその様子はよく見える。そして人間が高速で瞬きをし続けている様はシュールというかそれを通り越して気色悪かった。


 「・・・ていうか気持ち悪い!ただ瞬きを早くやってるだけなのにめちゃくちゃ気持ち悪いよ!やめて!キモいキモいキモい!」


 「断固拒否する。お前らが嫌がってる様子見てたらなんか楽しくなってきたし。」


 「というかそれ絶対疲れますわよね。」


 「確かに疲れる。だがお前らがそれで不快な思いをするというのであれば本望。耐えきれなくなって逃げ出すまで続けてやるさ!」


 「畜生か己は。」


 自身も被害を被っているので畜生というのは若干違うかもしれないが、しかし害悪であることには変わりなかった。

 あと、最初の方は押さえていたのかもしれないが途中からめんどくさくなってきたらしく瞬きの風圧が凄まじい。そのせいでものは飛ぶし髪は乱れるしでまさに人間災厄だった。


 「やめれやめれ!色々飛ぶから飛んでるから!」


 「ハハハハハ、愉快愉快。」


 「頼むから七千回ほど死んでくれ!できるだけ惨たらしく!!」


 「口でしか抵抗できぬとは哀れなやつよ。」


 「うっっっっざい!!」


 「ハハハハハ愉悦愉悦。」 


 心底嬉しそうに瞬きで暴風を撒き散らす響とその風に煽られる十数人とかいう全く奇妙で奇怪な状況が広がっていた。多分こんな景色を拝めるのは古今東西空前絶後どこを探してもここだけだろう。というかそんな思考に至るやつは響ぐらいしかいない。

 

 

 「相変わらず騒がしいなあんたら。」



 「いいじゃねぇか。店に迷惑はかけてないぞ大将。」


 まぁ実際言葉の通りこの騒ぎは本人たちの中だけでおさまっていた。特に店の中が壊れるようなこともないし、ほかの客に被害が行くこともない。そもそもこの時間はそこまで人はいないし、常連の人たちは皆ほとんどこの一か月で慣れているので特段気にする様子もない。むしろ一連の流れを肴に酒を進める輩もいる具合だ。すでにこの店の名物の一つになっているといってもいいだろう。半ば不名誉な名物かもしれないが。


 「まぁ、いいんじゃないのか。ほかのお客も楽しんでるみたいだし、さすがに店を壊されちゃ困るけど。」


 「そうだな。頼むから壊さんでくれよ。」

 

 「俺がそんなヘマすると思うか?こういうのは笑えるからいいんだ。笑えなくなるまでやるのはただの馬鹿だぁよ。」


 「いや笑えないんだけど。ただひたすらに迷惑でしかないんですけど!」


 「せめて瞬きやめて!きついから!!」


 「お前らも瞬きで対抗すればいいんだよ。あ、面白そうだなそれ。にらめっこにかわる新しい顔面競技としてはやらせるのもありか。」


 「ねぇよ!!」


 そんな競技がはやるともなればそれはもうまさしく世紀末以外の何物でもないだろう。大体顔面競技とかいう言葉にしたってパワーワードすぎる。それこそにらっめこぐらいにしか使われないだろう。なんだその三枚目しか集まらないような競技は。


 「いつも通りだねうい。」


 「見てる分のはほんと面白いのよねあの人たち。見てる分には。」


 「間違っても混ざりたくはないがな。」


 「間違いないな。」


                       ♢


 異変が起こったのは、それから三日後のこと。その日は水曜日で、都端の甘味処が裏メニューとして閉店間近の限定商品を数量限定で販売している日だった。それ目当てで響たちは毎週を早い時間で切り上げていた(いつもは普通に閉店までいたりする)。そうしてそのまま日課の捜索に出ているところで、およそ一時間は立ったところだろうか。


 「これで27か所目・・・・・・ようやく四分の一ですか・・・、どうもなかなか進みませんね。」


 「それなぁ。しかも全部外れでしたってオチもなきにしもあらずだからなぁ。もしそうだったら普通に泣くぞ。」


 虱潰しはいやだといっていたが、結局トータルで見るとそっちの方が確実かつ手っ取り早いのでローラー作戦に出ているのだった。まぁ最後まで響はめんどくさいと駄々をこねていたのだが。


 「やめてくださいましみっともない。あ、みっともないのはいつものことでしたわ。」


 「お?あんま調子こいてっと、お?」


 「いや具体的にどうすんだよ。」


 「ん?そりゃまぁあれだろ。ほれ、ケツにポン◯リング。」


 「ほんと好きだなそれ。」


 最近よく聞くフレーズにまたかと蓮太郎が口を挟む。


 「まぁな。つっても口にすると地味に長いんだよなこれ。いい感じに略せんものか。ケツリンとか。」



 「なんやソシャゲの名前みたいやなぁ。そないか雑魚敵の名前やあらへん?」


 「あー、言われれば確かに。お!ならケツポとかそうよ、可愛くね?」


 「ぽとかパとかつければかわいいって安直すぎでしょ。」


 嬉々としてふざけたことを宣う響にが呆れたように言葉を投げかける。が、当の本人はそんな忠告を聞き入れる様子はなく、そのしょうもない考えを続けていた。


 「ふむ、ケポツとかどうだ?いやなんかうボツみたいで引っかかるな。・・・・・・つんこ?」


 「つ◯く♂みたいにいうなや。本人に激しく迷惑だろ。」


 「うむむ、お、これいいじゃん。つにポメ。jkやらjc辺りから爆発的な人気を得て流行の最先端へ・・・」


 「ならねぇから。どんなに可愛い感じにしたって元が汚ねぇから色んな意味で。」


 「うるせぇなぁ。意見の一つも出さないくせに否定ばっかしやがってぶっ殺すぞ。」



 「そもそも意見を出す気がないんだよ!出したくもないし!」


 「まったく、そんなんだからモテないし彼女もできないんだぞお前ら。」


 「何をどうしたらそんな結論に至る!?」


 流石にこれには男三人半ギレ気味で悔いかかる。まぁ、男にとっては不名誉極まりない言葉だろう。それでムキになるのもそれはそれで情けないことに彼らは気づいていない。要するにどちらに転んでも惨めでかわいそうなお友達なのは変わらないと言うことだ。


 「何事にもアンテナを張って生活をする。そうすることによって・・・」


 「お前のは好奇心に任せて引っ掻き回してるだけだろうがっ!!」


 「大体そんな性格の霧村に彼女できないとかいわれたくないわ。お前に合わせられる女子とかどんな魔境からで這いずり出てきた代物だよ。」


 「好き勝手に言ってくれるじゃないの。つか彼女くらいいたわボケ。」


 「えっ」


 「「「「「「え〜」」」」」


 若干一名を除いて皆『いやあり得ないだろ』みたいな声を出す。

 そんな一同の反応がいにいらなかったのか響も口を尖らせる。

 

 「おうおうなんだその反応は。何が不服ってんだ。」


 「いやでも、え〜。いや、え〜。ありえねぇ〜。」


 「あ゛?喧嘩売ってんのか彼女いない歴=年齢の童貞共が。」


 「喧嘩売ってんのお前の方だろ!つか誰が彼女いない歴=年齢の童貞だ!」


 「ヒンツッ、俺の能力。」


 「!?いやいやいやそんなこともわかんのかよ悪魔かお前は!」


 「悪魔如きと一緒にすんなよ不名誉極まりない。」


 「如き!?ならなんだ魔王とでもいうつもりか!」


 「王程度で満足するような輩の気がしれねぇな。まぁ、所詮そいつらはその程度止まりなんだろうけど。」


 「中身が中身じゃなきゃカッコいいセリフなんだがな!」


 「うるせぇぞこの臑毛フェチが。」


 「待て待て待て、人に変な性癖を植え付けようとすんな!俺にそんな高度な属性はねぇ!!」


 突然理不尽に押し付けられた特殊性壁(偽)に声を荒げて全力で抗議する章太郎。本人はいつも通り呼吸をするかの如く虚言を垂れているが、言われた方は洒落にならない。というか下手すれば社会的に死ぬ。


 「隠さなくてもいいぞ?俺にはわかるんだからな。」


 「いやそんな・・・!お前わざと適当なこと言ってるだろ!」


 「さぁな。ただ俺がそこまでわかるという事実は確かなことだ。それだけで十分。今の発言が真実かどうかなんてどうでもいいんだよ。その可能性があるだけで十分なのだよ。」



 「ほんっと最悪だなお前!!」


 ほんと最低だ。



 「お、そうだ。せっかくだから(クッソ面白そうだし)お前らがいつ誰と迎えるかを見てやろう。」


 しかもそれを気にするまでもなく話を次に持っていくあたりがタチ悪いというかなんというか。



 「そこまでわかんの!?つかありがた迷惑だからやめてほしいんだが」


 「いやちょっと気にならなくもないが・・・。」


 「そうだろうそうだろう。よしじゃあまずは不動かから・・・まじか、初めてがニシローランドゴリラとはレベルがたけぇな。」


 「初っ端から人間ですらねぇ!」


 「いやでもゴリラと人間の遺伝子の差は1%とかだしアリなのか?」


 「ありじゃねぇよなしだわ!!俺は一体どんな趣味してんだ!!」


 「だって筋肉モリモリマッチョマンの変態野郎を見つけるといつも目で追ってるじゃねぇか。」


 「適当な言いがかりはやめろ!!って待て女子たちなんでそんな引いてるんだよ。どう考えたって霧村の出鱈目だろ!なんで間に受けてんだよ!!」


 「いや、でもねぇ。」


 「霧村くんがいうとさ、可能性が・・・、ね?」


 「クッソ一変死んでしまえ!!」


 圧倒的理不尽に地面を蹴りつける蓮太郎。しかしそんな姿をこそ求めていた響はまるで億万長者になったかのような満面の笑みでいる。


 「死ねと言われて死ぬほど簡単な世の中してませーん。」


 「小学生か。」


 「まぁまぁ、いやでも今の聞いたらやっぱ聴きたくなくなってきたというかこの話題早急に切り上げるべきなんじゃないかと思うわ。いやでもなにが飛び出してくるのか知りたい気もするし・・・。」


 「お?今度は青木か?あー、お前はあれだ、ノミのオスでいいや。」


 「もはや哺乳類でも異性ですらもない!?」


 「てかいいやって言ったよな!?やっぱりデタラメじゃねぇか!!」


 「何言ってるんだ。そりゃつまり実際には見てるんじゃなくて確定させてるって言う・・・。」


 「よし、、今すぐこいつぶっ殺すぞ!!こいつは生きてちゃダメなやつだ。主に俺らの将来的に!!」



 「は?お前ら如きが束になったところで勝てるわけねぇだろ寝言は寝て言うもんだぞママンにおそわらなっかのか?そりゃ可哀想に、一回やり直してきたらどうだ?そう、腹の中からな。」


 「なんで途中から洋画風?」


 「意味があると思うか?答えはない一択だ。」


 「うん、知ってた。」


 「あぁクッソコイツの口縫いつけた方がいいんじゃないのか冗談抜きで。つか章太郎お前ちゃんとこの嫌がらせ受けろよってか受けさせる。」


 「なぜに!?嫌だってのてか嫌がらないやつ余程のドM以外いねぇだろ!!」


 「「だってオレらだけとか不公平だし。」」


 「理由が想像以上に最低だなおい!!」


 「お、いいぞいいぞオレはそういう辛気臭いの大好きなんだ。よしよし、しっかりとオレが鑑定してや・・・ま、まじか・・・お前、あのマダム・ヘルズライダー・よしこが相手だと・・・。」


 「「「誰!?」」」


 「何、お前らマダム・ヘルズライダー・よしえを知らんのか。」


 「しらねぇよ。知るはずもねぇよ。というか何?悪役レスラーかなんか?」


 「ちげぇよ女優だよ女優。しかも主演女優賞取った大ベテランだぞ。つかマラえを知らん奴がいたのが驚きだわ。」


 「なんちゅう訳し方しとんねん。」


 「しょうがないなぁ、無知で愚鈍なお前らに俺がのなんたるかを教えてやろうじゃないか。」


 「いや、普通にいいんですけど。ありがた迷惑なんですけど。」


 「だが話す。マダム・ヘルズライダー・よしえ、御歳57歳の大ベテラン女優。」


 「ババアじゃねぇか。俺の相手ババアじゃねぇか。」


 「いや人間で女性なだけマシでしょ。」


 「腰はガ◯タンク、肩はテト◯オット、足はガオガ◯ザー、手首はヨ◯ック、胸はガンメ◯で髪は◯ディクト。腕がゴジュ◯ス・ジ・オーガ、そして頭にはレシュバ◯のモヤッとしたやつ。」


 「ただの合成ロボットやねそれ。しかもそないところわざわざレシュバ◯から取る必要あるん?」


 「なんだよ、レシュバ◯かっこいいだろレシュバ◯。」


 「それはわかりますけど、せやかてそない微妙なところ選ぶ意味ないんやないの?そもサ◯バディ多ない?」


 「私の趣味だ、いいだろう?」


 「そないなこと言うてまともにみはったロボアニメがス◯ドラだけやないの?」


 「それは微妙に違うな。正確には機体の名前をちゃんと覚えてるのがス◯ドラなだけだ。だから趣味。」


 「絶対こじつけだろ趣味の部分。」


 「うるせぇなあ。ケツにポン◯リング突っ込むぞ。」


 「理不尽。」


 「あ、すっかり忘れてた。大事な大事なご尊顔、それはアル◯バラン。」



 「そこはロボやないん?」


 「ほら、魂つながりで。」


 「えぇ・・・。そないなのありなん?」


 「ありよりのいまそがりだ。」


 「まーたわけわかんない造語作ってからに。」


 「お、まだ容姿についてしか話していないじゃないか。こっからは彼女の激動の人生について語るとしよう。」


 「え?なにこの茶番まだ続くの!?」」


 「彼女が生まれたのはケロ◯元年、鉄と火薬の匂いが蔓延り世界の3分の2を焼き尽くしたとされるかの大戦、平成◯合戦ぽんぽこの中その産声をあげたもうた。」


 「ヤベェよ、ボケが大渋滞を起こしてどこからつっこんでいいのかわかりゃしねぇよ。」


 「一文でよくここまでボケと矛盾を混ぜれるよな。ここまでいらねぇ才能もないだろうけど。」


 「対戦が終わるまでの三年間の間、彼女とその母親は地下へと身を隠すことで何を逃れ、大戦の生き残りの地位を手にすることになる。」


 「おい、これ思った以上に長いぞ。」


 「ようやく太平の世となり幸せな家庭を手に入れたと思ったのも束の間、母親が梅毒にかかり、よしえが7つの時に他界。」


 「おい、日本の話だよなこれ。」


 「幼くして親を亡くしたは生きてくために何でもした。スリに万引き、強奪に詐欺。ついでに大地はさけ空からは竹槍が降り千葉の毛根は絶滅した。」


 「いきなり話が幼稚になったなおい。しかもついでで済ませられる内容じゃないだろ。」


 「そしてお前は千葉に対するハゲネタ好きな。」


 「静かに聞いてなさいな全く。まぁともかくそうした過酷な幼少期は過ぎて行きやがては第二次成長期。まぁなんやかんやあって役者の道に進むことになる。」


 「投げやりだ!明らかそこいらへん考えるのめんどくさくなったでしょ!!」


 「違う違う。ここを話すには後一万文字ほど必要でな。流石にそこを徹頭徹尾話してると長いだろ?」


 「うそくさっ!しかもメタいって!!」


 「だってしょうがないじゃないか、パロとメタネタが好きなんだもの。んでぇ、話を戻すが役者となった彼女だが、最初はレポーターとしての仕事がおくてな、だが◯HKの連続テレビ小説で母親役を演じてからは一躍有名になり、某一家を舞台にした二十年以上も続くドラマの主演に抜擢されることになる。」


 「・・・ん?オイそれピ◯子だろ!!某ドラマってわたる世間は◯ばかりだろそれ!!」


 「そして流行語大賞にも選ばれた名台詞、『だってしょうがないじゃないか。』も大ブレイク。」


 「「「えな◯じゃねぇか!!!」」」


 「え・・・な、◯?誰だよそれ。」


 「すっとぼけんなよ絶対知ってるだろわかっててボケてるだろお前は。」


 「俺はそんな趣味がゴルフと無線みたいな名前の奴は知らん。」


 「しってんじゃねぇか!!まごうことなくわかってんじゃねぇか。寧ろ趣味まで把握してる時点で言い逃れできねぇよ。」


 「ちょっとなに言ってるかわかんないっすね。」


 「なめんな。」


 「まぁともかく、そうして一躍時の人となった。最近ではテレビの出演も控えてペットのミュミャリャツァオビュビュン◯ピュプリャプピフンドシンとともに余生を謳歌してると言う話だ。」


 「ペット校◯やないの。」


 「なんだよ、お前まさか七階建◯マン派かよ。」


 「そないでんじゃらす◯ーさんのキャラに思い入れはないんけど。」


 「・・・・・。」


 「どないしたん?」


 「ツッコミが、甘い。」


 「!?」


 「お前ボケる時はいいけどツッコミに回ると弱いよなぁ。」


 「!?」


 「つってもこの手のネタわかんの今お前しかいねぇし・・・。個人的にツッコミ任せんならがいいんだよなぁ。あいつは良いツッコミをする。次世代の新◯、もう一人の風間健◯だ。」


 「そ、そないぽっと出のぽっとやろうに・・・。」


 「いや俺らからするとお前の方が登場後だかんな。」


 「そんなことよりも私は霧村君の元カノさんの方が興味あるのですがっ!」


 「ん?あぁ、まぁ話すような内容じゃねぇよ。」


 「な、なんでですか!?」


 「めんどくせぇなぁったく。まぁ、そこまで意固地になることもねぇ・・・・・・。」


 「お、お客様!!」


 唐突に後方から特殊な二人称で呼ぶ声が聞こえ、反射的に振り返る。

 そこには何故か木塀に手をついて息を切らしたういがおり、潔白した表情を顔に写していた。


 「ん?おい、どうしたこんな時間に。生娘が一人で歩くような時間でも場所でもないだろ。」


 「生娘って。」


 「や、やっと・・・み、見つけ。」


 「?なんか用でもあったのか?つかよくここがわかったな。つか聞き取りにくいから落ち着け。」



 そう言って水を渡す。

 渡された水を口に運び、ひとしきり取り込んで息を整えた後、会話を再開する。


 「あ、ありがとうございます。い、いやこんなことしてる場合じゃ!」」


 「何、そない火急の用なん?」


 「む、紫、が、攫らわれっ。」


 「あ゛?経緯は?」


 「閉店した後の、片付けの時間帯に、あ、あの。最近よく来ていた男性の集団の人たちが来て・・・・・。」


 「それで攫って行ったと・・・。なるへそ下見に来てたわけだ。」


 「は、はい。最初から人さらいが狙いだったみたいで店のお金にも手を付けずに・・・。数も数ですし相手は粗暴な男ばかりふぁったので、私が助けに入るよりも隠れて皆さんを呼んだ方がよいかと。」


 「丸い判断だな。これであんたまで捕まったらそれこそどうしようもない。大将とおやっさんはどうした?」


 「二人とも店外での仕事があってそちらに。」


 「なら無事か・・・・・。ん?あーそう来たかぁ。」


 「!!前言ってた残党か?」


 「まぁ、そうなんじゃね知らんけど。俺ら相手なら問題ないと高を括っていたが、そう来たか、存外頭まわるじゃないのさ。」


 「どうします?」


 「ま、元がオレらのせいだしケツ持ちも出来ねぇのはダセェよな。」


 



 

            ♢


 薄暗く人気のない夜道を、光陰の如く駆ける。


 「ったく、してやられたってか俺が軽く考えすぎてたわ。俺らを直接襲ったって結果はしれてる。まぁ、そも俺らに不意打ちとはいえ勝てる自信があるならコソ泥なんかやっちゃいねぇわな。」


 「だからって無関係の人拐うかよ。」


 「俺は気に入ったがね。合理性で考えりゃ中々に良い行動じゃんか。倫理観抜きでそう言った動きができるってのは有能だろ。まぁ、盗っ人に倫理観求めんのも謎な話だけど。」


 「お前なぁ。紫さんが捕まってるんだぞ。そんなこと言ってる・・・。」


 それに対しての言葉が、


 「俺がいる時点でなにも問題はないだろ。」


 だった。己の力を信じて疑わない傲慢ぶりも、ここまでくるといっそ清々しい。


 「・・・さすが。」


 「でももう手遅れってことは・・・。」


 「生きてることはさっき確認してある。ついでに野郎どもの数もだ。総数十二、なかなか揃ってるじゃねぇの。ま、数そろってるからってなんだって話だが。」


 「今生きてるとしてこれから殺されないという心配は?それに生きていたとして無事だという保証も・・・。」


 「ついさっきまで移動していた。だから何かされたってことはない。それに殺す予定があったとして動くというのであればまず最初に殺すはずだ。生きたまま運ぶってのはなかなか骨が折れるからな。それをしてないってことはこいつらに殺す意思がないってことだ。」


 「それでも、急ぐことに越したことはないんじゃ?」


 「そこもノープログレム、ほらもう着いた。」


 そこは、一基の大橋の上だった。そのおよそ中央部分に、騒ぎ立てる集団がある。

 数は先程響が口にしたのと同じ12人とその中央で紫が縛られ猿轡をかまされた。

 

 「おーおーやってるやってやがる。まぁ俺らが追いつけないわけもねぇがとりあえずあれだ。御用改である神妙にお縄につきやがれ。それか死ねってかどちらにせよ死ね。」


 「なぜそう息を吐くように嘘を付くかなお前は。」


 「うるせぇケツにポン◯リングつっこむぞ。」


 「もういいわそれは!!」


 本来なら緊迫した状況だというのに、緊張感のかけらもないやり取りを繰り広げる。まぁ実際の所緊張感を親の腹の中にでも置いてきたのは若干一名だけなのだが、場の雰囲気を壊していることに変わりはない。


 「お?誰だお前ら。こっちは忙しいんだよ。」


 「あ、こいつらあれですよ。この娘のいた店で最近よく屯ってる。すげぇ騒がせ者って噂の。」


 「あぁ、そういやそんな奴らがいるって話だったな。行きつけの店の看板娘を助けに来たってか。泣けるねぇ

、無意味だってのに。」


 男どもの中の一人、おそらく主格であろう男は馬鹿にしたような言葉を口にする。

 もちろん格下相手にそんなことを言われて響が黙っているはずもない。


 「あ゛?なにほざいてんだテメェ。寝言は寝ていうもんだって田舎のママンに教わらなかったのか?それなら今ここで覚えとけよ残りわずかな余生を楽しむ助けになるぞ。」


 「いや罵倒だけで本題言ってないから。」


 「お、そういやそうだ。お前らその娘使って俺らに復讐に来たんだろ?」


 「はぁ?なんで俺らが見ず知らずのお前らに復讐せにゃならんのだ。意味がわからん。」


 「は?じゃぁなんで・・・。」


 「決まってる。姫様人質にとって大山あてよ!ほんとは帝の方もかっさらう予定だったがいないものはしょうがねぇ。こいつ一人でも十分に人質として機能するしなぁ!」


 「は?」


 思い出すのは、彼女本人から聞かされた言葉。


 そして数秒のラグののち、全員が声を合わせて叫ぶ。


 「「「「「「・・・・・・そっちかぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!」」」」」


 「伏線そっちかよ!え?なにこのニャル◯さん的展開。聞いてないし望んでもないんですけどぉ!」


 「いやでもあー、だからあんな反応を。いやでもえー、えー。」


  「いきなり出てきたと思ったらなんなんだよこいつら。ま、まぁともかくだ。邪魔するってんなら容赦端ねぇぜ。いや、顔も現場も見られてんだ、生きて返すわけにはいかねぇなぁ。」


 「・・・よくそんな三下臭いセリフ吐けるよな。はぁ、もういいや、残党じゃねぇってんだったらぶっちゃけどうでもいいし今回は見逃してやらんこともないこともないこともないから置いて帰れ帰れ。」


 「餓鬼が生意気言ってんじゃねぇぞ!!許しを乞うのはお前らの方なんだよ!まぁ、誤ったところで死ぬのは確定してるがなぁ!!」


 ガハハハハと声を上げて笑う男たち。その様子に頭を抱えながらなんだかなぁと落胆する響。その指が微かに動く。


 途端、男たちの首と身体とは離れ離れ。落ちる(こうべ)はぐしゃりと音を立てて木板に染みを作る。


 「はぁ、ったくしょうもねぇ。ほれ、回収して帰るぞ。なんか色々疲れたわ。」


 「いやその紫ちゃん気絶してるんだけど。」


 の言葉通り、紫は泡を吹いて完全に気を失っていた。しかも


 「む、無理もない。め、目の前で中何人ものく、首が跳ねたらい、一般人はそうなる・・・。」


 つまりこれを見ても特に何も思わない一同は一般人の垣根をかなぐり捨てた変人の部類に入るというわけだ。いつの間にかそこまで落ちていたことに章太郎が、肩を落としてうなだれる。


 「・・・俺らも霧村に毒されてきたのか。はぁ、最悪だわ。」


 「オイせめて嫌とかにしろよ最悪とか失礼とは思わんのかお前ら。ったく、そいやここいらはまだ来たことなかったな。」


 『真逆の方からローラーしてるからしょうがないし調べるのももっと後になるんじゃない。』


 「あー、ついでだから少しここら見ていくか。」


 「いや紫さん届けろよ。」


 「大丈夫だって無事に確保してるし配達時間が伸びたって影響ねぇよ。」


 「荷物じゃねぇんだから言い方考えろや。」


 「・・・ねぇ、このまま探してもし当たり引いたら巻き込むんじゃないのかな?」


 「・・・・・・、さて探索するとしますか。」


 いおりの言葉に数秒固まる響だったが、不意に紫に手を当ててる。すると一瞬で彼女の姿は消え、仕切り直したかのように響が声を上げた。


 「お、お前マジで配達しやがったな!?」


 「うむ、どっから散策するか。急遽来たからここいらの目的地頭に入れてねぇし地図出すのめんどくせぇし・・・。」


 「無視すんなや!!」


 「まぁいいや適当に見てくか。個人的にこの橋も気になるしな。」


 「何が気になるんですの?」


 「いや明らかに街の景観にあってねぇんだよ。」


 響の言う通り、木造の茶色ばかりが並ぶ街中にただ一つだけ朱色鮮やかな太鼓橋があるというのは不思議な話だ。ここにくる途中も、いつもの行動範囲内の橋も全て質素な木橋だったのにだ。


 「お、ここに出来た年が出てるぞ。えーと確かこの歴だと・・・千年前!?」


 「は?待て待て待て。そりゃおかしいだろ。昨日できましたって言われても納得いくレベルの保持状態だぞ。あり得ねえだろ。」


 「いやだってそう書いてあるし・・・お、名前あった。えーっと・・・・・・なあ霧村。」


 「なんだよ。」


 「あのやべー奴らって、オレらの世界でも同一同名の似たような奴がいたんだよな。」


 「まぁそうだな。」


 「・・・じゃあヤベェわ。」



 そう言われて訝しみ、蓮太郎の元に向かう。目に入ってきたのは朱色の支柱に彫られた名前、見覚えのある、そして嫌な予感しかしないその名前。固唾をのむその音が、嫌にその不安を掻き立てる。


 「『一条橋』・・・・・・」


 「騒がしいのは終わったかしら?余興にしてはつまらなかったわね。」


 空気が、変わった。

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