事件は現場で起きてるんじゃなくて事件が起きたから現場
まず、この事件から真先に手を引いたのはリコリスとベロニカの二人だった。ベロニカは武器やら薬の開発で忙しいし、リコリスは本人曰く
「過去なんて魔法で見れば一発なのに態々頭を使う意味がわかりませんわ。」
とのことだった。どうやらいつの間にか過古視の魔法を開発してたらしい。しかも今ベロニカと共同で未来視と千里眼を開発しているとのことだった。その話を聞いていおりが「私の意味って・・・」と戦慄したのは言うまでもないだろう。そしてその他も観光を楽しんだりリイドの家に戻って寛いだりしている。
結局、この件に本格的に加わることになったのは響、大我、辿、ありす、杏、ソフィアの六人だ。
響大我は言わずもがな、そこに野次馬三人と響が「必要になるからついてこい」といってソフィアを無理やりに連れて来た次第である。
「や、やっぱり着物ってう、動きにくい。」
「文句ういうな。この街でずっと洋服とか目立つでしょーが。変に警戒されても困るだろ。」
それはそもそもこのメンバーの時点で十分目立つのではと思うソフィア。思うもののここで反論したら面倒くさいことになるのは目に見えているのでやめておくことにした模様。
一行は今、まだ保存されてそのままに残っている現場に捜索に向かっているところだった。ちなみにさっき言ってた通り全員着替えて着物姿だったりもする。
「ウチはこっちの方が楽やけどなぁ。普段着やったし。」
「なんていうか、見た目通りですね。」
「・・・・・・っは!?」
「どうしたんだい?」
「背中に桜の刺青でも・・・」
「やめい。せめてじっちゃんの名にかけてぐらいにしなさいよ。」
「いいけどそれだと俺らのうち何人か死ぬぞ。コ◯ンより慈悲ねぇからなあれ。」
「そないならウチは『桃から生まれた・・・』でも・・・」
「もはやただの時代劇じゃん・・・。」
最初に着いたのは、この前響たちがいた時に起きた事件の一つ前、ここら一の油屋だった。被害はおよそ千両箱三つ分、それとここの女将と奉公人が四人ほど殺されてた。
暖簾を潜り、店の中に入る。事件があったのは二週間ほど前とのことだったが、それでも未だ店内には鼻をつく血の匂いがこびり付いていた。いわく、発見された死体、特に若女将のものはそれは惨たらしい状態だったという。
「・・・えぐいな。血の匂いもそうだが、残留思念もかなりやばい。坊主呼ばなきゃ人が住むのにはきちぃぞ。」
「残留思念・・・霧村は見えるのか。」
「まぁ、見えるようになったてのが正しいがな。俺じゃぁ供養はできんからそれまでだよ。寺生まれでもイニシャルにTもついてねぇしな。」
邪気や怨念を視認できるようになったのはfantazmaのおかげである。といっても響も言ってる通り見えるだけでそれから先は何もできない。『盃』で切り払えば消せるかもしれないが、流石にそこまでする気にはならないらしいし、それで良しとも思っていない。
「あまり長居はしたくはないですね・・・早くはじめてしまいましょうか。」
「そうだね、ただし基本的にはモノに触れないこと。もしどかしたいならば、小さなシミから糸くずまで覚えてもらうしかない。カメラがあればいいんだけど・・・。」
「ほれ、ベロニカ印のデジカメさんだ。あいつのことだからぜってー無駄で意味不明な機能ついてるだろうけど。」
そう言って、カメラを投げてよこす響。デジカメを投げて渡すなど本来あるまじき行為なので真似しないように。どうやらこのカメラ2、3年前にベロニカが自作したモノらしく、来る前に渡されたようだ。といっても作った人物が人物なので受け取った響もあまりいい顔はしなかったのだが。
「シャッター押したらビームとかでそうやなぁ。」
「ビ、ビームよりもコンソメスープとかそう言った^ま、まったく関係ないもの出てきそう・・・。」
「撮ったものの魂まで見たいな機能もついてそうですよね。よく言われてるやつ。」
「・・・今度富竹フ◯ッシュできるやつ作ってもらおうかな。」
「あ、それならウチも欲しいなぁ。」
「あたしも。でもひ◯らしネタは古くない?」
「古くてもいいだろ。むしろ古いのがいい。」
「懐古厨?」
「ちげーよボケてんだ。」
まず最初に入ったのは女将の死体があったという商品倉庫だ。松之助曰く、在庫確認の最中に覆われたようで、書きかけの帳簿が近くで見つかっているらしい。
「死体があったのはここだな。まぁ、この感じだと在庫確認中ってのは間違いなさそうだが・・・。」
「・・・死因は?」
「首を千枚通しかその辺りの鋭利なっもので一突き。声も出せなくなるし妥当っちゃ妥当だな。それと、その前か後かは知らんがずいぶん楽しんでたみたいだぜ。」
「でしたら・・・その・・・体液的なものから特定できたりは・・・。」
「できりゃ奴さんも態々残しとかねぇだろうよ。裏社会にゃ軽く混ぜるだけで遺伝子情報を変えられる薬ってのがあるらしいから調べたところで無駄なんだとよ。まぁ、その変化した元を辿れる天才さまもいるだろうが、そう都合よくこの街にいるわけゃねぇしな。」
「べ、ベロニカに頼めば・・・?」
「ここの情報もらった時に聞いたがキモいからイヤだとさ。」
イヤだと言われたからには仕方がない。
「ただ、にしても無用心だ。困難とはいえ探し出そうとすれば探せる証拠を態々残しておく必要はないはず・・・。」
「そうなると、捕まらない絶対自信があるのか・・・。」
「もしくは、捕まってもいいと思っているのか、だね。」
「?捕まっても逃げられるという事で?」
「そないならもっととっくの昔にお縄について顔も割れてはりますなぁ。」
「じゃ、じゃぁどうして・・・・・・」
女子組がそれなりの時間頭を捻らせていると、先ほどから作業をしている響から喝の声が入った。
「オラ、突っ立ってないで動けや。んなもん並列して考えるかできなきゃ後に回せ。タイムイズマネー!」
「といってももう終わりだけどね。」
どうやら四人が頭を捻らせているうちにこの部屋の調査は終わってしまったらしい。二人は女子たちが悩んでいた問題を、言葉どおり調査と並列して行ったのか、後回しにしたのか。いや、もしかしたら結論をすでに出していて、なんて可能性もある。
ともかく、一行は部屋を後にして続く第二、第三、第四の事件現場(2人は廊下、一人は客間らしき所)に赴き、調査。しかしこれといって不審な点は見当たらず、五人目の犠牲者がいた家の奥地にある廃棄された油の保管部屋へときた。
「ひどいですね、これ・・・・・・。」
「流石に中身入ってるのには手をつけてないみたいだけど、空樽は全部壊されてるようだね。」
「態々こんなことする意味ある?他の部屋もずいぶん荒れてたけど時間も労力もかかるのにここまでする意味ないんじゃ・・・」
「生き残りがいないかさがし回ってたんだろ。もし誰か一人でも隠れてりゃそこから足がつくからな。」
「ここの被害者は物音もしくは目撃して事態を把握。急いで空樽に隠れていたけれど結局見つかって・・・て感じかな。」
「この荒らされ具合だと、鉢合わせにでもなったかね。それ逃げて隠れたけど残念無念で仏さんになちまった。・・・他の部屋荒らしたのはその後の可能性もあるな。」
「・・・こ、ここ探すの?」
「いや、やめておこう。ここまで荒らされると証拠品を探し出すののは難しい。そもそも欲しかった情報は確認できたからね。」
「だな。」
大我の言葉に響も肯く。
「欲しかった情報って?」
「種明かしは最後だ。それが探偵のマナーでもあるしね。」
「しょゆこと。そっちのがおもしれぇだろ?逐一明かす探偵なんて見たことあるか?」
「まぁ、そないやないとおもしろうあらへんからなぁ。せやけどあまり何もいいひんのもあきませんとちゃう?」
「うーむ、一理あるな。じゃぁ、ネクスト響ズヒント!・・・・・・何が良い?」
パッと思いつかなかったのか、大我に問いかける。
「俺に聞くのね・・・まぁ・・・屋敷でいいんじゃないかな?」
「おーけー、ネクスト響ズ’ヒント!屋敷!」
「あ、もう一回やるのね。」




