人の悪性は蛇を呼ぶ
「おい、こいつどうしたんださっきから。」
「あぁ、不貞腐れてんだよボロ負けして。」
場所は某食事処、偶然来ていたの言葉通り、響は店の机に突っ伏して不貞腐れていた。理由は先程連太郎が言った通りである。その理由も合わさってあまりにもその姿は惨めだった。
「事情はよくわからないが、あんなに大口叩いて自信満々だったのに随分とあっけないじゃないか?ん?」
「うるせぇハゲ猿。ありゃあいつがおかしいだけだ。お前らなんぞ1秒もあれば七億回は殺せるぞ。」
「ハゲじゃないだろ!?僕の髪はふっさふさだぞ!」
「今はな。」
「何を不吉な事言ってるんだ君は!?そんな未来は今後一切ない!!」
「何言ってんだよ歌舞伎役者なんて大方皆ハゲてんじゃねぇか。海老◯とか海老◯とか海老◯とか。」
「海老◯だけじゃないか!!だいたいあの人だってハゲてるんじゃ無くてスキンヘッドなだけだろう!?海老◯にも他の歌舞伎役者にも謝れ!!」
「お前普段頭おかしいくせにお家柄のことには真面目なんだなウケるわ。」
「ウケなくていいし頭おかしいとか君には言われたくないよ・・・。家業は僕の誇りだ、すき勝手に汚されては困る。」
「へー。あっ、じゃぁあ、その誇りのぉ、ちょっと折れるとこ見てみたい!!それそれ!!」
憎ったらしい下卑た笑みを浮かべ、手を叩きながらはやし立てる屑一匹のなんとうざったらしいことか。その場のほとんどの人物が額に手を当てて頭を痛めていた。
「どんだけこいつの性格ねじ曲がってんだよ。ホスト風にすげぇ下衆発言してんだけど・・・」
「ほ、ほんと迷惑。い、一回くらい痛い目に見て改めればいいいのに・・・」
「それは無理でしょうね。バカは死んでもなんとやらと言いますし。」
と、その会話が聞こえていたのか響が言い返す。
「バカと天才は紙一重って言葉を知ってるか?」
ベロニカの眼鏡が光る。
「それはどういう意味ですが?私がバカだとでも?」
「べっつにぃ、誰とも言ってねーしぃ。あでもぉ、自覚があるんならそうなんじゃないんですかぁ⤴︎」
珍しいところで一触即発状態だった。不貞腐れてあたり構わず噛み付くと見るが迷惑な話だ。そしていつもこの役目をしているリコリスはことの様子を静かに見守っていた。そして一頻り静かになったところでようやく口を開く。
「その様子なら、もう大丈夫そうですわね。」
「はっ、たりめーだろ。どんだけ俺の心が脆いとおもってんだ心はガラスなんぞでできてねーよ。お前に負ける方がよっぽど屈辱的だわ。」
「そこまで軽口が捌けるなら心配要りませんわね、また騒がしくなりますわ。」
「暗くてジメジメしてるよか百倍マシだろ。」
「あら、貴方にしてはいいこといますわね。」
そう言ってはもうそれきりだった。いつもならこの後言い合いが続いて厄介千万なことになるのだが、今回は双方ともにそんな気はないらしく穏便にすんだようだ。
「それにしても屠さん強かったよね。いや強いってレベルじゃなかったけど。」
「私たちにはほとんんど何も見えなかったけれどな。でも、彼女に勝てなきゃ先に進めないんだろう。勝てるのか?」
「まぁ、剣術に関しては10000%(パー)無理だろうな。仮に4000年くらい剣術に打ち込み続ければわからないが、残念ながら俺は不老不死じゃないんでね。」
『じゃぁなんでもありなら?』
「それならいけるさ。元々俺の得手は手数の多さだっての。まぁ、それだって今の状態じゃ及ばないだろうけどな。」
「ようはその手数を増やさなきゃってことだな。」
「それと一つ一つの精度も上げにゃ意味ねぇよ。手数ったってダンボールじゃ鋼は穿てねぇだろ。」
尺だが、あの巫女の言う通りにするしかないと言うことだ。他人の言うことを素直に聞くようなタイプではない響からすれば屈辱だろうが、しかし負けたのは事実。それを鑑みることなく何度も突っ込むほど馬鹿でもないし恥知らずでもない、そのけじめをつけられないほど響も子供じゃない。
「・・・・・・今更ながら何の話してるの?」
「気にしのうてええで。あんさんらには関係のない話やさかい。」
「そう言われると気になるのが人間の性だとは思うが?」
「・・・よし、それじゃぁこいつらをおきさってそのまま突き落とす感じで響先生の余裕講座といこうじゃないか。」
「・・・?(勉強するの?ノート忘れちゃった。誰か化してくれないかな?)」
一人マジモンの阿保が見当違いなことを考えていたが、そんなものは気にしないし気付きもせず響達は話を進めていく。
「屠さんが言っっていたザッハーク、ですね。響さんは随分と驚いていた様子でしたけど・・・」
「そりゃ出自場所がかけ離れてるからな。中東の王様だぞザッハーク。帝国に崇徳院いた時点でおかしいけど。いや、こっちが基準だから俺らの世界がおかしいのか?でもバリ漢字と横文字だし・・・」
「ま、まぁそれは後でもいいんじゃないか?今大事なのはそいつがどんなやつかだろ?」
「そうだな。それは時間のある時にでも考えておくことにして、と。さて、この中でザッハークについて知ってるやつは?」
そう言ってまず最初に手をあげたのは辿。続いて杏が名前だけならと言って手をあげる。お前らこのまま話聞くつもりかよと眉を歪ませる響だったが追っ払うのもめんどうなのでそのままにすることにした。
そして最後、意外にも手をあげたのはソロモンだった。
「へぇ、お前が知ってるってことはこっちの世界の伝承ってことか。」
「そうなるわね。」
「そいつはありがてぇな。俺もさすがにいこっちの世界の事情まではしらねぇし。」
「期待されてもそこまで覚えてるわけじゃないわ。昔ママに聞いただけだもの。」
「それで十分。ま、先に俺が説明した方がいいだろうな。ザッハークはペルシアの叙事詩『王書』にでくる両肩に蛇を生やした王の名前だ。一万頭の馬を保有していたことから『一万』、の異名でも呼ばれていて、その生涯のほとんどを馬上で過ごしたと言われる程権力に貪欲な人物だったらしい。」
「何で馬の上で過ごすのが権力とつながるんだ?」
「それだけ戦争や侵略ばかりしていたってことでしょうか。」
「まぁそううこった。こいつに関係あるのが第4節と第5節。アラビアのとある国にマルダースって言う王様がいた。彼は良き王として民草の信頼も厚かったんだが、息子がちょいと問題でな。腕っ節は立つが何文軽忽なやつだったわけよ。話の流れでわかると思うがこいつが今回の題材ザッハークだ。」
「ある時、彼の元にイブリース、十字教で言うサタンだな、こいつが近づいて唆した。父マルダースを殺してその玉座にお前が座れってな。もちろん最初は拒んださ、いくら権力を求めてたとはいえ肉親を殺すような真似をするほどバカでもなかった。だが、黄金の果実を食したイブしかり悪魔の誘惑っていうのは人間には争いがたいものらしくてな、結局最終的にはマルーダスを落とし穴に落として殺してしまった。」
「さて、王となったザッハークの給士に一人有能な奴がいた。そいつは今まで人が食わなかったような動物の肉も見事に調理して見せ毎日かぶることのない献立で王を喜ばせた。そいつが給士について四日目、王は褒美を取らせると言って呼び出した。そして給士が望んだのはザッハークの両肩への口付け。しかし、その望みを叶えた途端給士の姿は煙のように消え、代わりにザッハークの両肩から二匹の黒い蛇が生え現れる。そう、その給士の正体はかつて彼をお唆したイブリースだったってわけだ。」
「それで、だ。その蛇ってのがいくら切っても切っても何度も生えてくるは、国中のあらゆる医者でもどうにも出来ないってわけで困った代物だった。んで、そこでまたイブリースが今度は医者に変身して毎日二人の若者の脳を食わせてればそのうち死んで生えてこなくなるって助言をした。流石に怪しいとザッハークも疑ったけれど、残念ながら解決の糸口はそれしかなかった。」
話に一区切りがつき、続いて中盤に差し掛かる。
「その頃、隣国のイランの王シャムシードはその圧政から民に離反され、国民はザッハークに助けを求めた。まあその後色々戦争とか百年ぐらいあって中国あたりの海岸でシャムシードは死亡、その七百年の栄華に幕を閉じる。」
「!?まってなんか単位おかしくない!?百年とか七百年とか。」
「神話や叙事詩にそこいら求めるなよ。そういうモンだと認識してりゃいいんだよそれで。でだ、ザッハークはイランを手に入れたわけだけど残念、民草からの評判はよろしくなかったんだよねこれが。」
「助けを求めたイランの人たちは知らなかったでしょうが、ザッハークは毎日若者の命を二つ摘まなければならなかった。それでは民衆の不満を買うのは必然ですね。」
「しょゆこと。それに加えてシャムシードの王女二人、シャフルナーズとアルワナーズを娶った。まぁこっちはよくあることではあるけどな。ちなみにそんな時代が千年も続いたわけだ。途中から蛇屋の餌作りの男二人が人の脳じゃなくて家畜の脳にすり替えて選ばれた若者を逃して、逃れた子孫がクルドになった・・・ってこりゃ関係ねぇな。」
「へぇ、なんか眠り姫みたいな話だね。ご飯作る人がいい人で難を逃れるって。」
「ほぉ、ふむ。そういう考え方もあるわけか。言われてみりゃそうだな。その手の話は各地にあるわけだしもしや・・・」
「そんなの後で考えてくださいまし。それより話の続きですわ。」
顎に手を当てて考え込み出した響をリコリスが嗜める。若干不満そうな顔をあらわにし、渋々話は続く。
「しゃーねぇなぁ。ある時、ザッハークはフェリドゥーンってやつが自分に引導を渡すって夢を見る、当然そんなことを許す理由は皆無なわけで、彼は国中にフェリドゥーンを探してとらえるように名を下した。そんでちょいと立ってフェリドゥーンの父が捕らえられて処刑。幼いフェリドゥーンに母乳を与えてた雌牛も周りの動物ごと惨殺。なんとか逃げおおせたフェリドゥーンは、成長してことの一端を母から聞かされ復讐を決意。んで王に多くの子供を殺された鍛冶屋のガーヴェっておっさんが反逆を決意して人を集めて英雄様の仲間に加わった。」
「で、いざ突撃したわけなんだが運がいいんだか悪いんだかちょうど王は遠征中で不在。そのかわり王女二人は救出できた。それから遠征先で事態を聞き大急ぎで戻ってきたザッハークだったが国民は皆フェリドゥーンの味方。しかも王女たちも英雄様に惚れてるときたからもう大激怒。嫉妬やらなんやら黒い感情を煮えたぎらせて一騎討ちに臨んだザッハークは鍛冶屋のおっさんが作った牛頭の矛の前に残念無念と敗れたってわけだ。」
「さて、王の処刑となったわけだけれど、ここでスラオシャって天使が出てきて『今はその時ではない』とかなんとか制止。その後ダマーヴァンド山って言うアジア最高峰の山のちかくのシールハーンってとこで殺ろうとしたんだがまたスラオシャが遮って、結局スラオシャの助言に従ってダマーヴェンド山で心臓から絶えることなく血が滴り落ちる状態で幽閉されてめでたしめでたし、お後がよろしいようでこれにておしまいだ。」
そう言って柏手を叩き話を締める。なかなかに長い話だったがアホ一人を除いて最後まで聞いて理解したようだった。とはいえ話の全容を知らない蘭丸たちはへぇそうなんだとトリビ◯的感想を持つばかり。その情報が大事な武器になるリコリスや章太郎達とは温度差が凄い。特に杏に関しては某アト◯スゲームの話なんかが飛び出す始末。
「へぇ、スラオシャってゾロアスターの天使だったんだ。正義コミュって天使ばっかだったもんね。」
「誰もペ◯ソナの話はしてねぇよ。」
「なんかかわいそうだなそいつ。だってそのイブリースって悪魔に騙されてそうなったんだろ?」
「さぁなぁ。そもそも悪魔の甘言に堕ちた時点で悪って時代だからそうでもねぇんじゃねぇの。実際耐えきりゃ良かったわけだし。運が悪っかったとしか言いようがねぇな。」
「そうは言ってもなぁ。」
「やめとけ。同情は上のもんが底辺に対して感じる感情だ。される側からしたら侮辱以外の何者でもねぇ。部外者の俺たちはただそう言うことがあったと記憶しておくだけで十分なんだよ。」
「そうか、そうだな。俺たちにそのことをとやかく言う権利はねぇか。」
「わーたらそのしみったれた顔すんのやめろ飯が不味くなる。それよりもこっちだとどうなってんのかが知りテェんだが。」
そう言ってソロモンの方を向く響。
「話の流れはだいたい同じだから違うところだけいうわね。まず、父を殺したのは悪魔、正確には蛇の形をした何かとしか言ってなかったけれど。それで、ザッハークには双子の兄がいて蛇にその兄が父を殺したと嘘を入れ込まれて処刑してしまう。それで王についた彼に蛇が化けた新しい給士がつくのは同じ。でも、彼は父親の死の真相を明かして絶望に打ちひしがれているザッハークの両肩を噛んで消えた。後はほとんど同じね。あ、でも隣国も統治して少ししたら老人に化けた蛇が「ザッハークは前王である父を殺しその罪を兄になすりつけて玉座を手に入れた卑劣者」って噂を街に流したって話もあったかな。」
「へぇ、こりゃまた随分とひどい。それで幽閉されたのがダマーヴァンド山じゃなくてあの神社ってわけか。」
「そこはちょっと。どこか辺境の地に未来永劫幽閉される運命になりましたって終わってるから。」
「そりゃそんな人物を幽閉してる場所を伝えるわきゃねえか。」
たしかにもしそんなことをすれば付近に住む人は大きな不安に悩まされるだろうし、物好きが集まったり馬鹿な輩が封印を解いてしまうこともあるわけで場所の記述まで残すメリットは皆無、むしろデメリットしかない。
と、ここで今まで響の話に口を挟まなかった辿が響に声をかける。
「なぁ響はん、ザッハークのこと説明しはりますならアジ・ダハーカのことも話さなあかんとちゃいます?」
「あー、そうだなぁ。」
「そっちはなんか聞いたことあるぞ。なんんかのゲームかな。」
アジ・ダハーカという言葉に章太郎が反応する。ちらほらとその言葉にうんうんとうなずく者もいた。
「まぁこっちはコッチのが有名だしな。簡単に言うとザッハークの原点、拝火教以前の古代ペルシャ神話から存在する怪物だ。三つ首を持ったドラゴンでな、インド神話のヴリトラと同一視する見方もある。その体内には毒虫やら蜥蜴や蛇やらがぎゅうぎゅうに詰まっていて切るとその傷口から溢れてくる。アンリマユの手下でアフラ・マズダーと敵対するものの一つ、その中でも最上位クラスのやつだ。最終的にダマーヴァンド山に幽閉されて終末の日に解き放たれ世界の三分の一を喰らうとか言われてる。んでザッハークは終末の日にアジ・ダハーカになるって言われてたりもする。」
ちなみに殺されず幽閉になったのは切っても害虫が溢れてくるだからだったりする。また、特に火の神であるアータルと激しく戦ったとされており、光輪を巡る争いは有名。そして来たる日、ペルシア最大の英雄ガルシャースプに倒されるとされている。
「世界の三分の一か・・・。とんでもねぇな。」
「そうでもねぇさ。それくらい俺だって鼻ほじりながらでもできる。」
「終結の炎ですね。」
「んなもんなくたって世界の十や二十は余裕だ。多分世界の三分の一ってのも同じなら、俺らんとことかも含めた全世界の三分の一ってことだろうな。」
「ほぼ制限無く存在する無限に近い数の三分の一ですか。それは少々まずいですね、私たちでも現状炎を使わないとそんなことはできませんし・・・」
「王、その名に恥じないだけの力はあるってことですわね。悔しいですけれど今のままでは勝てそうにありませんわ。」
「つっても勝手な憶測だ。それ以下って可能性も十分にある。ま、それ以上って可能性も十二分にあるがな。」
「そうか、それで何か策はあるのか?」
「ねぇよ、あのなぁ、次あれに挑むのがいつになると思ってんだ。そん時にゃ出来ることも増えてんだぞ。今と違う状態なのに今考えてどうすんだ。」
「じゃぁとりあえず保留と言うことで、もう一つの方を探すのですね。霧村君、あては?」
「ビヨンから貰ってる。つっても数が多い、さすがに二十もあるとは思わなんだ。」
そう言ってそれが書かれている紙をとりだしひらひらと見せる。
「に、二十ってどれだけかかるの?い、一二ヶ月くらいじゃ足りないでしょ。こ、この都市意外にもあるだろうし。」
「焦る必要はないさ。根気詰めて探した状態で見つけ出しても万全じゃねぇだろ。それでおっちんだら元も子もないしな。長居させてもらおうぜ。」
それには皆賛成だった。特にあの規格外の王の戦闘を見た後で一皆もっと鍛えねばと思っていたことも大きく関係しているのだろう。
ちなみに蘭丸たち五人は完全に蚊帳の外でなんのこっちゃと言う感じだった。ただ一人、大我だけは何か考えている様子だった。おそらく今までの響たちの話や行動状況を加味して頭を働かせているのだろう。この前響は彼にだけは話しておこうかと言っていたが、もしかしたらその必要は無く一人でたどり着くやもしれない。
「ちょっといいか兄ちゃんたち。」
唐突に、声をかける人物がいた。
「あ?」
それは三十代前後の男で、十九人の集まりから少し離れたところで焼き魚を肴に一杯やっていた。昼間から酒とはろくな大人な気がしない。
「なに、少し話が聞こえてきたもんだからね。悪いことは言わない。この街に長居するのはよしたほうがいい。」
「昼間から飲んだくれてるオッサンには言われたくねぇなぁ。しかも理由も言わずときたもんだ。それで人が忠告に従うわきゃねぇだろ。」
「そりゃそうだ。こりゃ失敬。あんたらみたところ旅のもんだろ?なにが目的かはしらねぇがこの街はアンタらが思ってるよりずっと物騒だぜ。」
「あら、連続殺人鬼でも出ますの?」
「あながち間違いじゃねえな。・・・野良犬小僧、巷を騒がしている盗人さ。役40年間にわたりsっけんを騒がしている大悪党・・・。そして。」
話の途中、騒がしい客が店の中に入ってきて男の姿を確認するなり大きな声を上げる。
「松之助さん!!また昼間っから酒なんか!行きますよ!!奴が出ました、野良犬小僧です!!」
「おれがそいつを追うっ岡っ引きてわけだ。」
全員の眉が八の字に変わる。無理もない、というのはその男、あまりにも閉まらないダメ男だったのである。




