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ロストメモリー  作者: 島山 平
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山岡有紀子の日記(11) 六月二十一日 (月)

 すごく、幸せな時間だった。朝起きて雨だと知ったときは世界を恨んだけど、結果的には雨でよかった。愛知県上空の雲さん、ありがとう。


 喫茶店でコーヒーを飲む。おじいさんやってきて、新聞を読む。テレビからはワイドショーの音が届いてくる。それだけのことなのに、どうしてあんなに楽しかったんだろう。きっと、中村さんと一緒じゃなきゃ、あんな気持ちにはならなかったはず。だって、場所とかシチュエーション的には、わたしが好んできたものとは違うから。しかも、そこに『私の好きな休日なんだ』っていう中村さんのセリフが混ざったもんだから、化学反応?みたいなことが起きてた。彼が好きな休日の過ごし方を、わたしに教えてくれたんだから。共有して、わたしにも楽しいと思って欲しいからこその行動。あんな素敵な時間を与えてくれて、彼には感謝するしかない!

 どうしよう。今でも幸せなのに、これから、もっと幸せになっちゃったら。怖いくらい。

 あせっちゃダメって自分に言い聞かせてもムダ。もう、心が彼に傾いちゃってるんだもん。中村さんと一緒にいたいって、わたしの心が思っちゃってる。あんなに素敵な人が独身のままでいる。それって仕事に夢中だった証だよね。実際、アピタでもバリバリ働いてるっぽいし。どうしよう、事故が起きてから幸せばっかりだ!

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