8 付与
「悪いねえ、肉や毛皮の売上をもらっちゃって」
「討伐報酬だけでいいさ。それより、しばらく森には近づくな」
「まあ、いつもの数日分の収入になったからいいんだけど…」
とはいえ手持ち無沙汰なので、薬草とは別の仕事を探すことにした。
ギルドの掲示板を端から端まで眺める。
「…ない」
「全て、魔法が必要ですしね…」
「魔法がなくてもできないことはないが…」
掲示板の依頼に限らず、お世話になってる馬小屋の草やりにも魔法が便利だ。
僕が手足でやれば1時間はかかるところ、風魔法を使えば数分で終わる。
「農作業のお手伝いをするにしても、鍬や鎌すらないのがなあ」
「昔の記録を基に形成魔法で作れないことはありませんけど、でも…」
「こう言ってはなんだが、俺の魔力量なら一軒分の畑も数分で耕せるぞ」
ふと、この世界から魔力が突然なくなったらどうなるのか、と思った。
元の世界で言えば、震災等で突然電気が供給されなくなるようなものだ。
太陽光発電の普及が進んだり、蓄電装置の開発が進められていたけど…。
「リムさん、魔道具への魔力付与はどのくらいできるものなの?」
「そのネックレスの結晶体で、発光魔法が一瞬、でしょうか…」
「この程度ではダメか…。大きな結晶体があるといいのかな」
郊外の岩山で結晶体があっさり見つかり、銅貨数枚で採掘してもらった。
薬草と同じく、誰も必要としなかったため採掘されていなかったのだ。
「うん、これなら発散する感じはしない…が、すぐに溢れる感じでもあるな」
レンガ大ほどの結晶体でも、エルハルトが数秒魔力を送り出せるだけらしい。
発光魔法で数分ほど。治癒魔法はかすり傷でも完治できなかった。
ネックレス同様、記録感知が実用的か。記録自体は数秒話す程度だ。
「着火数回できるだけマシか。エルハルト、これの付与は銅貨1枚でいい?」
「いやいやいや、金なんて取れないから!」
「私も言っていただければいつでも付与しますから!」
レンガ大は重くてかさばるため、結局あまり持ち歩くことはなかった。
時々、ちょっとだけ夜更かしできるようになった。




