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9 禁忌

 リムさんやエルハルトの厚意もあるし、もうちょっと結晶体を活用したい。

 収入に余裕ができたこの数日、図書館(仮)で記録を感知しまくった。

 しかし成果は思わしくなく、他のことで知識を増やしただけだった。


「魔道具って、記録・感知魔法の前身だったのか」


 魔法と魔力そのものを区別できなかった頃の技術が魔道具らしい。

 魔力制御手順の伝達や再現が本来の目的で、付与魔力はおまけだったようだ。


「効率の良い制御手順の開発が魔法普及の原動力となった、と」


 手回し発電器であらゆる家電製品を簡単に動くようにしたようなものか。

 バッテリの大容量化相当は考えなかったらしい。


「『魔力は空気中に充満し、呼吸で取り込み蓄積していると思われる』…」

「『結晶体は保持魔力が少ない上に、空気中への自然発散もあるようだ』…」


 元の世界ほど科学が発達しているわけではないせいか、推測止まりが多い。

 数学や物理をこの世界に…とも思ったけど、数字さえないのでは厳しすぎる。


「でも、魔法が使えない僕が差別されなかった理由はわかった気がする…」


 魔法に関する記録で一番多かったのは、歴史だった。

 適性のあるなしで対立した時代が長年続き、魔力制御開発が終止符を打つ。

 誰もが同じ威力の魔法を使える今、魔力量は発動回数の違いだけとなった。


「エルハルトの魔力量も、少ない人との差は2〜3倍程度だって言ってたな」


 結果、魔力量の大小で差別されることはなく、むしろタブーとなったようだ。

 調子に乗って魔力枯渇すれば途端に脆弱となる。シルバーウルフがいい例だ。


「他の人から見れば、僕は裸で獣の群れに放り込まれているようなものかあ」


 ギルドでそうつぶやいたら、リムさんとエルハルトにめちゃくちゃ怒られた。

 周囲では、冒険者の多くが動揺している。そんなにタブーなのか…。

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