4 皆無
現在の薬草の相場をリムさんに確認する。
「エルハルトさん達がだいぶ消化しましたから、薬草の需要が上がってます」
「じゃあ、今日明日は日が沈むまで採ってこよう。薬が高くなったら大変だ」
薬草の買取金額がまたすぐ安くなってしまうが、しかたがない。
魔法が使えない僕には死活問題だ。採取の時もかすり傷程度はよくある。
僕が自分で製造できればいいんだけど、やはりというか、魔法が必要なのだ。
「薬製造の魔法は簡単ですし、魔力もほんの少しでいいはずなんですけど…」
「魔力かあ。前に別の人にも鑑定してもらったけど、魔力自体が皆無みたい」
「えっ…」
エネルギー源がなければ、そりゃあどうしようもないよなあ。
「ネックレスは?門番のチェックでわずかでも魔力は必要なはずですが」
「ああ、実はエルハルトに何度か魔力を付与してもらっていたんだ」
「数少ない魔道具でさえ、シルさんは自力で使えないってことですか…」
医療・軍事方面だけでなく、生活の至るところに魔法は浸透している。
だから、機械の類はもちろん、魔道具も作られなくなったのだ。
「あの、シルさん、やっぱり誰かとパーティを組んだ方が…」
「んー、情けないことになりそうだから、もう少しひとりで頑張ってみるよ」
「そうですか…」
なんか、リムさんの同情心が更に強くなったような。周囲の目も物悲しい。
でもなあ、何をどう考えても僕は何もできない。薬草じゃ治癒できないよ。




