22 道中
リムさんの淹れたお茶は美味しかった。淹れたというか、製造したというか。
さすがに馬車を走らせながらは厳しいので、野原でゆっくりと休憩だ。
「エルハルトの見つけた木の実、おいしいよー」
「昔、討伐した獣が食べていた。俺を見たら放り出して襲ってきたが」
「この木の実よりもエルハルトの方が美味しそうに見えたのかあ」
頭をシメられた。痛いよ。ああ、髪の毛もぐちゃぐちゃ。褒め言葉なのに。
ちなみに、知ってる植物・動物なら『探索』で見つけることができるらしい。
リムさんの『範囲検出』とは異なり、近辺を属性パターンで探すようだ。
「固有パターンとの違いは面白いね。魔法属性との関係も興味深いよ」
「シルはやっぱり発想というか観点が違うな。抽象的とでも言えばいいのか」
「僕としては、こっちの人々は経験や実益を重視しているのかなと思うよ」
方法を見つけて利用するのは同じだけど、それ以上は気にしないらしい。
道具要らずで様々な現象が次々と引き起こせるのが影響しているのかな。
「それにしても、やっぱり他の旅人さんは見かけないね」
「観光でも引越しでも、旅そのものが珍しいからな」
「一生、生まれた土地から外に出ない人も、少なからずいますね」
リムさんもエルハルトも、あの街の近くにある村のひとつの出身らしい。
というか、同じ村の出身だった。あれ、もしかして幼馴染?
「と、言えるほど親しくはなかったな。俺は15歳で村を出たし」
「その時、私はまだ8歳でしたね。私が街に移り住んだのも15歳でした」
「え、それじゃリムさん、まだ18歳なの?」
リムさんは、その日の宿に着くまで僕と口をきいてくれなかった。
宿に着いたら、何歳と思っていたのかと朝まで問い詰められた。




