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第十九話 おっさん悶絶

「ぐ……ぐああぁぁぁっ……!!腹が……腹が割れるぅぅぅっ……!!」

公爵家の豪華なベッドの上で、ルチア(中身:48歳元ニートおじさん)は海老のように丸まり、シーツを固く握りしめて悶絶していた。

老医者からあっさりと「ただの生理ですな」と宣言された直後、ルチアの腹部を襲ったのは、これまで48年間の男人生で一度も経験したことのない、鈍く重い激痛——「生理痛」だった。

「ルチア様! お腹を冷やしてはいけませんわ! 今すぐ湯たんぽとホットハーブティーをお持ちいたします!」

エレノアが部屋をバタバタと駆け回る中、ルチアは冷や汗をだらだらと流しながら、引きつった声で叫んだ。

「い、痛い……痛すぎるわよエレノア……っ!! なにこれ、下腹部を内側から万力で握り潰されてるみたいな感覚なんだけど!? 臓器が暴れ回ってるんじゃないの腹の中でぇぇぇ!?」

「まあ、ルチア様は初経ですから、子宮の収縮痛が一段と強く感じられるのかもしれませんわね。ですがご安心ください、淑女なら皆様乗り越える道でございます」

「淑女なら乗り越えるってレベルじゃないでしょうがぁぁぁ!!」

前世のニート時代、ネットの掲示板やSNSで「生理痛の辛さ」についての書き込みを目にしたことはあった。だが、当事者となって初めて知るその理不尽な破壊力。

(嘘だろ……世の中の女子って、こんな拷問みたいな痛みを耐えてたのか!? 48歳のおじさん脳には耐性がなさすぎるんだよ!!)

痛みに悶えながら、ルチアはある絶望的な事実に思い当たり、血の気を引かせた。

「……ねえ、エレノア……。まさかとは思うんだけど……これって……」

「はい?」

「これって……『毎月』来るの……?」

エレノアはにっこりと、世界で一番残酷な笑顔を浮かべてうなずいた。

「もちろんでございますわ♪ 女性の身体のバイオリズムですから、これから毎月、定期的にお越しになります」

「毎月こんな激痛が来るのかよーーーーっ!!??(白目)」

あまりの絶望に、ルチアの叫びが屋敷中に響き渡る。

上からはドカ食いによる胸の無制限肥大、下からは男性器の萎縮・平坦化、そして毎月確定で襲い来る激痛のイベント。

「嫌だ……嫌だぁぁぁ! 男に戻して! 頼むからただの『痔』に戻してぇぇぇ!!」

「ルチア様、お言葉が乱れておりますわ。さあ、殿下が『ルチアの痛みを代わってあげられない自分が歯がゆい……!』と泣きながら作った特製お粥をお召し上がりください」

「王子の愛が重いし腹も痛いよぉぉぉ(涙目)!!」

完璧な美少女へと肉体が完成していく代償は、あまりにも重く、そして毎月定期的にルチアを打ちのめすのだった。


「ルチア様! 初経の重労働、本当にお疲れ様でございましたわ! お腹の痛みも引き、これにてルチア様は真の『成熟した完璧なお嬢様』として覚醒を果たされたのです!」

初経という大波を乗り越えた翌週、自室の姿見の前に立った私(中身:48歳元ニートおじさん)は、エレノアが提示した姿に息を呑んだ。

(……なん……だと……!?)

毎月の生理という「女性としての生命のバイオリズム」を身体が完全に獲得したことで、肉体の変貌スピードは最終段階へと突入していた。

* 下半身の完全平坦化:生理用品の固定とさらなるホルモン変化により、男性器はすでに突起の痕跡すら怪しいレベルまで縮小・収縮。タイトなラインのドレスを着ても完璧な「平坦な乙女のシルエット」を維持している。

* 上半身の圧倒的豊満化:初経のホルモン活性化と日々のドカ食いエネルギーが結実し、胸元はドレスの生地を押し弾かんばかりの圧倒的なボリュームへと肥大。

* 気品と立ち振る舞い:激痛を耐え抜いたことで妙な肚が据わり、優雅な微笑みと相まってどこからどう見ても「神々しいまでの極上のお嬢様」のオーラが漂っている。

「ご覧なさいませ! 上はたわわに実り、下はすっきりと美しく収まり、血の巡りまで完璧な淑女! 完璧……完璧すぎますわルチア様!!」

「いや完璧のベクトルが狂ってるのよぉぉぉ!! 男の残骸が消えて上が爆発してるだけじゃないの!!」

そこへ、体調の戻った私を心配した王太子アストルフォが駆け込んできた。

「ルチア! 具合はもういいのかい!?……っ!?」

私の姿を見た瞬間、アストルフォは言葉を失い、顔を真っ赤にしてその場に佇んだ。

初潮を経て一皮むけた私の「溢れ出る淑女の魅力(と圧倒的な胸のボリューム)」に、完全に心を撃ち抜かれたのだ。

「あ……アストルフォ様……?」

「ルチア……君は……なんて美しく、そして大人になったんだ……っ! もう僕は我慢できそうにない……今すぐ国王陛下に頼んで、結婚式の日程を前倒しにしてもらうよ!!」

「前倒しにするなーっ!!(泣)」

毎月の生理、消え去る男の痕跡、留まることを知らない胸の成長。

48歳おじさんの矜持は完全に打ち砕かれ、ルチアは名実ともに逃げ場のない「完璧なお妃様候補」へと変貌を遂げてしまったのだった。


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