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第十二話 暗躍するセシリア、あの胸はお腹のお肉ですわ!

「あら、ごきげんようルチア様。……相変わらず、アストルフォ殿下のお心をすっかり独占なさっているようですわね」

王立庭園のお茶会にて、優雅に扇子をあおぎながら近づいてきたのは、先日の「お胸マウント対決」で涙目になりながら走り去ったはずのセシリアだった。

一度はルチアの圧倒的な成長に打ちのめされた彼女だったが、今日の瞳には、敗北の陰りどころか邪悪で確信に満ちた光が宿っている。

(チッ……セシリアの奴、また来たのかよ。胸のサイズ差でボコボコにしてやったのをもう忘れたのか……!?)

ルチア(中身:48歳元ニートおじさん)は、内心で苦々しく舌打ちをしつつも、ドレスの上から感じられる「溢れんばかりの確かな重み」を意識して密かにドヤ顔を浮かべた。

今のルチアの肉体は、連日の激甘スイーツドカ食いと過剰分泌された女性ホルモン、そしてエレノアの匠の技によって、セシリアを完膚なきまでに置き去りにする圧巻のバストへと進化を遂げているのだから。

だが、セシリアはふっとあざ笑うかのように口元を扇子で隠した。

「ふふ……ルチア様。貴女、自分のお胸が本物の淑女として成長したのだと、大きな勘違いをなさっていませんこと?」

「勘違い……? 一体何をおっしゃりたいのかしら、セシリア様?」

ルチアがあざとく首をかしげると、セシリアは待ってましたとばかりにバッと扇子を開き、声高らかに叫んだ!

「わたくしは調べて調査しましたのよ! 貴女のその急激な『成長』の裏にある恐ろしいカラクリを!!」

「な、なんですって……!?」

「いいえ、隠しても無駄ですわ! ルチア様、貴女のその誇らしげなお胸……それは、ただのお腹のお肉(贅肉)ですわーーーっ!!」

「〜〜〜〜〜〜っっっ!!??!?」

庭園中に響き渡るセシリアの暴露劇! ルチアの脳内に、激しい落雷が落ちた。

「連日連夜の最高級スイーツのドカ食いで溜め込んだ腹まわりの脂肪を、侍女のエレノア様に凄まじい力で締め上げさせ、無理やり上へ上へと押し押し上げて『胸』として固定しているだけ……!! つまり、それは胸の成長などではなく、ただの脂肪移動パフォーマンスですのよ!!」

(バ、バレてるーーーっ!!?? 完璧なリサーチ力で完全に見抜かれてるーーーっ!!??)

顔面蒼白になるルチア。

そう、何を隠そう、この圧倒的な膨らみの正体は、前世おじさんのニート特有の贅肉がエレノアの神業コルセットワークによって「胸」として再構築された副産物なのだ!

勝利を確信したセシリアは、勝ち誇った笑みを浮かべて指を突きつける。

「フフフ! どうかしらルチア様! お腹の肉を胸と言い張って殿下を惑わしていたペテン師のお嬢様! 淑女としてのプライドがあるなら、今すぐその偽りの胸を解き放ちなさいな!!」

(くっ……! 48歳レスバおじさんとして……ここで認めるわけにはいかない……っ! 「それはお腹の肉です」なんて認めたら、乙女としての(?)プライドも尊厳も全部終わる!!)

ルチアは必死に動悸を抑え、引きつる笑顔のまま、そっと胸元に手を添えた。

「……あら、おかしなことをおっしゃいますのね、セシリア様。お腹の肉だなんて……くすくす。淑女の身体の変化をそんなお見苦しい嫉妬で片付けようとなさるなんて、見苦しいですわ」

「なんですって……!? 往生際が悪いわよ!」

「いいえ? 事実を言っているだけですわ。……エレノア、説明して差し上げなさい!」

ルチアは背後に控える絶対的味方、エレノアに助け船を求めた。もう、エルノアに賭けるしかない。

しかし、エレノアはうっとりと目を輝かせ、至極真面目な顔で深く頷いた。

「はい、セシリア様。ご指摘通り、初期段階においてはルチア様のお腹周りの贅肉をコルセットで寄せて集めたものでございました」

(おいエレノアァァァ!! 最初に暴露してどうするんだよバカ者ーーーっ!!)

血の気が引くルチアを余所に、エレノアは堂々と言葉を続けた。

「ですが……! 連日のコルセット締め上げによって脂肪の記憶形状が完全に完了し、さらにルチア様の体内で溢れ出る女性ホルモンが、摂取したカロリーをすべて『完璧な胸』へと変換させております! もはやこれはお腹の肉ではなく、素の状態で定着した『本物の究極バスト』として完成されているのですわ!」

「記憶形状!? 科学を凌駕するなーっ!!(涙目)」

ルチアの叫びも虚しく、セシリアは「脂肪の記憶形状……!? そんな馬鹿な……っ!」と、エレノアの謎の説得力とルチアの圧倒的な存在感を前に再び戦慄し始めた。

元はお腹の贅肉だったかもしれない。しかし、身体が勝手に「上に配分」し直した結果、もはやお腹に戻ることはない本物の胸へと変質してしまっていたのだ。

「く、狂ってるわ……! 脂肪を気合いとホルモンで胸に変えるなんて……っ! キーッ! 覚えておきなさーいっ!!」

セシリアは恐れをなして再び走り去っていった。

完勝……しかしルチアは、お腹の肉がすべて胸へと固定化されてしまったという絶望的な現実に、その場に崩れ落ちそうになるのだった。

(元はお腹の肉……でも今は解いても戻らない本物の巨乳……。俺の身体、もうどうなっちゃってんのよぉぉぉ!!)

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