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午後の約束
診療所を出ると、朝の冷たい風が頬を撫でた。
「……初音さんに、どう説明しよう」
僕は歩きながら、携帯電話を取り出した。
白乃さんには、白澤さんから頼まれたことを、そのまま話すわけにはいかない。
けれど、僕一人では上手く聞き出せそうにもなかった。
初音さんへ電話をかける。
『もしもし、良治さん?』
「初音さん、今、大丈夫ですか?」
『はい。どうしました?』
「実は……少し相談したいことがあって」
『相談、ですか?』
「はい。できれば、白乃さんにはまだ内緒で」
『……?』
電話の向こうで、初音さんが小さく息を呑んだ気配がした。
『何かあったんですか?』
「詳しいことは、会ってから話します」
『今日は午前中スーパーのお仕事なので、午後からでもいいですか? 駅前の喫茶店で待ち合わせにしましょう』
「ありがとうございます」
通話を終え、僕は携帯電話をポケットへしまった。
白澤さんから頼まれたこと。
そして――これから僕たちが調べようとしていること。
初音さんには、きちんと話しておかなければならない。
ただ、問題はその先だ。
白乃さんに、どうやって話を聞くか。
僕はそんなことを考えながら、管理局へと歩き始めた。




