1-26.【アーカイブ】あかいかみのリアと祈りの大樹
出典:「あかいかみのリアと祈りの大樹」
著者:ミラ・フェーン
むかしむかし。
ノルヴィアの村には 祈りの大樹とよばれる
おおきな おおきな 木がありました。
その木は 雨をよび 麦をそだて
村のみんなを 見まもってくれる木でした。
ところが ある 雨のよるのことです。
空が まっくろににごり 黒い森のおくから
おおきな おおきな あらしが やってきました。
風がうなり 雷がさけび
大樹が、たおれそうに なったとき。
ひとりの少女が あらわれました。
あかいかみの リアという子でした。
リアは なにも言わず だれに いわれるでもなく
おおきな大樹を その小さな体で かかえました。
ぎゅっと ちからをこめて 大切なものを まもるように。
残念なことに 大樹はまんなかから われてしまいました。
でも たおれては いませんでした。
大地に しずかに 根をはり まだ 生きていました。
やがて ながい時がたち
われたすきまから ちいさな芽が 生えました。
それはのびて ふくらんで
あたらしい枝を たくさん のばしていきました。
そして いつしか また 祈りの大樹と よばれる
りっぱな木と なったのです。
ノルヴィアにはふたたび めぐみの雨がふり 麦がみのり
ほほえみとともに 栄えました。
村の人たちは いいました。
「リアが わたしたちの 願いも 命も 守ってくれたのだ」
いま 大樹の根もとには ちいさな石像が 立っています。
両手をひろげ まっすぐに空を見あげるすがた。
でも その顔は えがかれて いません。
なぜなら だれにでも なれるからです。
つよくて やさしくて
だれかのために たちあがれる
そんな ほんとうの強さを もったひとに。
それがリアが このノルヴィアに教えてくれた
たいせつな たいせつな 物語なのでした。
おしまい。




