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変装

 数日後、ギルド本庁の付近にある広場には、リリカ一行が集結していた。彼女たちは今、今後の計画について話し合っている。

「なぁ。いきなりマザー・セラフを壊すのもいいが、先ずは中継機である四つの塔から破壊しねぇか?」

「な、何故、マザー・セラフを、後回しに……?」

「そうですよ。マザー・セラフを壊したほうが早いじゃないですか」

 二人がリリカの提案を妙に思ったのも無理はない。本体さえ破壊されれば、中継機が機能することなどないのだ。無論、リリカは考えなしにその提案をしたわけではない。彼女は自分の考えを説明する。

「確かに、さっさとマザー・セラフをぶっ壊すほうが手っ取り早ぇだろう。だけどな、マザー・セラフの警備を疎かにさせるには先ず、他の場所から荒らしたほうがいい。つまり、だ。オレたちはこれから、選民会の手を煩わせる」

 確かに、荒らされる場所が分散しているほうが、選民会は手を焼くこととなるだろう。しかし三人は、ある問題に直面する。それを指摘するのは、カムイだ。

「しかし、僕たちは三人しかいないのに対し、塔は四つもありますよ? 残る一つの塔は、どうしましょう……」

 それが彼女たちの課題点だ。そこでリリカは思考を巡らせ、打つ手を考える。されど四つの塔は、それぞれ離れた場所にある。このままでは、全ての塔を破壊することは難しいだろう。


 その時である。


「お困りのようであるな、旅の者」

「アタクシたちが力を貸してあげますわ」

「オミャーらは、これから中継機を破壊するんだろ? 協力するぞ!」

 その場に、アフロのウィッグと金のマントを身にまとった三人組が現れた。その変装は、極めて稚拙なものである。

「ああ、エテコー団か」

 一切の躊躇もなく、リリカはそう言った。これに対し、三人組は白を切ろうとする。

「な、なんのことであるか! ワガハイたちは、通りすがりのアフロ集団であぁる!」

「そうですわ! 我々はアフロトリオ……アフロの申し子ですの!」

「オイラたちのアフロを目に焼き付けろ!」

 それは紛れもなく、無理のある嘘であった。一方で、リリカ一行には、泡沫(うたかた)カムイがいる。彼女の魔術をもってすれば、三人組の正体を確定させることは極めて容易だ。

「……やるまでもありませんが、一応魔術は使いましたよ。あなたたちの正体は、正確に感知しました」

 こうなれば、エテコー団に言い逃れはできない。エテコー団の三人がウィッグとマントを投げ捨て、そのリーダーであるミルシーが声を張り上げる。

「生まれは貧しい未来は眩しい!」

 そして、その名乗り口上はすぐに邪魔される。

「うるせぇ、もうやらなくていいからそれ」

 そんなリリカの一言に対し、エテコー団の三人は不服そうに頬を膨らませた。何はともあれ、彼らは手を貸してくれそうだ。


 ここでミルシーは、一つ疑問を口にする。

「そういえば、選民以外から主体性を奪うのであれば、霊獣は必要ないはずであぁる! 霊獣とは、一体なんなのであるか?」

 確かに、選民会の計画に対し、霊獣の存在は無価値に見えるだろう。そこでリリカは、推論を立てる。

「ファントム以外の存在でも、奴らは邪魔者を始末する必要がある。それに、霊獣がいなければ、霊媒師はファントムと戦うだけの存在になる。おそらく連中は、霊獣の存在によって市民の目を眩ませているんだろう」

 その推論が当たっているか否かは、今の彼女たちにはわからない。今この場にいる者たちにできることは、ただ一つだ。

「それより今は、中継機を壊しにいくぞ。エテコー団、アンタらは三人がかりで一つの塔を壊せ。行くぞ……!」

 いよいよ、彼女たちは塔を破壊しに赴くこととなる。一先ずその場から散った六人は、それぞれの担当場所へと向かった。

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