表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊媒師リリカの受難  作者: やばくない奴
A級クエスト
20/72

裁判

 後日、リリカたちはあの少女を連れ、法廷に立った。被告席には、四人の霊媒師がいる。事件の真相が公に明かされるか否かは、この裁判にかかっていると言っても過言ではない。裁判官がガベルを鳴らし、開廷を告げる。

「ただいまより、白澤一家謀殺事件の審理を開廷します」

 いよいよ正義を知らしめる時だ。さっそく、裁判官は質問する。

「共同被告人、起訴内容に対してどう答えますか? 有罪か無罪かでお答えください」

 格式ばった言葉選びだ。もっとも、それが裁判というものであることに相違はないだろう。四人の霊媒師は、口々に無罪を主張する。

「もちろん無罪です」

「ええ、我々は無罪ですよ」

「原告の言いがかりです」

「金目当てだと思いますよ、原告は」

 実際、リリカたちからしてみても、あの少女の言い分を一方的に信じる理由などない。確固たる証拠がない限り、真相は常に闇の中だ。無論、リリカとて、彼女のことを妄信しているわけではない。そこで裁判官は、その真意に迫る。

「証人。何か、被告の有罪を確信した理由はありますか?」

「いや? オレにはただ、知りてぇことがあるだけだ」

「知りたいこと……?」

 何やらリリカには、別の目的がある様子だった。ヒロトやカムイが唖然とする傍らで、彼女は本音を語る。

「オレが見る限り、ファントムに取り憑かれた人間には何らかの後遺症が遺る。そしてオレは霊媒師で、謀殺の被害者と交信できるんだ。まぁオレが知りてぇことは、原告がそもそも嘘をつけるのかどうかってところだな」

 確かに、この裁判を介せば、ファントムのことを更に掘り下げられるだろう。しかしこの霊媒師は先日、義憤のような素振りを見せていた身の上だ。これには、ヒロトも反感を覚えるばかりである。

「リリカ、お前……そのためだけに俺たちの正義感を焚きつけたのか?」

「当たり前だろ。あの話を無条件で鵜呑みにする道理なんか、オレにはねぇんだからさ。まぁ、熱くなるのは、あれが事実だと確定してからだな」

「なんだかお前を信用していいのか、わからなくなってきたぞ……」

 言うならば、リリカの行動は合理的ではある。一方で、その行為が褒められたものではないことも否定はできない。それを差し引いてもなお、少女の話が本当であれば、霊媒師である彼女が心強い証人であることは揺るぎない事実だ。


 裁判官は指示を下す。

「では、事実確認のため、事件の被害者方と交信してください」

 死人に口なし――そう言われていたのも、霊媒師が市民権を得る前までの話だ。被告席の霊媒師たちは、青ざめた顔をしている。そんな彼らを嘲るように笑い、リリカは指を鳴らした。


 法廷に、白澤婦人の魂が降り立った。


 怪訝な表情で、婦人は周囲を見渡した。今その場で起きていることは、彼女にはわからない。しかし被告席に立つ男たちが視界に飛び込むや否や、彼女は酷く怯え始めた。そこでリリカは、婦人に問う。

「ご婦人。アンタを殺したのは、その男たちで間違いねぇんだな?」

「はい! わ、私は……あの男たちに殺されました!」

「ククッ……ご苦労。やはり面倒事は、速やかに片付けるに限る」

――こうなればもはや、被告も言い逃れができない。それからも、法廷では問答が繰り広げられたが、婦人本人の証言よりも説得力のある弁論は出なかった。何しろ、あの証言は殺された本人の主張だったのだ。その効力が絶大であることは、至極当然のことである。


 裁判官は再びガベルを鳴らし、裁判を締めくくる。

「静粛に。本件において、裁判所は慎重に審議した結果、共同被告人に対して終身刑を言い渡します」

 絶対的な証人の存在もあり、司法は権力に屈しなかった。

「良かったな、これで親父も報われるんじゃねぇか?」

 リリカはそう言ったが、少女は依然として無表情のままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ