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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
ジノグラフの常識

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エルフィンの秘密(2)

 ウフルバのジーギラ戦士団は東門を出発した。車にペースを合わせねばならないので目的地まで四日の行程である。


「戦公様、あれが手配書のマサキなんですよね?」

 シュミクが走りトカゲを寄せてきた。

「ああ。が、手配書ではない。確保指示書だ」

「変わりないでしょ? ふうん、マサキ・コーノギね。ほんと、いい男。戦公様、とってもいい仕事をなさってくれたわ」

「変に絡むな。任務を終えて、王都にも同行を取り付けたらその先はどうなるかわからないのだからな。巻き込まれたくはあるまい?」

 彼女は男好きでも有名である。

「味見くらいはいいでしょ? 同じ装鎧戦士(エルフィンアーマー)、乗ってくるはず」

「果たしてそうか?」

「う……」


 シュミクが口ごもる。気にはなっているのだろう。なにせ、マサキは戦士団の誰にもさほど興味を持っていない素振りなのだ。


「なにあれ、自分の装鎧少女(エルフィン)とイチャイチャして。頭おかしいんじゃない?」

 鼻頭に皺を寄せる。

「私はむしろ、あのバイクという乗り物のほうに興味を惹かれるが」

「戦公様は男だもの。あれの異常性を感じないんだわ。まるで、妖精種(エルフィン)信奉者みたい」

「あり得んな。妖精種信奉者たちはデレキセント教団が根絶してしまった。極めて厳しい弾圧だったと聞く」

 彼らの教義を否定しかねない存在だからだ。

「ドニニー村に入った戦士の調査報告書にもあった。マサキは最初、装鎧少女(エルフィン)を妹として紹介している。我らとは思想を異にする嗜好をしてる可能性はある」

装鎧少女(エルフィン)性愛? うわ、気持ち悪すぎ」

「理解できんな」


 彼らにとって装鎧少女(エルフィン)は道具である。それ以上でもそれ以下でもない。便利な武器は武器の域を出てはいけない。装鎧少女を一つの生命と思って大事にした時点で戦えなくなる。


「もしかして侵食されたいとか? 気が知れない」

 契りが深いと侵食も早いとされている。

「ううむ、しかし、自我侵食を受けているようにも見えんぞ」

「そうなのよね。さっぱりした色男だから余計に、ね」

「得体が知れんのだ。絡むならそのつもりで行け」

「戦公様のご命のままに」


 扱いの難しい女性戦士にウフルバは苦笑いした。


   ◇      ◇      ◇


「やれやれだ」

 正輝は額を押さえる。

「騒ぎを起こしたら、この数を相手しないといけなかった。ぞっとしない」

「際どい判断でしたね。でも、どうにかなったとも思ってます」

「ええ、あの構成なら」


 ティナレルザも肯定する。理由は思い当たらなかったが、気になった点はいくつかあった。


「そういえば、挨拶したとき装鎧少女(エルフィン)たちが一斉にルキを見てなかったか?」

 注目してたからこそ気づいた。

「致し方ないことです」

「びっくりするわよね」

「ごめん。まったく意味がわからないんだが」


 エメルキアもティナレルザも常識のように言う。しかし、正輝はなんのことだかさっぱりだ。話す前のことだから外見上の特徴だとも感じる。


「話してなかったんですが、実は……」

 少女が切りだす。

「わたしたち個々によって能力補正に差が出ます」

「バフレベルの話だな。そりゃ個性があったとしても当然だ」

「その違いが外見に表れるのです。瞳の色に青が混ざるほどに補正値は高くなります」


 そう言われて見まわす。ウフルバの装鎧少女(エルフィン)が緑っぽい瞳をしているのに対し、他の装鎧少女たちは黄色い瞳をしている。どうやら黄色がベースだと気づいた。


「じゃあ、ルキみたいに純粋な青ってのは?」

 懐の中の少女を見おろす。

「最上級」

「すごいじゃん」

「そんなでは」

 ティナレルザの評価にエメルキアは謙遜する。

「それだけに壮絶な奪い合いになるわ。予想だけど、ルキの周りって凄惨な抗争になったはず。そんなの見せられたら人間が嫌になる」

「あ、そうか。ごめん。褒めるようなことじゃなかったんだ」

「いえ、今はマサキの力になれるのが最上の喜びです」


 感動して、思わず少女の頭に頬を寄せる。彼女はくすぐったそうに微笑んだ。愛しさが募る。


「でも、ウフルバたちのリアクションは驚いてる感じじゃなくないか?」

 エメルキアを見てもなにも言わなかった。

「私たちの間では常識。でも、人間社会だとそんなに知れ渡っている事実じゃない。一部の装鎧戦士(エルフィンアーマー)先進国家だけがその秘密に気づいてる」

「なるほど。こいつは軽々しくしゃべっちゃいけない秘密の類だな」

「気をつけて。もし、この事実が広く知れ渡ったら大変なことになる」

 ティナレルザが警告してくる。

「なにが起こる?」

「上級個体からは優秀な個体が生まれるっていうのが定説。つまり、ルキは寄ってたかって小妖精(リトルエルフィン)を生ませる道具にされる」

「なんだと?」


 ティナレルザはあえて口にしなかったが、小妖精(リトルエルフィン)を生ませるということは男と情を交わすということ。エメルキアは夜毎慰み者にされるのとイコールである。


「絶対にそんなことにさせない」

 唇を噛む。

「マサキはいいのですよ。わたしに優秀な小妖精(リトルエルフィン)を生ませてくだされば、さらに力になります」

「え、なんで?」

「思うに、マサキは多重融合が可能だと思うのです」

 また聞き慣れない文言が出てくる。

「多重融合ってまさか?」

「複数の装鎧少女と契りを交わして変身可能だという意味です」

「マジか」

「だから、優秀な小妖精(リトルエルフィン)を無限とも思える精気で装鎧少女(エルフィン)にまで育ててくださればマサキはもっともっと強くなれるのです」


 少女の言葉に正輝はどう返せばいいのか困った。

次回『エルフィンの秘密(3)』 「優秀には見えないんだけど?」

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