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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
ジノグラフの常識

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エルフィンの秘密(1)

 結局、おかしな横槍はなかった。正輝たちは平穏に二日を過ごし、約束どおり朝にヘンレケの都の東門に顔を出す。


(ウフルバなりに誠実さを見せてくれたと思おう。まあ、こっちも逃げださなかったのでチャラだけど)


 おそらく全方位の門に網が張ってあったと思っている。もし、バイクで出ようとしようものなら確実に足留めされていたことだろう。


「来たぞ。随分と大所帯だな」

 見るに、二十人以上はいる。

「貴様、戦公様になんという口の聞き方を」

「やめろ、テノコト。私が許してる。我が配下ではない」

「しかし、どこの者ともわからぬ輩に」

 側仕えらしき男が言いつのる。

「部下の手前、気をつけたほうがいいんですかね、戦公殿?」

「多少配慮してくれれば助かる。だが、無理ならば構わん」

「年なりの敬意は払いましょうかね」


 譲歩はする。ここで意地を張って決裂させるのは簡単だが、やれば追手はより強硬になると思うべき。現状を難しくするだけである。


「そういえば幾つだ、マサキは?」

 ウフルバが思いだしたように訊いてくる。

「二十六。戦公殿は見た目からして三十絡みですかね」

「ああ、今年で三十になる。よくわかったな。少しは若々しく見られると自負してたのに」

「全体に年を感じさせない業界にいたんでね」


 それも処世術の一つ。上下関係にうるさい芸能界では、相手の年齢を見極めるのも重要になる。しっかりとケアしてるうえに、非公表なんて人物も少なくない。


「どんな仕事をしていたんだか。まあ、いい。主だったところを紹介しておく」

 ウフルバも控えてくれる。

「テノコト・ヴァナクは若い頃から私に仕えてくれている装鎧戦士(エルフィンアーマー)だ。年もそう変わらん。腕もいい。私に忠誠を誓ってくれているので、さっきは物言いも厳しくなった。許してくれ」

「はいよ」

 返事一つで視線がきつくなる。


 ウフルバと同じ赤い目をしている。主人がカールした紫の髪を長めにして流しているのに対し、テノコトは青い髪をボブにしていた。すべてが整えられていて、きっちりした性格を表している。


「彼女はシュミク・ジュレス。王国戦士団でもかなりの力を持っている期待の女性戦士だ」

「年のことは聞かない約束よ。でも、君よりは若いから」

「左様で」


(女性の装鎧戦士(エルフィンアーマー)もいるのか。別に変でもないが)


 ついライダーの視点で見てしまうので女性が混じっているのが違和感になる。作劇上の都合で男性ばかりになっているだけで、装鎧戦士ならば女性でも変ではない。

 ただし、変身時の能力バフは元の身体性能にも比例するのでパワー的に厳しさも感じる。別の部分で優れている可能性が高い。例えば魔法能力などが考えられた。銀髪に黄色い目というアクセントも目を引く。


「ボダハ・タイデンは熟練の戦士になる。王国でも屈指の実力者だ。家格が低いだけで、この中では一番強いかもしれない」

「まさか。王国の戦公様方の中で群を抜いてお強いウフルバ様には敵いませんて」

「謙遜するな」


(要注意かな)


 ボダハは典型的な戦士タイプ。体格も正輝とは比較にならないくらいがっしりとしている。赤い髪に赤い目で、いわゆる筋骨隆々という見た目だ。この体格で変身したら不格好にならないかとも思ってしまう。

 それも偏見だろう。見た目重視でスタイルの良さばかりが目立つライダーのほうがおかしいともいえる。


「イソポ・ゴルサも若いが期待の新鋭だ。歴々の戦士を圧倒するくらいの戦技を持っている。これから伸びることだろう」

「野心は否定しません。ウフルバ様に重用していただけるなら働いてみせましょう」

「心強いことだ」


(この中じゃ一番ライダータイプじゃん)


 イソポは二十代中頃と思われる。十分に色男でもあり、彼を抜いていった若き俳優たちのことを想起させた。

 緑の髪に茶色い目をした優男は、パワー的に劣っていようとも実践的な筋肉が付いている。侮っていい相手ではないと思った。


「しっかし、どんな怪物を相手にするとなったら、こんな構成になるんですかね」

「そんなに変か?」


 他に、六人ほどの軽装の男女が魔法ギルド派遣の魔法師らしい。戦闘時には装鎧戦士の援護を担当するという。その魔法師たちの警護という役割で、戦士ギルドから集められた戦士が十人同行するらしい。

 装鎧戦士(エルフィンアーマー)は全員が走りトカゲ乗りだが、他は二台に分乗する様子でそれぞれの車の前に集まっている。総勢で二十一名の構成だった。


「変異型メタルビーストの討伐はかなりの危険任務。これくらいになる」

「ターゲットは?」

「飛びオオトカゲらしい」


 聞いたことのない名前が飛びだしてきた。パムール島にいた飛びトカゲはせいぜいが全長で60cmほどまで。


「どこからがオオトカゲ? ですかね?」

 つい敬語が抜けた。

「だいたい1.5m以上からだな」

「それが飛ぶ?」

「飛ぶぞ。だからタチが悪い。普通の人間ではまったく歯が立たない。装鎧戦士でも80cmを超えるようなら一人では厳しい。これくらいの戦力はいる」

 つい、ため息をもらしてしまう。

「すんませんね。俺の住んでた場所じゃそんな大物、メタル以外でも見掛けなかったもんで」

「そうだったか」

「でかいのもいることはいるんですが、さすがに飛ぶとなると厄介ですな」


(走りトカゲのこともあるし、聞いてはいたけど。いきなりメタルで遭遇したくないもんだ)


 トカゲというより翼竜を想像してしまう正輝であった。

次回『エルフィンの秘密(2)』 「味見くらいはいいでしょ? 同じ装鎧戦士(エルフィンアーマー)、乗ってくるはず」

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