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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
ジノグラフの常識

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ジーギラ戦公(4)

「そんなことになっていたとは」

「ごめん、勝手して」

 説明を聞いたエメルキアが少し思案げな面持ちになる。


 少女たちと合流した正輝は速攻で宿を引き払い、かなり離れた場所に移した。ウフルバは討伐への同行了承で手出しを否定したが戦士団とやらの総意ではない。余計に彼を危険視する者がいてもおかしくはない。


「いえ、回避しようのない状況だったと。マサキの判断も早くて正確でした」

 なにが起こってても変ではない。

「コタカッタの臣公会議の議題にまで挙がってしまってましたか」

「確かに未確認の装鎧戦士(エルフィンアーマー)って座視しておけるような存在じゃないものね」

「追っ掛けられるー?」

 ティナレルザが考え込むとロナタルテも不安げだ。

「一応はそうならないよう手は打った。でも、絶対じゃない。当面はばらばらに行動しないほうがいい」

「ですね。居場所はバレてなさそうですけど、わたしたちの外見上の特徴は握られてると考えてよさそうです」

「ったく、長居するとこれだ。明日、服の仕立てが終わって受け取ったら出発するスケジュールだったってのに」


 予定が滅茶苦茶になった。服屋も随分と離れた場所になってしまったので警戒して移動しなくてはならない。


「万が一を考えれば、スピードで振りきれるバイク移動にするしかない。徒歩移動で発見された場合、向こうの組織力で追い詰められる可能性が高い」

 彼は断言する。

「そうね。あっちに待つつもりがない人間がいれば」

「確保指示書というのが痛いですね。まあ、発出範囲はそれほどではないと思います。王国全域の領主までは行き渡ってないかと」

「公の付く階級と関係者あたりまでか」

 今回でいえばウフルバと随伴してきた戦士まで。

「未登録の装鎧戦士(エルフィンアーマー)を闊歩させてる落ち度を指摘されるのは嫌だと思うの。王周辺への求心力が悪化するわ」

「なるほどな。警戒は解けないが動きにくくなるほどでもないと」

「マイナスは避けたがると思います。誰しも反乱を起こされるのは嫌ですので」


 王国の求心力や信頼度が落ちると内乱の可能性が上がる。それを敬遠して情報拡散は控えているだろうという話。


「しかし、そこまで厄介事扱いするかよ。変身後は生身に比べて破格のスペックだっていっても、国一つ相手にできるほどじゃない」

 そうでなければ正体を隠して動いたりはしない。

「だとしても、見極めようとはすると思うわ。敵味方ってのはもちろん、出力だってピンキリだもの。そこ、わりと重要」

「そうなのか?」

「はい、盗賊団の装鎧戦士(エルフィンアーマー)はお粗末だったと思ってくださって結構です」

 戦闘技術以外も劣っていたという。

「すると、王国戦士団の装鎧戦士(エルフィンアーマー)のスペックを見定めるには悪くない機会か。どうにもならなければ敵対するケースも出てくるはずだし」

「分析はお互い様になりますね」

「難しいとこ。手加減して嘗められると一方的に捕縛可能だと判断されて敵対してくるかもしれない。逆に全力を見せつけると、余計に危険視されることにもなりかねないわ」


 変身しての戦闘行動になった場合、正輝は周囲の戦闘力を見定めながら戦わねばならない。果たして未知のメタル進化種と敵しながらそれだけの余裕があるか否か。


「変身後の俺の強さを見せつけて、王国に協力を仰がなきゃいけないほどだと思わせようとする気だったが甘いか」

 自分の目算が浅かったかと悔やむ。

「厳しいわね」

「力を見せるととにかく取り込もうとするでしょう。内部に入ると、非常に難しい立ち位置になるとしかいえません」

「俺も政治のあれこれに関わりたくないしな。上手く立ちまわれる気がしない」

 頭が痛い。

「王国のすごいとこ行ったら、今日みたいな美味しい料理、毎日食べれるー?」

「残念だけど、勧んでロナに食べさせてくれる人間はいないわね。マサキのおこぼれを待つしかないけど?」

「おこぼれでもいいかもー」


 ロナタルテは商館での料理に魅了されていた。初めてパムール島を出たばかりの彼女には、大陸の文化は新鮮そのものなのだろう。


「それ以前に、あの籠の中の子たちみたいにされなければの話」

 ティナレルザは脅す。

「あれは嫌ぁー。都会に行くのやめて、マサキ」

「俺もできれば敬遠したい場所だ。意見が一致したな?」

「よかったー」

 顔に張りついて頬ずりしてくる。

「ロナもこう言ってることだし内部侵入作戦はなし。となれば、自由を勝ち得る方法を考えるしかないんだが」

「無理じゃない?」

「無理でしょう」


 あと二人に断言される。追われる立場には変わりなさそうだ。どれくらい組織的に動かれるかを調整するのがせいぜいか。


「つまり、危険視されないレベルで、しかも嘗められないくらい。変に歓心を買おうとせず目立たないようにしろと?」

 うんざりしてくる。

「そうね」

「そうです」

「それこそ、俺の大陸知識量じゃ無理じゃね?」

 よほど器用に立ちまわるしかない。

「考え方を転換しましょう。地の利のないヘンレケの都の中で追われるのは最悪です。討伐行に参加することで上手に姿をくらますタイミングを計れる様になったと思うべきでは?」

「私は賛成」

「ロナもそうだと思うー」


 一致した。このあたりが妥協点だろう。ウフルバの立場的にもこちらの思惑的にも。


「よし、これで決まりだ。上手く消える。この一語だな」

「消えるー」


 正輝たちの相談はまとまった。

次回『エルフィンの秘密(1)』 「貴様、戦公様になんという口の聞き方を」

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