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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
撃発のライダー

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正輝、アウトバースト(1)

「デュアルビルドぉ!」

 正輝は吠える。


 それと同時に、駆け寄って両手の指を絡めあったランゼッタと意識が結ばれる感触がある。少女の服が溶け消え、光の粒子と変わって流れながら裸身にまといついていた。

 それも刹那の間。次はランゼッタ自身がほどけるように光へと変じていく。粒子は玉となり、銀色の金属光沢を見せるほどになった。


(マサキ、やっとだよ)


 次に起こったのはこれまでにない現象。エメルキアが変化してできあがったプロテクタが彼の身体から剥がれる。そこへ、ランゼッタから生じた銀色の粒がまとわりついていくと形状が変化していった。

 全体としては厚みを増す感じである。ただし、パーツによっては著しい形態変化も伴う。肩のプロテクタなどひと抱えもあるサイズになる。胸や腰、背中の主要なプロテクタも複雑なフォルムを形作り厚みも見せていた。


(一つになれる)


 そのプロテクタが再び彼の身体に張りついていく。いつもの融合する感触がして、どこまでが皮膚なのかどこからがプロテクタなのか曖昧な感じになっていった。

 全体にボリュームも増している。当たり前だ。少女一人分嵩増ししたのも同然である。両手などは、内側から膨張して広がったような感触がする。


(完成)

(これで二重装着となりましたよ、マサキ)

「あー、やっぱ、二人分聞こえるのか」

(自我境界にまったく影響が出ていません)

(マサキってこんなにすごかったんだ)


 変身過程で少し冷静さが戻ってきた。改めて、見える範囲の自分の変身フォームを観察する。ボディそのものが半まわりくらいは大きくなっていた。

 拳は元の1.5倍くらいになっているが普通に手の触感がある。胸や足の要所のプロテクタが一部、緑から黄色に変わっている。


「なんだろ。俺、キレててイメージ薄かった気がする」

(ぼくの趣味、入っちゃったかも)

(こういう現象起こるんですね。わたしも未経験ですので)


 黒一色だったスキン部分に白いストライプが走っている。全体にカラフルになったイメージだ。

 肩のプロテクタなど白く染まって巨大化し、20cmも張りだしている。そのあたりでボリュームを消費したのか、ボディそのものの巨大化は抑制されていた。


(角も格好良くしてみた)

(大きく、複雑になりましたね)

「待って。俺からは見えないところの話しないで」


 視界は変わっていない。視野が若干広い程度で、感覚器もエメルキアだけとの変身のときと変わっていないように思える。ランゼッタも装着して、どこが変わったのか感覚的に受け止められていない。


「どうなったんだ?」

(ぼくにもわかんない)

(基本的には装鎧少女(エルフィン)個々の特性が反映されると聞いてはいるんですが)


 エメルキアの場合は基本性能が軒並み高い。なので、能力バフレベルが普通ではないことになっている。では、ランゼッタの特性とはなんなのか。今ひとつ掴みかねていた。しかし、それはすぐに判明することとなる。


「に、二重装着者だと?」

「あり得ない。そんなのこの方面に現れたとは聞いてないぞ」

「ひ、怯むな。一人であることに変わりない。畳み掛けて弱らせろ」


 一人の戦士が斬り掛かってくる。思わず剣を手で受け止めて握る。すると、枝を折るようにポキリと折れてしまった。


「馬鹿なぁ!」

「あれ?」


 流れのまま正拳を腹に突き刺す。相手は真横に吹っ飛んでいった。そればかりか、飛んでいく間に変身が解けて生身になってまくれている。


「え、パンチの直撃だけで致死レベルの内臓破裂?」

(めっちゃパワーアップしてる。ぼくってパワータイプだった?)

(どうやら、そうみたいですね。意外な一面を垣間見ることになってしまいました)

「ルキさんが冷静すぎてちょっと怖い」

(心外です)


 次々に襲い掛かってくる戦士の剣に手刀を当てるだけでポキポキと折れてしまう。裏拳を当てるだけで縦ロールして飛んでいき失神する。


「マズ!」


 反射的に握り拳が顔面に飛んでいた。そのままでは中身を粉砕、脳に深刻なダメージを与えそうでブレーキを掛けた。止まり掛かった拳が触れただけで、装鎧戦士(エルフィンアーマー)のアイバイザーが砕け散って倒れ伏す。


「加減利かねー!」

(慣れてないもん)

(こればかりはどうしようもありません)

 気軽に言ってくれるものだ。


 彼は慌ててサイコブレードを生みだし方針転換する。ボディの制御が利くようになるまでは殴る蹴るよりそちらのほうが確実っぽい。なにより、教団戦士の剣は二重変身フォームのプロテクタに引っ掻き傷を作るのがせいぜいなのだ。


「確か、普通の剣じゃなくて、念動で斬れ味増してるんじゃなくね?」

(魔法干渉力に差がありすぎて効果を発揮していないのです)

(ガードも上がった。ぼく、すごく役に立ってるっぽい。嬉しい)


 刃を合わせても剣が砕ける。ほとんど触れるものすべてを破壊する変身フォームになってしまった気分だった。

 ジャブで吹き飛ばしては、斬って装鎧少女(エルフィン)を剥ぎ取る。十数人はいたはずの教団戦士が今や片手に足りないほどになっていた。


(結果的に、圧倒しておいそれと手を出せない状態を作れたものの過程がなあ。完璧に激発してた。情けない)


 正輝は冷静に戦えなかったのを後悔していた。

次回『正輝、アウトバースト(2)』 (体力使わないですむ乗り物かな)

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