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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
撃発のライダー

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魔公接近(2)

 ばちんと弾き飛ばされただけのようなもの。しかし、ロナタルテにとって具体的な攻撃を受けたのは確か。驚いて見まわすと、少し先に同じ小妖精(リトルエルフィン)がいる。


「えー、どうしてぶつのー?」

 魔法攻撃だった。

「魔公様がおっしゃったとおり、敵の装鎧戦士(エルフィンアーマー)の使う仲間がいた。捕まえないと」

「痛いのやめて。なんで、同じなのに攻撃するのー?」

「あんたが敵側だからでしょ? わたしは魔公様のいうとおりにしないと精気をもらえなくなっちゃうの」


 衝撃的な事実を告げられる。その小妖精(リトルエルフィン)は同族でも攻撃しないといけないと教え込まれているのだ。


「そんなことないよー。一緒に来てくれたら……」

「駄目よ。嘘ついて消されるって聞いたもの」

「絶対にないもん」

「黙ってついてきなさい!」


 再び攻撃される。今度は警戒していたロナタルテは魔法を弾き返した。相手は黄色い瞳。力は彼女のほうが上である。


「そんなに意地悪言うなら、こっちも攻撃するもん!」

「やってみなさい」

 狙いを定めようとしたら、また攻撃された。

「え、見てたのに? あー、別の子もいるー! ずるーい!」

「当たり前でしょ。力の差があるのくらい魔公様が予見しているわ。一人で当たったりしない」

「ひどいよー。そんなのってないよー」


 かなりショックを受けていた。まさか、同族から敵意を向けられるとは思っていなかったのだ。これまでは、そういう形で遭遇したことがなかったのも事実である。


「いやー、ばかー!」

「こら、逃げるな!」

「まわりこんで捕まえ……、って、この子、めっちゃ速い」

「嘘でしょー!」


 彼女は二人を置いてけぼりにする。少し涙が滲んでいた。早くマサキのところで戻らないと悲しみが収まりそうにない。


(こんなのってー)


 滲む視界に耐えながらロナタルテは潜伏地点に逃げ戻った。


   ◇      ◇      ◇


「マサキー!」

 叫びながらロナタルテが帰ってきたので正輝は驚く。

「どうした? って、追われてんのか! マズ!」

「押さえます」

「じょ、冗談。青の方なんて……、あう!」


 飛び込んできたロナタルテを受け止めつつ、追ってきた二人の小妖精(リトルエルフィン)が身動きとれなくなって引き寄せられているのを認めた。どうにか確保できたかに思えたが。


「ルキ、後ろにもう一人だ」

 少し離れた上空にも別の子を見つける。

「届きません。逃げられます」

「やられたか。捕捉された。すぐ移動する」

「でも、動けば教団の戦士団に見つかるわ」

 ティナレルザが警告を発する。

「ここを知られた以上、どうせやってくる。打ってでるしかない」

「まさか、向こうも小妖精を飛ばしてるなんて。これまで、そんな動きなかったのに」

「あのね、マサキ、教団とは違う車がいっぱいいたから近づいたの。そしたら」


 彼は一瞬躊躇する。敵するに値しない警備隊を除けば教団だけを相手すればいいと思っていたのに、別勢力まで出張っているとすると途端に難しくなる。


「どこのだった?」

 大切な情報だ。

「知らないのー。見たことない旗だったー」

「とすれば、王国の誰かね。もしや、教団と王国が連動して動いてる?」

「最悪だ。が、ここにいてもジリ貧なのに変わりない。動くぞ。ルキ、二人はとりあえず車に放り込め。ルーザは説得。ランゼは運転。ロナはとりあえず補給、と済んだら前方監視」

 皆は一斉に動き、ロナタルテは彼のシャツに潜りこんでチャージモード。


 あいにくと潜伏していた森以外は平原が広がっている。敵側が小妖精(リトルエルフィン)を飛ばしているなら、森から出た途端に捕捉されると思っておくべき。迎撃できる体制がない以上、突破を試みるしかない。


「マサキー、前から近づいてきてるー」

 しばらくしてロナタルテが上空での斥候に出るとすぐに伝えてきた。

「早い。これは罠にはめられたっぽい」

「そんな感じですね」

「もう、どうしようもないな。ルキ、ビルドイン」


 変身して遊撃しつつ、突破口があれば敵の領域を抜けて逃げる。できなければ、各個撃破しつつ集中攻撃されない局面を作る。咄嗟には、そのあたりしか選択肢がない。


「マズいかも。小妖精の飛ばし方といい、あちらの手の平の上かもしれないぜ」

(相手を把握できてないだけ不利かもしれませんね。もしかしたら、突っ込んだほうが活路があるかもしれません。ロナが見たという車列はどこのなのか)

「そうか。先に確認しとくべきか」


 敵中に飛び込む危険性はある。しかし、彼はその車列が戦公のものとは思えないでいた。もし、王国戦士団であれば走りトカゲの群れも確認できているはず。ロナタルテはそんなことはひと言も告げていない。


「見たっていう車列のほうに飛んでくれ、ロナ」

 呼び掛ける。

「だいたいの方角しか憶えてないかもー」

「それでいい。あんまり離れるな」

「あーい」


 小妖精は順調に方向を変えて進む。教団の戦士に捉えられるまでに正体不明の車列を確認しておきたいところ。それによって対処を変える。


「車の全速力なら走りトカゲでも引っ張れる。あとはランゼがどこまで頑張りを見せてくれるか、だな」

(スタミナはついてきているとは思うのですが、全力となるとどのくらいもつかはわかりません)

「なんとも情けない追いかけっこになってしまったもんだな」


 正輝は後方も確認しつつ、正体不明の敵に迫った。

次回『魔公接近(3)』 「ルキ、あれがなにかわかるのか?」

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