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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
撃発のライダー

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思い深まり(1)

「しばらくは潜伏だな。風呂には入りそこねたが、幸い植物油の大量入手には成功した」

「ごめんなさい」

「心配いらない。いずれはこうなってたさ」

「マサキ、大好き」


 ランゼッタは以前に増して正輝にべったりになった。人間への絶望が彼への依存度を高めていると思うと腹立たしいところ。ともあれ、メンタルケアが不可欠である。


「ルキってこういうのに嫉妬しないよな?」

 エメルキアから独占欲を感じたことがない。

「不公平なのはNGですけど、公平であればウェルカムです」

「公平?」

「同じだけ愛してくだされば、マサキのハーレムができるのがわたし的にベターなので」

 怖ろしいことを言う。

「なにを企んでいらっしゃるのですか、ルキさん?」

「単に種族繁栄を望んでいます。マサキほど力が強い方との子であれば、かなり高確率で妖精種(エルフィン)の能力も継承されるでしょう。さらには人間女性もハーレムに加わっていればベストです」

「なして?」

 異なことまでプラスされる。

「マサキの子を産んでくれれば、精気の強い子どもが誕生するでしょう。人間社会から隔離して育て、妖精種(エルフィン)への愛情深い子孫を増やしていければ」

「怖いです、ルキさん」

「代わりにわたしの愛は独占できるのですよ?」


 人間への拒絶感がおかしな方向に作用している。人間女性をまるで苗床のように例えるあたりは復讐心を感じさせた。


(この子は怖いけど強い女王になりそうだ)


 正輝はエメルキアを女王にしようとしている。彼の一生は少女にとっては一時でしかない。死後も妖精種(エルフィン)の居場所を作っておかねばならない。


(解放するのに成功しても、集団としての人間の意識って容易に変化するものじゃないもんな)


 妖精種(エルフィン)の王国を作り、エメルキアを女王に据える。対立構造までは解消できないと思うので、彼女たちだけで暮らし、独立を守れる国を建立するのが最終目標である。


「ただいま」

 エメルキアとランゼッタを膝に抱いていると偵察のティナレルザが帰ってきた。

「どんな感じ?」

「わりと騒ぎになってる。警備隊は出入りが結構激しくて、対応に迷ってるかも」

「守りを固めるか、捜索に出るかってとこか。連絡はその子?」

 王国への通報も察知したい。

「ええ、ショートカットして阻止できたわ。この子にも補給して里に行かせてやって」

「もちろん。これで王国への通報はブロック、と。教会のほうは?」

「連絡役飛ばす余裕もなさそう。信者の出入りはそれなりにあるから、誰を連絡に走らせるか見極めは無理」


 間違いなく小妖精(リトルエルフィン)は足りなくなってきている。王国は確保しているが、教団は支庁に集めているようだ。情報の有用性に関して敏感なのは王国側。デレキセント教団は妖精種(エルフィン)に近すぎて状況悪化を侮っていたようだ。


(しっかり刷り込みしておけば逃げださないと高をくくってたな。妖精種(エルフィン)の意思を読み誤った)

 連帯して動くとは思わなかったのだ。


「教団は領内への影響力を維持するのに小妖精を支庁に集めたと思っていい。これからは警戒が強くなって、これまでみたいに脱出は難しいだろうけど、飛ばす頻度もそれなりに低くなる。情報戦は勝ったと思ってくれ」

 連れられてきた子をそっと受け止めて精気で満たしてやりながら言う。

「民間の子もかなり引きあげたから、買いあげるのも無理になった。情報遮断はできたわね」

「あとは、王国への影響力いかんだな。そっちの情報網に相乗りはできなくもない。ただし、独自の情報のやり取りは不可能にできた」

「迂闊なことは小妖精に託せない、と」


 教団の内部情報が王国にだだ漏れは避けたいところだろう。結果、制限される。


「代わりに人を使いはじめる。そっちの把握まではちょっと手が足りない。スピード感を失わせただけでよしとしよう」

 情報戦はいつまでも続く。

「お疲れさん。ルーザも休んで。当面はときどき偵察に飛んでもらうだけでゆったりでいい」

「そうさせてもらうわ」

「ルーザ、こっちー」


 ロナタルテと一緒に、彼の肩に並んで座る。メンバーはいつも仲良しでいいことだ。議論はあれど、目立った仲違いなど記憶にない。


「それじゃあ、のんびり衣類研究でもすっか」

 小妖精に持っていってもらう、里宛ての手紙を書きながら予定を伝える。

「出来次第で一回里に帰る。二人には高空から位置把握してもらいながら地図を充実させて、里から西部方面への車を使える連絡路を整備したい」

「そうですよね。こちらで解放した装鎧少女(エルフィン)を一度東側まで連れていってまた里までは効率が悪いです」

「別の里を用意するのは高望みが過ぎる。道を作るのもリスクはあるが、それまでに方法を考えておくからさ」


 連れてきた子が蕩けたところで寝かす。体力が回復してから明日朝にでも飛んでもらえばいい。


「段取りはそんなもんかな。今日のところは晩飯にしよう」

「今夜はなに食べるー?」

「まだゆとりあるので、豪華に燻製魚にしましょうか?」

「やったー。ロナ、パン焼くー」

「自分も焼けないようにな」


 五人でわいわいと夕食の準備を始めた。

次回『思い深まり(2)』 「変態扱いすんな」

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