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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
妖精拠点と幻惑作戦

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メタルハンター(4)

「ランゼ、逃げろ! ルキ、ビルドイン!」


 下生えを掻きわけ、のしのしと歩いてきたのは全長で6m以上ある走りトカゲである。後ろ脚二足歩行でほぼ恐竜の歩き方なのに、顔の高さで正輝のそれと変わらない。

 いきなり頭突きをかましてきたので、ランゼッタを逃がすのに左腕をかざして受けとめるしかなかった。変身時の念動障壁ごと後ろの木に叩きつけられる。


「おごっ!」


 背中を衝撃に襲われたあとになってようやく変身が完成する。咳き込みながら構えを取ったがときすでに遅く、前に出していた左腕を噛まれた。

 もう一度後ろの木に打ちつけられたあと、振りまわされて周囲の木々に叩きつけられつづける。身体の前面以外は、どこという感触もないまま猛烈な痛みにさいなまれた。


「嘗めてんじゃないぞぉ!」

 右手でパンチしながら左腕を強引に引き抜く。

「このやろうがぁ!」


 上半身を沈めつつ、前まわし蹴りを頭に打ち込んだ。全力のキックはようやくメタル走りトカゲを横倒しにする。

 破損した左腕をレストアしつつ、サイコブラストを数発叩き込む。しかし、走りトカゲはなにごともなかったかのように立ちあがってきた。


「ち、ひと際タフじゃん」

(これだけの体重のある相手は初めてですもの)


 パワーアップした念動力(サイコキネシス)もコアまでは届かない。外部攻撃でコアを破壊できるのは、ボディが柔軟なメタルスライムが限界なのだ。メタル進化種となると別の攻撃方法で倒すしか道はない。


「立派な歯並びしやがって。草食じゃないのかよ」

(人間の使う走りトカゲは別種です。全体にほっそりしているでしょう? この種は肉食です)

「完璧に恐竜じゃんか」


 頭ごと噛み砕こうと言わんばかりに首を捻じ曲げて噛みついてくる。正輝は姿勢を低くしながら顎にフックを見舞った。ガチリと金属音とともに顎が締まり頭部が跳ねる。ただし、ずっしりとした手応えがあっただけで倒れてはくれない。


「重たいぜ」

(きっと、それだけじゃありませんし)

「だろうなっ!」


 前脚の爪がトゲとなって伸びてきた。回避しながら噛みつき攻撃範囲から身を逃して体側へとまわり込む。しかし、ボディの横にもトゲが生えて飛んでくる。尻尾ものたうっていて死角はない。


「厄介すぎ」

(これまでとは格違いですね)

「まだ、可愛いほうだったっていうのかよ。サイコブレード」


 他に対抗手段がなくサイコブレードを発動する。トゲを斬り裂きながら間合いを取り、その巨体をしげしげと眺めるとどうしたもんかと思う。


「コアの場所は胸の奥か。一番攻撃の強い場所に飛び込めってか?」

(生身ではひとたまりもありませんね。あのメタルハンターは抗う暇も与えられなかったのでしょう)

「狩る側が狩られただけ。因果応報ってな」


 悼む気はない。それも摂理である。だが、正輝までその摂理に従う義理はない。こんなとこでエメルキアを失うわけにはいかないし、失った途端に彼もお陀仏だ。


「まあ、ウェイトがあるのはメリットでありデメリットでもある。ヒートミサイル」


 足元が爆発してもメタルトカゲは人間のように吹き飛ばされはしない。ただし、崩れた足場に巻き込まれて立ってもいられない。姿勢を崩しかけたところでダッシュを仕掛けた。


「冗談!」

(そんな手がありました)


 多数のトゲを周囲の木々に飛ばして突き刺し、それでボディを支えている。斬り掛かる腕を引っ込めて、大きく開いた顎から上半身を逃がした。中途半端な膝蹴りを下からぶち当てる。


「おおお、らぁ!」


 姿勢が崩れていて、普通ならほとんど効果のない打撃だったが、そこから念動力(サイコキネシス)を使って身体を支え加速させた。膝蹴りは連打に早変わりし、慣性のままバク宙して着地する。


「もらった!」


 顎を打ち抜かれたメタル走りトカゲは眼前に胸をさらしている。足を滑らせて頭から踏み込むと、引いていたサイコブレードを思いきり突き入れる。


「エクステンドぉ!」


 剣身を伸長させ、コアに達する長さにする。そこだけ生モノを潰すような感触を残してメタル進化種の要が破壊される。ぶるりと痙攣したボディはもう動かない。


「わぷ」

(頭の真下ですから)


 どろりと崩壊する流体金属(メタル)が被さってくる。正輝は慌てて逃げだすしかなかった。転がってから身を起こすと大量のメタル溜まりができあがっている。


「ヒートミサイルでできた窪みにきれいにはまったな」

(次からもこの作戦でお願いしますね、マサキ。ほくほく)

「露骨にほくほくすんな、ルキ」


 ほとんど流体金属(メタル)の池ともいえる量にエメルキアの喜びが伝わってくる。見るからにひと財産と呼んでもいい量だとはいえ、それに噛みつかれ殺されそうになった彼は素直に喜べない。


「全部欲しいんだろ?」

(もちろんです!)

「あー、とりあえずプール作るか」


 そのままでは地面に滲みてしまう可能性が高い。なんらかの措置をしないとキープは難しいと思われる。

 ランゼッタたちにもう大丈夫だと伝えたあと、隣に四角い穴を作って表面をガラス化した。そこに流体金属(メタル)を移していく。


(宝の山です。誰にも渡しません。ほくほく)

「いや、一部は売るからな」

(えー)


 変身したまま土木作業をする羽目になった正輝は、非常に格好悪いと思っていた。

次回『メタルハンター(5)』 「ところで、あいつを殺ったのは?」

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